24話 リトルファイト部から抜けたわけ(前編)
放課後。リトルナイト倶楽部でカプセル開封を半分ほと済ませた辺りで、話題はゴーレム部の話に。
「ゴーレム部の部長から入部拒否された?」
『うん。カエに色々嫌なこと言ってた!』
「こらピント。何も全部言わなくても……まあ、今年からはリトルナイト持ってる子は入れないんだって言われたけども、それはすぐに撤回されたよ」
「何だよその基準……!」
ゴーレム部について説明をすると、フレアは手に持っていた空のカプセルを握り潰しながら激昂した。
「大丈夫、きちんと謝罪受けたからさ」
『でも2度と来るなとか言われてたよね』
「あ、こらピント」
「2度と来るなだと……? よし、今から魔女3人でゴーレム部に突撃しに行こうか」
「フレア落ち着いて」
そんなことした日にはゴーレム部が壊滅してしまう。
「大丈夫、刻石先輩から土下座込みで謝罪受けたからさ」
「土下座か……まあ、いいだろう。それで許してやる」
『フレア、お前が許すことではないだろう』
何はともあれ、フレアはようやく落ち着いてくれた。刻石先輩は助かった。
『ねえねえ』
「ん?」
何とか落ち着いたフレアに、ピントは呑気に声をかける。
「ピント、どうした?」
『フレアは何でリトルファイト部やめたの?』
「こらピント!」
「ああ、別にいいよ」
私は慌ててピントを持ち上げるが、フレアは特に気にせず話を続ける。
「カエはゴーレム部のこと話してくれたし、私も話すよ。実は……」
フレアは私達に顔を向け、真剣な眼差しを向けながら一言述べた。
「…………テストには受かった。けど、2軍だったんだよ」
フレアは悔しそうに顔を歪ませ、話を続ける。
「1軍に入れると思ってたからさ。結果として2軍入りになってちょっとショックで……」
「そうなんだ……」
「……まあ、力を蓄えてまたリベンジするよ。だから、今はリトルファイト部は諦めてリトルナイト部に専念することにするよ」
『そうなんだ』
「そういうこと! さ、残りのカプセルも開封しよ!」
「うん、そうだね。まだガチャのリトルナイト完成してないし……」
「それまだ完成してなかったのかよ!」
『赤いカプセルがパーツだよ。手伝って』
「任せな!」
フレアが強引に話をカプセルに戻し、開封作業に戻った。
やがて全てのカプセルを開け終え、ガチャ製のリトルナイトは無事に完成した。
『見た目はカッコいいのに、動きは単純だね』
「ガチャのリトルナイトだから……」
炎の模様を纏うイカしたリトルナイトは、ピントの前で延々とシャドウボクシングを繰り返している。
「目の前に物があったら、とりあえず殴ることはできる」
「この動き、懐かしいな……」
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フレアがリトルナイト倶楽部に合流する数十分前……
放課後。フレアはすぐさま教室から飛び出し、相棒のゴウカと共にリトルファイト部の部室へと足を運んだ。
部室の隣にある入部テスト用の教室に到着した2人だったが……
「もう人が集まってるな」
1番乗りだと思っていたが、教室の前には既に入部希望者が何名か集まっていた。
入部希望者はテストに備えてリトルナイトを手入れしたり、話し合いをしたり、リトルナイトの本を眺めたりと、とにかく空き時間をテスト対策に割いている者が多かった。
『本気でリトルファイトを嗜む者ばかりなのだろう。フレア、油断するな』
「ゴウカこそ!」
フレアとゴウカはお互いに喝を入れ合い、入部テストの待機列に並ぶ。
フレアの後からも入部希望者がやって来ては列に並び、やがてそこそこ長い列になった。
「入部テストを受ける新入生の皆様、お待たせしました」
しばらくして、部室から1人の上級生の女子生徒が姿を現した。彼女は新入生を、1人ずつ呼んでは室内に招き入れられていく。
「次の方、どうぞ」
「はいっ!」
やがてフレアとゴウカが呼ばれた。フレアは入部届けを手にテスト会場へと入室した。
室内は外観より遥かに広く、何人かは既にリトルナイトのフィールドでテストを受けていた。
「入部テストの内容は、シンプルなモンスターハントです。審査員の指示に従い、目当ての魔物を討伐してください」
「はいっ!」
『承知した』
「質問があれば、後から来る審査員にお伝えください。では」
眼鏡をかけた真面目そうな案内係は、フレアにテストの内容を簡単に説明すると、一礼をしてその場から退散した。
「おっ! 熱血っぽい子だ!」
程なくして、別のフィールドで審査員をしていたと思われる上級生の魔女が、フレアのいるフィールドの前に姿を現した。
全体的に明るい紫だが、先端は紫に変化した不思議な髪色で、制服を着崩し装飾をそこそこ身につけたギャルのような魔女だった。
そんな魔女の肩にはやけにメカニカルな天使型のリトルナイトが座っており、フレアをじっと見つめていた。
「初めまして先輩、宜しくお願いします」
「ヨロシク〜! アタシは審査員役のミリカだよ! てか君知ってるよ、フレアでしょ?」
「えっ!? 私のこと知ってるんですか!?」
「前にナイト工房で戦ってるとこ見ちゃった! アレ凄かったね!」
「あっ、ありがとうございますっ!」
フレアは驚きつつも、先輩に感謝の言葉を述べて一礼をする。
「ねえ、とりあえず君のことはフレっちって呼んでいい?」
「あっ、はい! 大丈夫です!」
「じゃあフレっち、早速だけどテスト始めよっか。リトルナイトをフィールドに置いてくれる?」
「はい!」
フレアはゴウカを持ち上げ、テーブル上のフィールドにあるスタンバイエリアにゴウカを置いた。
そしていつでもテストが始められるよう、フレアは鞄から取り出した新品のリトルアイを手に構えた。
「じゃ、早速テスト始めるね! テストスタート!」
輝いたフィールドはジャングルに姿を変え、上部からフィールドの状況を視認し辛くなった。
(あえて上部からの視界を狭めに来たか。リトルアイ越しからでもリトルナイトに正確に指示を出せるか見ているのか……?)
「じゃ、まずはその辺を歩くマンドラゴラを倒してもらおうかな!」
「はい!」
こうしてフレアの入部テストが始まった。ゴウカは魔法弾で難なく魔物を仕留めて周り、時にフレアがゴウカに指示を出して立ち回る。
「いい感じ! 結構いい腕してるね!」
「ありがとうございますっ!」
審査員ミリカからの反応も上々な様子だ。
「じゃ、お次はグリーンゴブリンを倒してもらおっかな?」
「はいっ!」
(ついに来たな……入部テストで特に難関とされるゴブリン始末!)




