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恋バナ

「あ~あ、彼女欲しい~」


学校からの帰路の中、隣に並び立つ友が溜息交じりに気持ちを吐露する。


「なぁ薫、お前もそう思わねぇ?」

「…彼女かぁ。」

「そう彼女。欲しいとは思わない?」


彼女、彼女かぁ…。


「いや別に、いいかなぁ…。」

「なんで!?」

「だって


_____________________

AI


だってさ、ほら、俺ってモテないじゃん?それに今更彼女とかいらないよ。」

そうなのだ。

俺はこの年まで彼女が出来たことがない。

そして今後も出来ないだろうと思っている。

何故なら、

「そりゃそうだろ!何せお前は……」

「うん、そう。


_____________________


そもそも俺はその資格すらないからねぇ。」


そうだ。俺には資格がない。

その資格はもう手に入れられないもので。

今更渇望しても遅いもので。

なんなら生まれで手に入れられるかも決まってしまう可能性のあるもので。


「まぁ、うん…。元気出せよ?」

「なんで俺が励まされてるんだ…。」


そう。俺には


_____________________

AI


婚約者がいるのだ。それも、かなり年の離れた少女とだ。

「あーあ。どっかに可愛い子いないかなぁ。」

「……いるんじゃね? 例えばあの子とかさ。」

「どれだよ。」

指をさす方向を見るとそこには小さな女の子がいた。

年齢は


_____________________


まぁ目を瞑ろう。

どこぞの源氏も自分が可愛いと査定したロリを手に入れてた事だしな。

愛に年齢は関係ないのだ。


「いや、お前…」

「何か問題でも?」

「いや、お前、これは問題しかないだろう…普通に捕まるぞ」


やめろ、その犯罪者を見るような目で俺を見るんじゃない。


「確かに捕まるな。けどさ…」

「…?」

「恋愛に歳の差なんて関係なくね?」

「は?」

「大人になったら20歳差の人と結婚する人だっているだろ?」

「そりゃまぁ、いるけど…でも」

「今回の場合はただちょっと出会うのが速かっただけなんだよ。俺たちがどちらも子供の状態で出会ってしまっただけ。だったらさ、俺たちが大人になるまで待てばいいだろ?」

「いや、お前何言って」


俺は友の言葉を遮り更に言葉をぶつける。


「俺はな、お前に諦めてほしくないんだよ。お前には彼女を作ってほしい。ましてや相手は男を知らない無垢な子供だ。ちょっと何かしてあげれば速攻で堕ちる。お前はこのチャンスを無駄にするのか?」

「ッ!」


俺の言葉に友が息をのむ。

導火線は容易した。

後は火をつけるだけだ。


「行けよ。ここで行かなきゃいつ行く」

「今だろうがッ!」


そういうと友は


_____________________

AI


どうやらうまくいったようだ。…………。

「あれ?俺ってば結構最低なこと言った気がするんだけど……」

なんか罪悪感湧いて来たわ……。

まぁ気にしないでおこう。

それにしても友は上手くいくだろうか。


_____________________


いや、行かないわけがない。

あのくらいの年齢の女の子はちょっと精神が成熟して大人びてる人が気になってしまうのだ。

まぁ余裕も余裕、A判定といったところだろう。


_____________________

AI


「よしっ!俺もそろそろ行こうかなぁ~」

そう思い、俺もまた少女の元へと向かった。

「すみません。今少しいいですか?」

「え?はい。大丈夫ですよ。」

声をかけると少女は笑顔で答えてくれた。

よし


_____________________


ナイス手応えktkr

さて、どうこの城を崩そうか。

率直に容姿を褒める方向性で行くか?

それとも、小物などを褒めることで相手に『これ知ってるんだ!』の喜びを与えて警戒を解かせるか。

どちらにすべきか…。


「あのぉ?」


おずおずといった感じで少女が俺に話しかけてくる。


_____________________

AI


おっといけない。思考に集中しすぎてしまってたみたいだ。

ここは素直に謝っておこう。

「あっ!すいません!考え事をしていて……」

「いえ!全然大丈夫です!むしろ私の方が急に声をかけられたので……」

ふむ、ではここは何も言わずに


_____________________


ボロンするか、ボロン。

もう考えるのもめんどうだ。

ボロンして通報されるかされないかで勝負が決めよう。


「実は見てほしいものがありまして…。」


言いながらチャックに手を掛ける。

そのジッパーを下すまでの動作はさながら華厳の滝の様に大胆で美しく、暗殺者の様にしなやかで静かである、と俺はそう脳内で実況する。

ジジジ、と音がする。ジッパーが降りきった合図だ。

さて、後は俺のエクスカリバーを抜刀するだけ。

いくぜ…。


_____________________

AI


……あれ?

「あ、あのぅ……」

少女の声が聞こえる。

だが俺はそれを無視。

何故なら俺が今集中しているから。

そう、俺は今集中しているのだ。

だから、俺は聞こえていない。

「あ、あの……? もしかして、見え


_____________________


てないんですか?私の事」


突如、少女の声が俺の耳元で聞こえる


「ッ!」


俺はバッと後ろを振り向いた。

そこに居たのは


「なんだ、見えてるじゃないですかぁ。」


少女じゃない。


「もう、びっくりしましたよぉ。私がこの世のものではないって途中で気付いたんですかぁ?」

「はっ!まさか、悪霊!?」

「ピンポーン!」


なんてこった。

ボロンしようと思った相手がまさか悪霊だとは!

ボロン…?

ああ、なるほど。

職業病ってわけか。


「さーてと、じゃあ、ここで死になさい!」


悪霊が俺に向かって駆け出す。

無駄だ。

もうすでに俺はジッパーを降ろしていたのだから。

これを俺が侍で例えていえば、もうすでに鞘に手を掛け、構え、いつでも抜刀できるようにしてあるのだ。

侍の得意技は居合。

自分の距離になった所で刀を高速で抜き、切り裂くあのかっこいいやつだ。

そして、それは日本男児である俺も例外じゃない。


「後三歩…二歩…」

「なにぶつぶついってんのよぉ!おかしくなっちゃった?」

「一歩…ッ!」


ここだ。

ここが、俺の距離。


「しになさぁぁぁぁぁぁぁい!」


悪霊が拳を振らんと右腕を構える。

はぁ。


「おせぇよ。」

「ッ!」


瞬間、悪霊の身体がばらばらになる。


「な、なんで…!」


ばらばらになっているはずの悪霊がそう呟く。


「相手が悪かったな。まさか俺に出会ってしまうなんてな。」


俺もまさか、口説こうとした相手が悪霊だとは思わなかった。


「き、貴様!その股間にあるものは…!」


そう。俺の股間にあるのは


「え、対幽霊特攻剣エクスカリバー!?」

「…」

「き、貴様!まさか私を狙っていたのか!」

「ちげーよ、俺もまさか、こうなるとは思わなった。」


そうだ、誰にもわかっていなかった。

口説き相手が悪霊で、そして口説こうとした本人おれが、『ゴーストバスター』でであったのだなんて。


「ぐ、偶然…?」

「そうだ、すべては偶然の産物だ。」

「そ、そんなぁ…」


言いながら幽霊の身体が砂となって解けていく。

除霊されたのだ。


「はぁ。」


彼は、深く溜息をついた。

少女に話しかけたのも、少女に対して急にボロンしたくなったのも、すべてはゴーストバスターとしての嗅覚、職業病からだったと察したからだ。

彼にとってたまの休日でさえ戦場になってしまう。

その心労は計り知れないだろう。

しかし、彼は戦う。

平和のために。

みんなの笑顔のために。


ゴーストバスターの戦いは、今日も続く。

わけわからん。

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