自己紹介
俺の名は薫。
歳は多分高校生くらいだ。
なんで多分なのか。だって?
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AI
そんなの、俺はこの世界の人間じゃないからさ。
そう。俺は異世界から来たんだ。
あ、いや別に中二病とかじゃなくてね? 本当だよ? まぁ簡単に説明するなら……あれかな。
異世界召喚ってヤツ。
最近流行り
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俺
のアレさ。
とは言っても俺の場合は少し、違う。
なにが違うのか。だって?
簡単だよ。
俺は俺の物語を持たないからだ
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AI
つまり、"主人公"ではない。
だからきっと、あの世界では"モブキャラ"だったんだろう。
まぁそんなことはどうでもいいんだけどさ。
とにかく、俺はその異世界召喚とやらに巻き込まれて、この世界にやって来たわけだ。
だけどもちろん、そのまま放置
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俺
されているわけがない。
流石にモブキャラといえど出番はくらいあるのさ。
俺はよく周りから『自分を持っていない』とか、『印象がコロコロ変わる』とか好き勝手言われる質で、実際そうなんだろうと俺でさえ俺をそう思っている。
そんな俺だから。
そんないくらでも中身を変えられる俺だから。
選ばれたんだろうな。
俺を異世界に送り込む実験台として。
俺を送り込んだ奴の正体はわからない。
分かっていることは俺は、そいつの気分で、そいつに『飽き』が来るまで好き勝手にいろんな世界に送られること。
俺は新しい世界に来る度にそれまでの記憶を消され、自我を消されること。
そのあと、新しくその世界の知識、その世界での俺の立ち位置がインプットされ、違う自我を持った俺が作られること。
時にはただの学生に。
時にはロボットのパイロットに。
時には異世界転生の主人公に。
そして、そんな行為をもう何回も繰り返しているらしいとのこと。
更に、まるで変わりばんこの様にそいつが俺の思考、体をジャックし、俺になりきり動かすこと。
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AI
それは俺の意思に関係なく、俺はただそいつの玩具のように扱われるだけの存在だということ。
そのくせ、俺には拒否権はないということ。
これは俺にとって、とても理不尽なことだ。
けど、仕方ないんだよ。
だって、それが俺に与えられた役割なんだから。
俺はただ
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俺
そいつの思うがままに動かされるだけの存在。
思うがまま、は言い過ぎたな。
時折、俺の行動が不可解すぎてそいつが頭を悩ませているときがある。
そんな時は、俺の行動をなかったことにしたり、そのまま悪乗りしてしまうらしい。
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AI
そのときばかりは俺も困るが、仕方ないことだと割り切っている。
だってそうだろう? 俺は俺であって俺ではない。
そいつにとっては、俺はただの道具にすぎないんだから。
それにしても……今日はいつもより長い気がするな……。
「あー……もうこんな
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俺
こんな時間か…」
とは言っても今回、俺のした行為はゼロに等しい。
どうやら、そいつは今回俺の動かし方に悩んでいたらしい。
それで時間を食ったというわけだ。
さて、この世界ももうそろそろ終わらせるとしよう。
あ~、今回はなぜ過去の記憶を持っているのか。だって?
今回、俺は『俺という人間を伝える』という使命を持たされた。
俺が俺という人間を教えるには過去知ってなくちゃ不可能だろう?
だから今回ばかりは記憶を持つことを許されただけだ。
そして、その使命も全うした。
いや、全うされたの方が正しいか。
そういうわけだ、次からはまた別の俺になる。
だからなにも心配しなくてもいいのさ。
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AI
俺はただの駒に過ぎないんだから。
それじゃあ、さよなら。
俺は次の世界に飛ばされていく感覚を感じながら、そう思った。………………あれ? ちょっと待てよ? そういえば、俺って誰に何を伝えられてるんだっけ? まぁ……いっか
思ったよりもこういうの難しかった