色々と研究を繰り返す話
1話でも語った通り、私がなろうにやって来たのは気まぐれによるものだった。けれど登録から二年ほど経った時、こんな考えが脳裏をよぎる。
「石の上にも三年と言うけど……それって逆に言えば、三年も経てばいい加減に次のステージに進んでないといけないってことなのでは?」
振り返ってみれば、この二年間で私は登録初期と比べて微々たる成長しかしていなかった。このままだと、三周年を迎えても何も変わっていないのでは?
おかしなことに、私は競争はあまり好きではないくせに、何故か少々負けず嫌いなところがある。まあ、その競う相手として設定するのは自分自身であることがほとんどなのだが。
過去と比べて何も変化がない。これはもう、自分に負けているということなのではないだろうか。
そう気付いた時、私は打ちのめされた。そして決めたのだ。「過去の自分を越えるため、もっと大きな存在になってやろう」と。
これが「ビッグになってやるぜ! ぐふふふ」という心境の私バージョンなのかもしれない。けれど、この場合の「ビッグ」とはどういう状態を指すのだろう。
色々と悩んで思い出したのは、私は創作に命を救われた身であったということだ。いわば、創作に恩があったのである。
ならば、どこかでそれを返すのが筋というもの。ではその方法は……。
「一人でも多くの人に私の書いたものを楽しんでもらうこと? そのためには、より良いものを作って、色々な人の目に作品が触れるようにしなければ。『なろう』でそれをするには……ランキングを駆け上がればいい!」
どうやら結果的には、日夜ランキング攻略にいそしむ戦士の皆さんと同じ結論に至ったようだ。
彼らのことを「自己顕示欲が強い」とか「承認欲求の塊」なんて評する方もいらっしゃるそうだが、きっと戦士さんたちの裏側にも崇高な理念があるのかもしれない。
と言っても、私の「自分を越える」「借りを返す」という動機が立派なのかは分からないが。
そんなこんなで、次話からは攻略っぽい話題が増えていく。タイトルの通り「なろうの海で捕まえて」もらうための試みをする話の数々である。
投稿を続ける内に色々と教訓も得たので、それも書いていけたらと思う。いや、そちらの方がメインかもしれない。
本当は研究結果の信憑性を高めるためにも「どの作品で実験してそんな結果を得たのか?」も入れた方がいいのだろうが、ダラダラと長くなってしまいそうなので基本的にはやめておく。
なお、私のホームグラウンドは異世界恋愛なので、研究の対象もやはりそのジャンルになっていることはあらかじめ断っておきたい。
……そう言えば、ちょくちょく「作者の『好き』は伝わるのかもしれない」という話をしたことを覚えておいでだろうか。
それに加えて「作者の熱意も伝わるのかもしれない」とも言っておきたい。
私が攻略活動を始めて一ヶ月とちょっとでコミカライズの打診が来たのだ。目を見張るような成果も挙げてないうちにである。どう考えてもまだ早い! お陰で詐欺かと疑ってしまった!
当時の詳細については以前に別のエッセイで書いたので、ここでは取り上げない。なろう内での活動を振り返るというこの作品の趣旨にも反するだろうし。
ただ、その時書いたエッセイのお陰で、エッセイジャンルの楽しさに目覚めたのは、私のなろう史における大きな発見だったかもしれない。