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15話 勝利の報酬

 男子2名とのリトルファイトに勝利した後のこと。


「貸したリトルアイをそのままオームラさんにあげます」


「えっ?」


 なんと、ハクギンさんから借りた新品のリトルアイを譲ると言い出した。


「とりあえずピントの回復のためにも別室に移動した方がいい」


「あ、そうだね」


 結局私も連行された。


「さて、改めまして……」


 ピントをリトルナイトの家であるマイホームへと入れている間、私は改めてハクギンさんと向き合った。


「このリトルアイを貰ってほしい」


「いや、それは流石に悪いよ……」


 何もしてあげてないのに高額の商品を貰うのは流石に忍びない。


「あの2人を確保するのを手伝ってくれたお礼。実は私、あの2人が良くない相手だと知っていた」


「そうだったの?」


『彼等は前々から問題視されていたお客様でして……しかし今回、初心者である貴方に絡みに向かい、オームラさんとゴウカイさんに対して宜しくない発言を繰り返す姿を録画できました』


(録画してたんだ……)


「偶然とは言え、私はオームラさんを利用した。だからそれはお詫び」


「お詫びって……」


「あと、経験者を相手に素晴らしいバトルを見せてくれた。相手のペースに乗せられず、どんな逆境もものともせずに立ち向かった」


「そこまで素直に褒めてくれるのは嬉しいけれど……ハクギンさんのお陰もあったからこそ、あそこまで立ち回れたんだよ」


 私は褒め言葉を受け止めつつ、ハクギンさんの功績も讃える。


「ハクギンさんが相手の性格までしっかり見抜いて、的確なアドバイスしてくれたでしょ? だからこそ勝てたところもあるんだよ。ハクギンさん、とても助かったよ!」


「オームラさん……」


 ハクギンさんは私をじっと見つめる。


「……私は練習場所を提供して少しアドバイスしただけ。オームラさんがそれを活かせたのはオームラさんの実力」


『どちらにせよ、貴方のお陰で助かったのは事実です。我々に協力してくれたお礼は是非とも受け取って欲しいのです』


「……分かった、喜んで受け取るね。ハクギンさん、ありがとう!」


「オームラさん、こちらこそありがとうございます」


 なんやかんやありつつも、バトルは無事に勝利できた。お礼に高価そうなリトルアイまでプレゼントしてもらえた。


 この後ハクギンさんともメアドを交換し、改めてハクギンさんと友達になれた。今日はとても充実した1日だった。


 しばらくして、解放されたフレアさんと共にナイト工房を後にし、公園に戻ってそのままお開きとなった。


「今日はありがとう。なんやかんやあったけどすごく楽しかった! 一緒に戦ってくれてありがとう!」


「こちらこそ楽しかったよ。フレア、じゃあね」


「またね!」


『バイバ〜イ』


 夕日に照らされながら飛び去るフレアを見送った後、私はピントを頑丈なリトルナイトホルダーに入れ、鞄から取り出したホウキで空を飛んで帰宅した。


『夕焼け綺麗だね』


「そうだね……」


 オレンジの夕焼けをピントと眺めながら、真っ直ぐ家へと帰宅したのだった。



 その日の夜……



(今日は楽しかったなぁ……)


 自宅に帰った私はピントと共に晩御飯を食べ、お風呂に入り寝る支度を全て終えて自室へと移動していた。

 私はベッドに潜り込み、ナイト工房で購入したリトルナイトの本『リトルナイトの色々』を眺めていた。


『ワンコおいで〜』


 ピントは今日購入した新品の靴下とスリッパを履き、カーペットの上で動くぬいぐるみと遊んでいた。とても微笑ましい光景だ。


 そんな光景を横目で眺めつつ、私は開いた本に目を通す。すると、本の中に気になる文面を発見した。


[リトルナイトは夜中に動き出す個体もいます。もし夜中の動向が気になるようでしたら、リトルナイトに行動範囲を指定するなどして制限を設けましょう]


(へぇ、リトルナイトって夜遊びとかするのかな……)


 私は本から目を離してピントを眺める。


 そんな私の視線に気付いたピントは、ぬいぐるみから目を離して私を見つめた。


『……ん? カエ、どうしたの?』


「ピントって、夜中も遊ぶ予定ある?」


『うーん……もしかしたら出るかも。カエ、夜も遊んでもいい?』


「いいよ。夜は静かにして、そこまで遠くに出なければ大丈夫だよ」


『やった!』


 こう言っておけば、ピントはこの室内からあまり遠くへは行かないだろう。家の変な所にも入り込む事故も防げるはずだ。


「……さてと、そろそろ寝ようかな。ピント、おやすみ」


『僕も寝よっと。おやすみ〜』


 私は本を窓のそばに置き、ピントはワンコを小屋に入れ、ジャンプしてバスケットへと潜り込んだ。


─────────────────────


 ドサリ。外で妙な音がした。


「何だろう……」


 外から聞こえた物音で目を覚ました僕は、家から飛び出して部屋の中を観察する。


 カエは熟睡中、ワンコも小屋の中で丸まって眠ってる。ガラス窓からずっと物音が聞こえている。


「よいしょ」


 僕はバスケット型の家から身を乗り出して、音を立てないようにそっと降りた。

 足音を立てないように靴下とスリッパを履いて、テーブルから降りて大きなガラス窓に近付いた。


「この先から音がしたよね」


 カーテンの裏に入って窓の外から真夜中のベランダを眺める。


「何あれ?」


 大きなガラス窓の向こうには、羽の生えた変な魔獣と格闘するリトルナイトがいた。


「こらお前! 主の靴下を返せ!」


 銀の鎧のリトルナイトは、靴下を離さない魔獣を相手にしがみついて頭突きやキックを繰り出している。


「キェーッ!」


 凶暴な魔獣は一声鳴くと、大きく羽ばたいて空を飛んだ。

 銀鎧のリトルナイトは「逃すか!」って言って魔獣にしがみついて、空を飛ぶ魔獣と一緒に空を飛んでベランダから出ていった。


「あ、飛んでった」


 僕はガラス窓の前でジャンプして鍵を開けた。


「よいしょ」


 ガラス窓を押して開けてベランダに出ると、魔獣の羽が1枚落ちてた。


「離せーっ!」


 家の庭の方からまだ声が聞こえてくる。空を飛んでそのまま庭に落下したみたい。

 僕は羽を持ってベランダの柵に飛び乗って、声のした方に目を向けた。


「いい加減にしろーっ!」


 鎧のリトルナイトはまだ魔獣と格闘していた。これはまずいかもしれない。


「助けに行かないと!」


 リビングにはジュウトが休んでる家があるけど、今は呼んでる時間はない。

 

 僕は靴下とスリッパを脱いで室内に放り投げた。落ちていた羽を頭の隙間に刺したら、急いで柵から近くの屋根に飛び移った。

 ベランダの下から伸びているパイプにしがみついて滑り落ちて、地面に降りたらすぐに騒がしい庭の方へと走る。


「くそっ! 武器を置いてきたせいで……!」


 銀鎧のリトルナイトは小さな魔獣を相手に苦戦していた。魔獣はまだ靴下を掴んだまま離していない。


「キェーッ!」


「うおっ!?」


 魔獣は空いている方の脚で銀鎧を掴んで、鋭いクチバシで銀鎧の頭を攻撃し始めた。ピンチだけど大チャンス!

 今の魔獣は目の前の銀鎧に集中してるから、僕の攻撃は当たりやすいはず!


「てやーっ!」


 僕は脚に力を込めて、魔獣を目掛けて大ジャンプをした。


「ギャッ!?」


 僕の脚は魔獣の頭に見事命中した。驚いた魔獣は靴下と羽を幾つか落としながら羽ばたいて、空を飛んで庭から退散していった。


「た、助かった……」


 銀鎧はすぐに靴下を掴んだ。あの靴下、そんなに大事なものなんだ。


「大丈夫だった?」


「ああ、君のお陰で命拾いした。感謝する」


 銀鎧は靴下を抱えたまま僕に頭を下げた。


「そうだ、先ずは名を名乗らねば。俺の名はアラジオだ」


「僕ピント……アラジオ?」


「変な名前なのは自覚してる……」


 アラジオが僕の目の前で落ち込んでる。


「ねえ、あの魔獣と何してたの?」


「ん、ああ……ベランダに干していた主の靴下を盗んだ魔獣を討伐しようとしたんだ」


 銀鎧のアラジオは手に持っている靴下を僕に見せながら話を続ける。


「相手は1体、俺の敵ではないと意気込んだものの……飛び去ろうとする奴を捕獲するのに手一杯だった……」


「で、あの魔獣に捕まってここまで飛んできたの?」


「そういうことだ。武器は忘れるわつつかれるわで散々だ……」


 どうやらアラジオはすっごく大変な目に遭ったみたい。


「何はともあれ、随分と遠くに来てしまったようだ。とりあえずこの町のリトルナイトの溜まり場を探して、そこで帰る手段を探すとするか」


「溜まり場?」

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