第四章を終わらせよう!
前回のあらすじ、四天王消滅。
結局俺の能力など使わず四天王を倒した後。リリーやメイ、弟さんの傷はスズによって治され、宿の部屋をもう一部屋取って皆そこで過ごし、一晩が明ける。
弟さんの精神に大きな影響はなかったようで、操られていたとはいえ襲ってきたことを謝罪してくれるような人だった。
そして適当に朝食を食べ、かっと晴れた日差しの中、俺たちは二人を家に届けようと街中を歩いていた。
のだが...
「姉さんあの絵も!光の表現がすごいよ!どうやって絵の具を重ねているんだろう!」
とある画廊の前を通ると、ウィンドウ越しに絵画に釘付けになり、かれこれニ、三分ほどこの状態だ。
「ほら、もう帰るよ」
「もうちょっと!もうちょっとだけ!」
周りの視線が痛い... げっ...
ガラスの反射越しに見えたあの瞳は... スズと同じく、やかましくキラキラと光っているあの目だ...
そんな様子に隣で見ていたリリーも気付いたようで...
「今回の戦い、スズが私を呼んでくれなければ勝てたかどうか分かりません。あの影に囚われるのは容易いですから。戦いのときは冷静でいたほうがスズは強いです」
すぐ隣の、同じように弟さんを見ているスズに話しかける。
「ですが今は戦いの最中ではありません。あの男に話を聞きたいというのならそうしてください」
見ると、確かにスズは少しそわそわしているな...
言い終わったかと思うと、リリーは少し顔を俯かせ...
「私はその... そ、そういうスズの姿が... 好きなんですから」
ボソッと、つっかえながらも、小さく、でも確実にスズに聞こえるように言う。
そんなリリーの言葉に、スズは顔を背け、自身の胸に手を当てたかと思うと...
「お、弟さん!魔物に操られていた時のことなんですけど!」
「いえ、あの今じゃなくて... 」
リリーが止めるより早く、弟さんの所に駆けていく。
「... えっと、その、仲直りできたみたいで良かったな.... っで!?」
「仲違いなどしていません」
わ、脇腹を... ひじで...
「ところでへっぽこ、落ち着いてきた今だから聞きますが、あなた昨日... 死にましたよね?」
「っ... えっと... 」
今まであまり深く考えて来なかったけど、死に戻れるって言っても良いのかな?でもどっちにしろリリー相手に嘘はつけないし...
「... 今の反応で大体分かりました。昨日、私は確かにあなたの心臓を貫通させましたしね。ですが、それよりももう一つ気になることがあります」
や、やっぱりバレてる...
「... 気になること?」
「あなた昨日、体を洗いに行った後ものすごく青ざめていましたよね。もしかしてこの事と... そうですか、関係があるんですね」
「... 出来れば聞かないでほしい」
一度目の死のペナルティは、俺の俺が燃え栄った瞬間、俺の俺に激痛が走るというもの...
昨日浴室にて、四天王を倒したということもあって気分が緩んでしまい... そういうことを考えてしまった。
まずいと思った時にはもう遅く、俺の俺が俺しないように抑えようと構えていたんだが、先に頭に激痛が走ってしまい、少しすると連動するように俺の俺も燃えるように熱くなった。
どういうことかっていうと、多分これが二つ目のペナルティなんだ... ヒートアップだけでなく、考えただけでアウトになる...
「... 」
なんというか... リリーからとんでもない軽蔑の眼差しで見られている気がする。
そんな状態で詰められている弟さんを見ていると...
「んぐ... もごおごままががっげんのが?」
「リリー様、弟さまのご様子をタイランお嬢様が伺っております」
「ありがとうございますメイ、見ての通りまだまだですよ。スズを抑えられなかったのでもう少しかかりそうです」
お、タイランが屋台から帰ってきた。見たところあれは魚を... 焼いて何かを塗ったものだろうか?
「んぐ.... ったくよお、とっとと家に帰りたくはないのかよ。一番落ち着く場所だろうに」
確かに普通あんな事があったら早くくつろぎたいものだよな...
ん?... 家... 落ち着く場所... ?
「あれリリー?昨日別に大工さんとかと話したわけじゃないんだよな?」
「は?そんな時間が無かった事はあなたもよく知っているでしょう?」
… とある一つの事実にたどり着くと、俺の開いた口は塞がらなくなり、そのままリリーの顔を見つめてしまう。
そんな俺にリリーは怪訝な顔を見せるが... 同じ結論にたどり着くと、目を見開き、店員さんたちの所に走り出していく。
「は、早く行きましょう!こんな所でモタモタしている場合じゃありません!」
そうだ、あの二人の家の扉を昨日壊したんだった...
「なんだ?リリー。おいへっぽこ、なんかリリーに用事でもできたのか?」
言うが早いか、事の元凶であるタイランは魚に食らいつき、きょとんとした表情を見せる。
メイは事の顛末を理解したようで... そんな主人の様子を、いつもの無表情でじっくりと見ていた。
第四章完です!ここまで読んでくださった方々には感謝の気持ちでいっぱいです!
人形使いや画家、新聞記者の戦闘シーンは前々から書いてみたかったので、今回それが出来て結構満足しています!ですがいざ文章に起こすとなるととても難しく、今度はもっと上手く描写したいと思っています。
四人目の四天王は当初狂人をイメージしていたのですが、書いていくうちにどんどんぶれて行ってしまい、結局主人公サイドにツッコミを入れる役割になってしまいました...
残念なことに最終章はまだまだ書けていないので、年内完結を目標に頑張ります。次回投稿は十一月... 十二月頃を予定しております。




