第3話 居候
なりゆきでトントン拍子に話が進み、レンはシンの所属するバンドに参加する。
ユウ、ジュンにも暖かく受け入れられるレンに対して不信感や不服さが拭えないシン。
しかしそんなシンに更なる不幸が迫り来る。
シン「…あのさ」
ユウ「あ?」
シン「もう第3話目なのにまだ1日が終わらないんだけど」
ユウ「あー、安心しろ、世の中にはほんの数時間の出来事を1ヶ月もかけて放送するアニメもあるから」
シン「メタいのやめろ」
ユウ「お前もな」
シン「ソウルブレイカー」
レン「第3話、居候」
SE(音楽準備室、もとい部室)
シン「…(何やら不機嫌そうな顔)」
ユウ「そうそう…うん、それが高いドな」
レン「こう?」
ジュン「じゃあ一度ドレミ音階やってみようか」
レン「うん」
SE(初心者とは思えない程上手にドレミ音階を奏でる)
シン「なっ…!;」
ユウ「おーっ、レンたんすげーっ」
ジュン「上手い上手い、これなら曲弾くのも楽勝じゃない?」
レン「ありがと」
シン「てかちょっと待て!おかしいだろ絶対!;」
ユウ「はぁ?おかしいのはお前の顔だ」
シン「殴りますよ」
ユウ「うむ、何がおかしいのかねシン君」
シン「だって初心者だろコイツ!初めてギター触った癖に何だよこの腕前!;」
ユウ「だぁってうちの子天才なんですものー(可愛く)」
シン「やめろ気持ち悪い、つーかいつ産んだいつ;」
ユウ「5年前?ね、ぱーぱ(ジュンを見て)」
ジュン「ははは、そうだねー(笑)」
シン「さて、何処からつっこもうか」
レン「………バイオリン(唐突にぼそっと)」
シン「は?;」
レン「僕、バイオリン得意なんだ、だからこれも弾けるんだと思う…同じ、弦楽器だし」
シン「え、そんな理由で弾けるわけ?;」
ユウ「あーそっか、なるほどねー」
ジュン「どーりで上手いハズだね」
シン「えっ、ウソ、そこお前ら納得しちゃう!?;」
ユウ「このドレミ音階マスターすんのに2ヶ月かかったキサマよりはな」
シン「うっ、てめ、人の心の傷に塩塗り込みやがって;」
ユウ「あぁ、すまん、塗るのはコチュジャンだった(片手にコチュジャンを持ち出し近付く)」
シン「ホントに持ってくんなバカ!;つーかこっち来んなマジで!!;」
レン「…(二人の様子をじっと見ている)」
ジュン「ごめんねー、あの二人煩くて、いつもあぁなんだ」
レン「いや、別に……見てて飽きないし」
ジュン「ははは、面白いでしょ」
レン「…」
ジュン「俺らは幼なじみなんだけどね、みんな教会の孤児院育ちなんだ」
レン「へぇ…」
ジュン「俺とユウは5歳くらいに孤児院に入ったんだけど、でもシンはそれより前から孤児院にいたんだよ」
レン「…」
ジュン「君は、どうしてここへ来たんだい?(優しい表情で聞く)」
レン「僕は…親の都合で」
ジュン「そっかぁ」
レン「…」
ジュン「大変だね……いないのに」
レン「っ!?(ドキッとする)」
ジュン「…こっちに友達いないんでしょ?(にこっ)」
レン「あ…あぁ;」
ジュン「シンてあぁ見えて面倒見良いし、俺らも友達が増えるのは大歓迎だから、これからも仲良くやって行こうね」
レン「………こちらこそ;」
SE(やがて日が暮れ始め、4人は学校を出て校門前に)
ユウ「さーて帰りますかぁ」
ジュン「俺とユウは第2寮だからあっちなんだけど…レンは?」
レン「第1」
シン「げっ!;(嫌そうな顔でレンを見る)」
レン「なに?(シンを見る)」
シン「や…なんでも;(顔を逸らす)」
シン『はぁ〜、やだな、コイツと寮一緒かよ;』
ユウ「じゃあシンはちゃんとレンたんを家まで送れよ?」
シン「はいはい…つーか目的地一緒ですから;」
ユウ「んじゃーまた明日な!」
ジュン「またね、二人とも(笑顔)」
シン「おー」
SE(二人が去っていく)
シン「んじゃ、俺らも帰りますかね」
レン「うん」
SE(ユウとジュンとは反対方向に向かってシンとレンも歩き出す)
シン「…」
レン「…」
シン「…」
レン「…」
シン「…あのさ」
レン「なに?」
シン「お前、なんか興味あるものとかあんの?」
レン「別に…」
シン「ふ〜ん…」
レン「…」
シン「…」
レン「…」
シン「……趣味とか」
レン「特に考えた事ない」
シン「いやでも1つくらい楽しみはあるだろ」
レン「……特に思いつかないな」
シン「あ…そう……」
レン「…」
シン「…」
レン「…」
シン『………ダメだっ!会話が続かない!;(泣)』
SE(レンは黙々と歩き続ける、シンはその隣を歩きながら)
シン『つかなんでコイツこんなしゃべんねーワケ!?無表情だし笑わねーし!;大体こんな無口な奴としゃべる話題なんて無…』
SE(そこまで考えてふと気付く)
シン「あ、……な、なぁ」
レン「なに?」
シン「エクソシストって、なんだ?;」
レン「…テレビとかで聞いたこと無い?要はあんな感じ」
シン「牧師さんとかが十字架持って鎮まりたまえ〜、みたいなやつか?」
レン「…それとは違うけど…まぁやってる事は同じかな」
シン「じゃあお前のあれはなんだ?銃から光ぶっ放したヤツとか十字架の壁とか」
レン「あの光は一部のエクソシストが使える力で、通称をゴスペル。昔レウスは自分の力を数人の従者に授けたそうだ、僕はその内の一人の生まれ変わりだから、その力を受け継いでる」
シン「お前も誰かの生まれ変わりなのか」
レン「うん」
シン「誰の?」
レン「話してもわからないよ、教科書に出てくるような人じゃないから」
シン「そ、そか」
レン「…力は持ち主に応じて形を変える、僕は銃だけど、剣として使う人もいるし…形は様々なんだと思う」
シン「へぇ…」
レン「…ちなみに十字結界は聖教者なら誰でも使える」
シン「そうなのか?」
レン「あれは道具の力だからね」
シン「へぇー…」
レン「…」
シン「…あの黒いのは?」
レン「あれは影、文字通り人の影…人って自分の本心をなかなか表には出さないだろ?」
シン「あぁ…かもな」
レン「そんな本心は大体全て影に取り込まれる、それが溜まりに溜まると影は意思を持った欲の塊として動き出す」
シン「それが、あれか?」
レン「うん、あれも誰かの欲の塊…影があぁして意思を持つと、その影の持ち主にも影響が出る。もっと行くとやがて影に取り込まれて、現実で欲の塊となって暴走するんだ…そうならないようにするのが僕達の仕事」
シン「はー…よくわかりました;」
レン「それはよかった」
シン「……あ、着いたぞ」
SE(話しながら歩いているとやがて寮にたどり着く、そこは寮と言うよりはマンションに近く、8階建ての割とお洒落で立派な造り)
シン「入る時はパスワードがいるんだ、お前聞いてるか?」
レン「あぁ…なんかそんなの聞いた」
シン「ならいいや」
SE(言いながら郵便受けを開ける、入っていた手紙は2通あり、それを取り出す)
シン「これは携帯代…こっちは……なんだこりゃ、差出人書いてねーな」
SE(シンが手紙を見回す、するとレンが)
レン「で、シン、この扉はどうやって開けるの?」
シン「あ?…あぁ、ここの数字でパスワードを入れてだな…」
SE(扉の所まで行くとピッピとパスワードを入力、すると自動ドアが開く)
シン「これでよし」
レン「へぇ…」
SE(二人が奥へ入る、エレベーターを呼んでそのまま中へ)
シン「お前何階?」
レン「3階」
シン「3階ね…」
シン『げ〜、ここも一緒かよ;』
レン「…」
シン「………ほら、着いたぞ」
SE(先にシンがエレベーターを降り、向かって左に歩き出す。その後ろをレンが着いて行く)
シン「…」
レン「…」
シン「……なっ…んで!ついてくんだよっ!;」
レン「僕もこっちだから」
シン「……(果てしなく嫌な予感がしている)……因みに…部屋番号は?;」
レン「305」
シン「俺の部屋じゃねーかっ!!;」
レン「そうだよ」
シン「そうだよって…俺何にも聞いてねーぞ!!;」
レン「手紙来てるハズだけど…」
シン「手紙?まさかさっきのコレ!?;」
SE(シンが差出人の無い手紙を開ける)
シン「第1寮305号室入居者へ、25日よりもう1名入居、先に入っている者は支給されている部屋のうち一つを開ける事、クリストファ学園理事長、美原聖子…」
レン「ね?」
シン「ね?じゃねぇ!;大体今日入るのに今通知渡してどうすんだよバカ!!;」
レン「別に散らかってても気にしないけど」
シン「そーゆー問題じゃねぇんだよ!;」
レン「まぁ立ち話も何だし、中に入ろうよ」
シン「お前に言われたく無いし;」
レン「じゃあシンは外にいるんだね(ちゃっかり合い鍵で扉を開けている)」
シン「や、待て!なんでそうなる!;」
レン「違うの?」
シン「当たり前だ!入れろ!;」
レン「はいはい」
SE(二人が中に入る。片付いた室内は割と広めで、少し廊下を歩くとキッチンとリビングがあり、その向かって右には扉が二つある。二人はまずリビングへ向かう)
レン「…片付いてるね」
シン「あー、散らかすの嫌いでな」
レン「へぇ…」
エル「違うわ昨日一日かけて掃除したのよ、それまでは凄く散らかってたのよね」
シン「!?;」
レン「エル」
SE(正面のベランダに通じる窓が開いており、そこからバサッと一羽の鳥が入って来る。レンが左腕を差し出すとその上にとまる)
エル「その証拠に部屋の隅は埃が溜まっているし、よく見れば片付けた物は部屋の隅に雑に置かれてるだけだもの、レンならもっと綺麗に掃除するわよ」
シン「とっ、鳥がしゃべった!!;」
エル「(むっとして)失礼ねっ!私れっきとしたレディなのよっ!?」
シン「んな事言ったって鳥じゃん!鳥!超鳥!丸まんま鳥!丸鳥!;(錯乱)」
エル「アンタど突くわ(怒)」
レン「エル」
エル「…わかってるわよっ;」
SE(レンが制止するとエルはふいっと顔を背ける。が、それ以上は何もせず)
レン「改めて紹介するよ、彼女はエルダ。見た目は鳥だけど、偵察と情報収集の能力にとても優れてる。僕の相棒だ」
エル「エルって呼んでね」
シン「は…はぁ;」
レン「で?(エルに向けて)」
エル「えぇ、言われた通りこの寮全体に張っておいたわよ、これで低級なら大丈夫だと思うわ」
レン「わかった」
シン「待て、張ったって何だ;」
レン「さっきの結界だよ、家で影に襲われたくはないだろ?」
シン「や、まぁ…;」
レン「じゃあエルは引き続き見張りを頼む」
エル「えぇ…じゃあシン、またね(ウインク)」
SE(バサッと窓から飛び去る)
シン「…なんだったんだ;」
レン「…それで僕の部屋は?」
シン「は!そうだ;マジで今俺の部屋に空きはねぇぞっ?;」
レン「…」
SE(後ろの扉のうち片方を開ける、と、もはや中は物置と化している)
レン「確かに…なさそうだね」
SE(扉を閉めるてシンを見る)
レン「なら一緒に寝るよ」
シン「はぁぁ!?;」
レン「こんなカオスの中心、すぐに片付けらんないでしょ?」
シン「人の部屋を混沌扱いすんな!;」
レン「なんにせよ、ソファや床に毛布かけただけで寝たくはない」
シン「だからって何で一緒に寝るんだ!;」
レン「じゃあ余分な布団はある?」
シン「…ありません;(小声)」
レン「はい決まり、じゃあ僕は疲れたのでもう寝ます」
シン「は!?ちょっと待て!;」
レン「待たない、眠い、おやすみなさい」
SE(ぱたんとシンの部屋に入って行く)
シン「………てかまだ5時半なんすけど;」
SE(帰宅するユウとジュン)
ユウ「(前を向いて歩きながら)…オイ」
ジュン「(ユウの方を見る)なに?ユウ」
ユウ「さっきレンに何言った?」
ジュン「別に何も?普通に話してただけだよ」
ユウ「(ちらりと横目でジュンを見る)本当か?」
ジュン「もちろん(にっこり)」
ユウ「…(ジュンを見たまま)」
ジュン「…(ユウに笑顔を向けたまま)」
ユウ「レンに余計な事するなよ(少し目を座らせて)」
ジュン「過保護だねぇ、ユウは」
ユウ「するなよ(強く)」
ジュン「…はいはい(笑顔)」
ユウ「……どこまでわかってんだよ全く(呆れ気味に)」
SE(シンの部屋、シングルより少し広いベッドのど真ん中でレンが眠っている)
シン「……」
レン「(熟睡)」
シン「…で、俺はどこで寝りゃいいんだ;」
第4話へ続く