第一話 初手ハードな転生
現実でも最初に生まれた時にスキルが欲しかったです。
厳しいですね。
突然の痛みに声を荒らげた...はずだった。
声を出すことができない。というよりかは、泣くことしかできないのだ。しかも、体も手と足が小さくなったように、あまりうまく動かせない。自分の体の様子がおかしい。
視界もぼんやりとしていて周りの状況が把握しにくいが、間違いなく病院ではない。搬送されたわけではないらしい。
突然の出来事だったので冷静さを失っていたようだ。一旦状況を整理をする。
『まず、僕はバスを降りて...降りた後、目の前の工事現場が騒がしくて...上から大きな音がしたから、見上げたら...鉄骨...ッ!』
受け入れがたい事実に、頭痛がする。上から降ってきた鉄骨...あの大きさが頭に直撃したとして、僕は確実に死んでいるはずだ。なのに、意識があり、生きている...声はほぼ出せず、体も動かないが...。
冷静に考えた結果、信じたくない事をが結論となってしまった。
『...異世界に転生した?』
段々とぼやけていた視界が空けてくるにつれて、その結論は正しいものとなっていく。
周りはレンガ造りの建物であり、日本の都心ではありえないような光景。そして、あの時降っていなかった雨、薄くかかる霧...。
まとめると、どうやら僕は赤ん坊に異世界転生し、しかも捨てられているようだ。
『ハードモードすぎないか...』
雨風は路地の屋根、寒さからは僕が入れられている箱の中の白いタオルによって守られているが、飢えと渇きはどうすることもできない。路地から微かに見える町の道からは、人通りが無い事が伺える。僕に残された最後の希望は、誰かに気づかれて、拾ってもらう事しかなかった。
大声で泣いた。
泣き続けた。
ただひたすらに泣き続けた。
---30分ぐらい経っただろうか。既に喉は限界になっており、心は『なんで僕がこんな目に』の気持ちでいっぱいで、今にも張り裂けそうだった。なろう系のような神からの祝福や、強い力も無く、無様で非力な自分。神は死んだのか。慈悲は無いのか。誰か助けてくれ...。
お腹も空き、喉も渇きで限界になり、視界が歪んできたその時--
自分の入っている箱の前に誰かが立っていることに気が付いた。最後の力を振り絞り、声を出そうとしたが、かすれ声しか出ず、そこで意識はまた途切れた。
ここまで読んで頂きありがとうございます(`・ω・´)
早くもモチベが消えそうなので最近は動画配信サイトとかで精神統一用の曲を探しまくってます。