十四日目・2
そして、今度の週末には、一路の方の実家に挨拶に行くことになっている。
ご両親と、弟がいるらしい。
二卵性だから、あまり似ていないとか。
一路と同い年だから、アヤより一つ年上になるのだが、義理の弟ということになるのだろうか。
非常に変てこな気分になる。
正直、緊張はするが、一路も緊張したのだろうと思えばがんばろうという気になる。
届いたばかりの新しいベッドに、シーツをかけて枕を置いたとたん、一路が手を引いてきた。
「いい?」
アヤはうなずいた。
一路は経験値は無に等しい。が、そのことを恥じることも無くアヤの教えを素直に請う。その上で、自分なりに工夫して、いちいちアヤの反応を言葉で確認したがる。
拙い、子どもっぽいと言えばその通りだが、知ったかぶりでいろいろされるよりは好感がもてる。
アヤの体を使って独りよがりに楽しむ男たちよりは、よほどかわいげがあるし、意外と刺激的で、満たされる。
たぶん、一路という人となりも、そうなのだろう。
無垢。
そんな言葉が、唐突に思い浮かぶ。
これから、この人と夫婦になるのだ。
この先のことを目を閉じて思い浮かべようとしても、何がどう変わるのか、アヤにはよくわからなかった。
これでよかったのかな。
よかったはずだ。だって、この人にこんなにも大切にされているのだから。
幸せになる。きっと。