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異世界転生

見渡す限りに広がる緑の大地。

水色と白でその身を染めた雄大な空。

ふんわりとした風が俺の頬を優しく撫でる。

それを感じて歓喜を隠せない俺は居ない。


「ああ、遂に…遂に…来たんだなぁ!」


_____________________

AI


この世界に来てから早数年。

異世界転生してからずっと憧れていた光景を目の当たりにしているのだ。

嬉しくないはずがない! 喜びの声を上げずにはいられない!!

「これが、これが……『外の世界』なんだ!!」

そう言って両手を広げ、満面の笑みを浮かべ


_____________________


両手をぐーーんと空に伸ばした。

あぁ、今なら空を飛べそうだ。


「あぁ、父さん。母さん。みんな…!俺は今ここまで来たよ!」

「ちょっと、俺じゃなくて俺()()でしょ?」


後ろから鈴のような美しい声が聞こえる


「ああ、そうだな。俺たちだ」


_____________________

AI


「もう、しっかりしてよね?これから私たちは一緒に暮らすんだし……」

「そうだな。よろしく頼むぞ『アイラ』」

そう言って彼女の頭をポンっと軽く叩く。

彼女は少しだけ頬を赤く染めると

「うんっ♪こちらこそよろしくね『カオル』」


_____________________


彼女は機嫌良くそう答えた。

ああ、愛しい奴だ。

アイラとはこの世界で共に『失敗血族』としての烙印が押されながら生まれ落ちた。

俺たちはこの世界に疎み、嫌われた。

故に俺たちはここを目指した。

この『外の世界』へと

ここは


_____________________

AI


遥か昔に魔王によって滅ぼされた国がある場所だった。

今では誰も立ち寄らないような辺境の地になっているらしい。

そんな場所になぜやってきたのかと言うと それは数年前に遡る。

俺とアイラは二人で旅をしていた。

俺たち二人はある目的で各地を放浪していた。

そしてある日の事だ


_____________________


俺たちはオークに襲われようとしている商人を見つけた。

そこでなんやかんやあって俺たちは『失敗血族』が持つ本来の力。

そう、神の力を覚醒させた。

その時俺たちは確かに聞いたんだ。

俺たちを視る次元の主の声を。

奴は俺たちにこう言った


「天のいたずらによりこの世界に生まれ落ち、神の力を宿いし者達よ。貴様らはその力を持って何を望む?」

「決まってんじゃない!私たちは元の世界に戻るのよ」

「そうか、ならば『外の世界』を目指せ。貴様達が望む物はそこにあろう」と。


だから俺たちは決死の覚悟でここに来た。

しかし、奴の言っていた答えとは一体何なんだ?

そんな時、辺りを見渡していたアイラが「あ」と声を上げる


「カオル!あれを見て!」


俺はアイラ指さす方向を見た。

そこにあったのは


_____________________

AI


小さな小屋だった。

俺たちはその小屋へと向かう事にした。

「あの〜すいません。誰かいますか?」

俺は扉を叩きながら中にいるであろう人物に声をかけた。

すると中からは一人の老人が出てきた。

白髪混じりの長い髭に痩せこけた体躯。

見るから

_____________________


にして生い先が長くはないだろう、ということだけはわかる。

しかし、俺たちは一片たりとも油断はできなかった。

なぜなら


「あんた…何者?」


俺たちの持つ神としての力が告げていたからだ。

目の前の老人が持つ力のやばさを。

『この者は只者ではない』ということを。


「私か?私は


_____________________

AI


ただの隠居爺じゃよ。君たちこそこんなところで何をしている?」

老人の言葉を聞いて俺は一瞬困惑する。

まさか本当に只者のじいさんなのか? だとしたらなんてことだ。

これではせっかくの手がかりが無駄になってしまう。

そう思った俺だったが、アイラは違ったようだ


_____________________


「あんた、つまんない嘘つくわね」


瞬間、アイラの姿が一瞬ブレてかと思いきやその姿を消した。

視線を老人に戻せばすでにそこには既に何かを殴りぬけた様なアイラの姿だけがあった。


「アイラ!なにしてんだよ!ああもう!老人が吹き飛んだじゃないか!」

「カオルこそなにしてんの!あんたも感じたんでしょ!あいつの持つプレッシャーを!」

「だとしても能力を使うなんて!もしただの一般人だったら」

「もしただの一般人だったら、私は時の狭間に吹き飛ばされていただろうな」


どこからともかく老人の声が聞こえる。

おかしい、おかしいぞ。

なんでアイラの能力を食らってその存在を確立できる?

というか老人はどこだ?


「ほぉら、やっぱり、普通じゃない」


アイラがやっぱりねと言わんばかりの笑みを浮かべる。

そして突如俺たちの目の前の空間が歪み、老人がその姿を現す。


_____________________

AI


「な、なんだ!?」

「カオル!構えて!」

アイラの声と同時に俺は身を構える。

次の瞬間、老人は俺たちに手をかざし

「『時空干渉』」

そう呟いた途端、俺たちはまるでブラックホールのようなものの中に吸い込まれていった。

「う


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そだろ!?

これはアイラの能力『時空干渉』じゃねぇか!」

「しかも私の能力の発動条件である『対象に接触すること』をまんま無視して私たちを時の狭間へと飛ばしたわね」


時の狭間、それは時と時の真ん中にある空間で、半端な力しか持たない存在が入り込めばその膨大すぎるエネルギーで押しつぶされ圧死するどころかその存在そのものが消滅してしまう空間だ。

今俺たちが生きているのも神の力でなんとか生きながらえているに過ぎない。

そんな絶対絶命でいつ死んでもおかしくない状況なのに


「ハハッ!おもしろいわね!あの老人!」


アイラは笑っていた


_____________________

AI


この状況で。

「おいアイラ!笑ってる場合じゃ……」

「だってしょうがないじゃん!ワクワクしちゃったんだもん!」

そう言ってアイラは笑う。

しかしそれもつかの間、俺たちは突然地面に投げ出された。

どうやらあの老人に落とされたらしい。


_____________________


ん?地面?時の狭間に地面なんて物は存在しないはずだが…

周りを視れば見渡す限りに広がる緑の大地。

水色と白でその身を染めた雄大な空。


「なるほど。戻されたってわけだ。」

「…一体どういうつもり?」


アイラが不機嫌そうに聞く。

そりゃそうだ。ピンチだからこそ楽しんでたのに今こうして興を削がれたわけだからな。


「まぁ落ち着け小娘よ。私はただ


_____________________

AI


お前達に興味があるだけだ」

「興味?」

俺が聞き返すと老人はこちらを見て言った。

「そう、興味だ。私にあそこまでの力を使わせるとは思わなかった。」

「あーつまりあんたがあの技を発動させたのは俺らのせいだと?」


_____________________


「そういうことだ。というかそれ以外に何がある…私は突然殴られた側の人間だぞ…」

「そりゃそうだ。」

「な!?だって仕方ないでしょ!?私の中の神があんたに対して警笛をビンビン鳴らしてたんだから!ああするしかないじゃない!」

「神…?あぁ、なるほどあの力は道理で…

_____________________

AI


しかしそれにしても神……神ねぇ……ふむ、少し話を聞かせてくれないか?」

「話?」

「なに、時間はたっぷりある。私は君たちに興味を持ったのだ。だから君たちがこの世界に来る前のことを詳しく知りたい。」

「別にいいけど」

「なら決まりだ」

_____________________


三人揃って先の小屋の椅子に座り込む。

勿論俺とアイラが隣。

老人が対面だ。


「さて、聞かせて貰おうか。君たちがこの世界に来る前の話を。」

「あ、あぁ。俺たちがここに来る前は各地を旅して」

「待て。それは外の世界の話だろ?」

「そうよ、文句があるってんの?」

「俺が聞きたいのはこの世界。ああ、もっとわかりやすく言うか。君たちが『地球』に住んでた頃の話だ。」


_____________________

AI


…………は? いまなんて言ったこいつ?

「ちょっとまって、あなたいったい何を言ってるの?」

「そのままの意味だが?」

「ふざけんじゃないわよ!私たちが地球人だって言い張ってんの!?」

「違うのか?ではなぜこの世界の言語を理解し喋


_____________________


っている?」


その発言を聞いた時俺は頭の横をガツンと殴られたような感覚がした。

そうだ、そうだった。なんで今の今まで気が付かなかった?

あいつが喋ってたのは今の今まで日本語だけじゃないか!


「あんた!何者だ!」

「私は君たちの先駆者。言わばパイオニアだよ」

「パイ、オニア…?ッ!まさか!」

「私たちよりも先にこの異世界に転生させられた人間だって言うの!?」

「yes。まさしくその通りだ。しかし君たちは勘が鈍いな。この事実に今更気づくなんてな。」


全くその通りである。

_____________________

AI


俺は自分の考えの甘さに呆れ果てる。

「で、でも!なんでそんな奴が私たちの前に現れたの!?」

「私が知りたかったからだ。」

「はぁ!?」

「私はずっと疑問に思っていた。どうして私はここに連れて来られたのか。そしてその理由


_____________________


を知りたかった。君たちの神の力を覚醒させたということは、聞いたのだろう?あの声を」

「「次元の主」」


意図せず俺とアイラの声が重なる。

もう何年も兄弟やってんだ。

そういうこともある。


_____________________

AI


「そう、それこそが我らが次元の神、デウス・エクス・マキナだ。私は彼に問いただしたのだが彼は答えなかった。だから私も直接本人に聞こうと思ったのだ。」

「それで俺たちの前に現れた。ということか。」

「理解が早くて


_____________________


助かるよ」

「ま、勘は鈍いけどな。」


俺の軽い自虐ネタの様なものに老人は少し口角を上げる。

いや、これは…苦笑いか。


「それで、そのデウスのなんちゃらにはどうやって会いに行くのよ?」

「あぁ、そうだ。その直接本人に聞く方法ってのはなんなんだ?なぜ俺たちを必要とした?」


_____________________

AI


「……質問が多いな……まあいいか……まず最初に言っておくが私は彼に会うことはできない。なぜなら彼が居る場所は時の狭間だからだ。」

「時の狭間?」

「そうだ。この世界を創った神でさえ存在を許されない場所。そこに行けるのは同じくこの世界に干渉できる力を持つ


_____________________


存在が必要だ。ここまで言えばわかるかな?」

「………はッ!それって!」

「そう、君だよ。アイラちゃん」

「手順は簡単だ。俺が君たちを今一度時の狭間へと送り出す。そこで奴に会って来い」


成程、それは簡単だな。


「でも俺たちだって無敵じゃない。そんな長い時間時の狭間に居たら普通に死ぬぞ」

「そこでアイラちゃんの出番だろう?」

「そうか!」

「ちょちょちょちょっと待ってよ二人とも!私がついていけてない!」


ああ、説明してなかったな。


「簡単だよ。お前が自分に触れた時の狭間のエネルギーを片っ端から時の狭間に送ってやればいい」

「…なるほど!そうすれば」

「時の狭間が持つ膨大なエネルギーに押しつぶされることもなくなる。というわけだ」

「っとなると後はデウスエクスマキナに会いに行くだけだ。」


_____________________

AI


「だが気をつけろよ。奴は恐らく君たちが想像しているよりも遥かに強大な力を持っているはずだ。」

「わかってるさ。だからこそ俺たちは強くならなくちゃいけないんだ。」

「ふむ、君たちは強い。この世界の誰よりもな。私が保証しよう」


_____________________


「さて、説明もこれくらいにして、そろそろ時間というわけだな。」

「ウ、嘘!?そんな急に行くの!?」

「そんな急にだ。時は待ってはくれない」

「ま、危なそうだったら戻ってくればいいし、焦ることは無いな。」

「ちょっとカオルまでヤル気になってるし!」


_____________________

AI


「ははは、じゃあ行ってくるぜ爺さん」

「ああ、行ってこい。我が子達よ」

そうして俺たちは再び時の狭間へと飛ばされた。

______

「お、帰ってきたか」

「おかえりなさい」


_____________________

老人とアイラが時の狭間から帰還した俺を優しく出迎えてくれる。

あのあとなんかてんやわんやあってアイラは先に帰還。

俺は残ってデウスエクスマキナと対話し続けた。


「で、どうだった?」

「四年も待ったのよ。さぞかしいい結果だったんでしょうね?」

「ああ、話すよ」


デウスエクスマキナとの対話の結論は簡潔に述べるとしたら、こうなる。


「俺たちの冒険はこれからだ!」

誰かが描いたイメージじゃなくて

誰かが選んだステージじゃなくて

僕たちが作っていくストーリー(打ち切りオチ)

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