元魔王、王都に行くよ!?
「車は速くていいよねー。」
「あの、空を飛んだ方が速いのでは?」
「これは気分の問題なんだよ。空を飛ぶのはもう飽きたし。」
「ところで、どこへ向かうつもりですか?」
「とりあえず王都かな。まずは情報が欲しいね。」
「ふぁぁ。おはよう魔王様。」
「僕は元魔王だよ、ミラ。」
「うん。おやすみ。zzz」
「まったく、また寝てしまったのですか。また夜寝れなくなりますよ。」
「…!カルナ、前!」
「…?! 前から車が!」
キキーーーー
「逆走はいけないんだぞ!」
「ハハハ、私が法だ。やっと見つけたぞ。私は王国最強の勇者の孫の頭痛が痛かった時のための代理勇者エンゼルである。ちなみにここ数年は偏頭痛のため、毎日私が代行している。」
「もう聞き飽きたよ、それ。」
「仕方ないだろう。私のスキルは隙あらば自分語りなのだから。ハハハハハハ。」
「で、何の用?」
「何の用?じゃないわ!いつも通り魔王城に行ったら、玄関扉に『スローライフはじめました』って、冷やし中華みたいなノリで魔王やめるな!
おまけに『テナント募集中、アチャチャチャ不動産』とか書いてあるしよ!
ウッ、私は、貴様がいないと…貴様がいないと、【魔王と戦ってちょ!補助金】がもらえないじゃないか!
私の夢の魔王(と戦っているフリをすれば貰える補助金で建てる)城がー!
おい、魔王!私と戦っているフリをしろー!
あれ、どこ行った?魔王ーーー!」
王都の駐車場にて、
「もうどっちが魔王だかわからないよ…。」
「まったく、同感です。」