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26話 荒らされ放題

 リトルナイト倶楽部の活動をした次の日……


「行ってきまーす!」


『行ってくるね〜』


 ホウキ通学にもすっかり慣れた私は、今日も空を飛んで学園へとホウキを飛ばす。


「ほーい、カエちゃんおっは〜」


「あ、スミおはよ〜」


『おはよ〜』


 ホウキ通学中に現れたのは、学園で新たに友達になった同級生。同じクラスの魔女『スミ・カイオン』だ。

 流れるような黒髪を可愛らしくアレンジした、おっとりした雰囲気を持つ魔女だ。


 そんなスミのホウキの先にはドラゴンを模したゴツいリトルナイトが座っている。名前は『カイエン』と言うらしい。


「カエちゃん、昨日出た課題できた?」


「紙で鳥を作るやつだよね。なんとかできたよ」


「魔法学園だとあんな本格的な課題出るんだね、びっくり〜」


「でも先生はこれからもっと難しくなるって言ってたね」


「やだな〜」


 朝からスミと他愛のない会話を繰り広げる。実に穏やかな朝だ。


「グッモーニン」


「あ、トールおはよ〜」


「トールちゃんおっは〜」


『おはよ〜』


「みんな相変わらず穏やか」


 しばらくするとホウキに乗ったトールとも合流した。


「ねね、2人は同じ部活動に入ったんだよね? どんな部活?」


 スミはいつものニコニコ笑顔を浮かべながら、私達が今所属している部活動について尋ねてきた。


「リトルナイト倶楽部っていう、トールが作った同好会だよ。ゆるくリトルナイトを楽しむ集まりで、昨日はカプセル沢山開けたよ」


「楽しそ〜」


「もし良かったらスミさんも遊びに来て。昨日開けたカプセルトイがドッサリある」


「楽しそう〜見に行く〜」


 どうやらスミは乗り気な様子だ。


「私は学園に到着したら部室行く。折角だから一緒に来る?」


「うん、暇だから付き合うよ」


「ウチも暇だから見に行く〜」


 軽い話し合いの結果、朝一で部室に直行することに決まった。


「おーい!」


「あ、フレアだ」


 学園のある方向からフレアが飛んで来た。


 フレア曰く「1人で飛んでくより遠回りしてでも友達と通学したい」とのことで、毎日ホウキを飛ばして学園を通り過ぎて私達と合流している。


「フレアおはよ〜」


『おはよ〜』


「おっは〜」


「フレアさん、おはよう」


「相変わらず気の抜ける集まりだな……」


 フレアとも合流し、4人で魔法学園へと移動した。

 ホウキから降り、大きな玄関口を皆んなで通り学園へと入る。


「えっ? 朝一で部室に行く?」


「うん。スミさんに昨日開けたカプセルのリトルナイトグッズ見せる」


「へぇ、いいじゃん。折角だから私も行くよ」


 と、いうわけで。私達リトルナイト倶楽部の部員とスミの計4名、リトルナイトを合わせて計8名でリトルナイト倶楽部の部室へと移動を始めた。


「それにしても、魔法学園ってなんか歴史的文化遺産みたいな感じだよね……」


「魔法学園は見た目もデカいし中も広いし、なんか古き良き学園って感じするな」


 歴史の趣を感じられる広くて長い廊下を歩いて移動する。


「あの空き教室がリトルナイト倶楽部の部室だよ」


「へぇ〜。外から見た感じはフツーの教室だね〜」


「どの教室もそういうもんじゃないのか?」


「外観の飾り付けはしてない。でも、あの部室内はいずれリトルナイト一色に染める予定」


(トール、そんな計画立ててたんだ……)


 あれこれと呑気な会話を挟みつつ、私達はあっという間に部室の前へと到着。


 予め鍵を借りてきたトールは扉の鍵を開けようとするが、扉の前で停止したトールはその場で固まってしまった。様子がおかしい。


「トール、どうしたの?」


「……荒らされてる」


「!」


 トールは鍵を開けずに扉から離れる。私とフレアは慌てて扉から中を見渡す。


「何これ……!?」


「昨日開けたカプセルのグッズがめちゃくちゃ……! 一体誰がこんなことしたんだ…!」


 リトルナイト倶楽部の部室に、昨日開封して後片付けした筈のカプセルのグッズが散らばっている。どうやら何者かによって荒らされたようだ。


『えー何これ』


『これは酷いな……』


 ピントとゴウカは私達の肩に乗り、教室の中の様子を眺めている。ピントは少し悲しそうだ。


『皆さん、念の為に下がってください。部室の中には入らず、速やかに先生に報告しましょう』


「うん。ハクヤ、報告お願い」


『分かりました』


 トールから指示を受けたハクヤは頷き、白い翼を広げて飛んでいった。

 一方ピントは心配そうに室内を眺め続けている。


『ねえ、ビートは無事?』


「ビート?」


「カプセルから出てくるパーツを集めて完成したリトルナイトだよ。歩き回って、近くにある物にパンチするだけの性能だけど……」


『あ! ビートいた!』


「どこ?」


『カーテンに括り付けられてる!』


 ピントの指し示した先には、炎のプリントが目立つリトルナイトが縛られたままジタバタしている光景が。


「あれは……歩いてるな……」


「うん、縛られたまま歩いてるね……」


 しばらく待機し続けていると、ハクヤが女性教師を連れて戻って来た。


「部室の鍵は掛けたままなの?」


「はい。今日はまだ誰も入ってません」


「うーん……確かに荒らされてるわね。分かった、この件は後で式神に対応させましょ。皆んな、念の為にしばらくはこの部室は使用しないでね」


「やっぱそうなるよな……」


「無念」


 リトルナイト倶楽部が発足した次の日に部室を荒らされてしまい、トールは目に見えて落ち込んだ。


「えっと……とりあえず、教室戻ろっか」


「……うん」


 私達は教室から離れ、廊下を歩いて教室へと戻る。


「部室を荒らされたのは悲しいけど、なんの対策もしなかった私も悪い。だから部室は後で徹底的に強化する」


「どう強化するの〜?」


「大小様々な式神を沢山置いて防衛させる」


 かなり本気だ。


「くそっ、荒らしたのはどこの誰だよ!」


「荒らすにしても、なんでわざわざリトルナイト倶楽部を……?」


「どちらにしても相手は、遅くまで残ってたか、誰よりも早く来てわざわざ荒らして回った暇人ってことだよな……」


「うーん……それか、誰かのリトルナイトだったり?」


「リトルナイト?」


「そーそー」


 フレアの疑問に、スミはのんびりと独自の推理を語り始めた。


「小さいリトルナイトを学園に隠しておけば、学校が終わった後でも動き回れるよ〜?」


「確かに……リトルナイトは小さいから、見回りが来ても隠れてやり過ごせそうだな……」


「その気になれば鍵も回収できるし、一通り荒らし終わったら鍵を返して隠れたりもできる……みたいな〜?」


「いや、だからといってリトルナイトがそんな犯罪行為に従うか?」


 スミの推理にフレアは頭を捻り反論する。だが確かにスミの推理通りリトルナイトが犯人なら、時間をかけて部室を荒らすことも可能だろう。


「……どちらにしても、部室の強化は絶対にする。あと、しばらくは野外活動をする」


「そっか。外でリトルナイト関連のイベントとかあるもんね」


「ザッツライト」


 トールさんは私の発言に比較的テンション高めに答える。

 確かにリトルナイト関連のゆるい活動なら外でも活動できる。


「とりあえず明日から部活動を再開します。2人とも、明日の放課後は校門前に集合」


「はーい」


「分かった!」


 トラブルが発生したものの、部活動は続行することとなった。むしろどんな野外活動があるのか、今から楽しみだ。


「あ、因みに犯人は絶対に仕留める。みんな、楽しみにしてて」


「楽しみにするって、一体何を……?」


「トールちゃん、危ない真似はしちゃダメだよ」

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