第12話 疑惑
灰色の少年ジンと共に居た少女マリアを説得し事なきを得た2人。
しかし意外な人物がこの事態に関わっていると察したレンの言葉に動揺を隠せないシン。
そしてその人物の言った「お友達」とは一体誰なのか…。
シン「エリ先生がっ…?まさかそんなっ…;」
レン「可能性は極めて高い」
シン「でもっ;」
レン「…エルダっ」
SE(レンが呼ぶと何処からともなくエルダが窓の縁に舞い降りる)
シン「ソウルブレイカー」
レン「第12話、疑惑」
エル「お呼びかしら?」
レン「調べて欲しいことがある」
エル「藍川エリの事ね」
レン「…マークしてたのか」
エル「当たり前じゃない、あたしを誰だと思ってるの?」
レン「さすが相棒(ふっと笑う)」
エル 「まぁね(ウインクを返す)」
レン 「それで何か掴めたか?」
エル「一応ね」
レン「話してくれ」
エル「藍川エリに、影はついてないわ」
シン「そ、それじゃ…(ぱっと顔が明るくなる)」
エル「でも、かなりの確率で悪魔の可能性がある」
レン「っ!」
シン「あ…悪魔?;」
エル「そうよ」
シン「悪魔って…そんなの空想だろ?実在なんかすんのかよっ;」
レン「実在…と言うより、影に完全に飲み込まれてしまった人達を僕等はそう呼んでいるんだ」
シン「…そんな…じゃあ、先生はやっぱり…;」
レン「もちろん、まだ100%ってわけじゃないさ」
エル「でも警戒はしておかなきゃいけないわ…シンには気の毒かも知れないけど…;」
シン「…;」
レン「仕方ないよ、それに、シンにはもっと神としての自覚を持って貰わないと困るしね」
シン「なっ、なんだよソレっ;」
レン「もっと危機感を持ってくれって言ってるんだ、シンがいなくなったら世界がどんな事になるかは、前に話しただろ?」
シン「っ…;」
レン「シンが優しいのはわかるけど…まず他人より自分の心配をすべきだ」
エル「ちょっとレン…;」
シン「いやっ…いいんだ…レンは間違った事、言ってない…;」
エル「…;」
SE(少し離れた場所からユウの声がする)
ユウ「おーいシンー、レンたーん」
シン「ユウ、ジュン」
レン「(やってくる二人を見ながら)エル」
エル「えぇ」
SE(エルダがその場から飛び立つ、同じ位のタイミングで二人がやってくる)
ユウ「こんなとこいたのか、探したぞ」
シン「あ、悪りぃ…てかどうしたよ2人して」
ユウ「どうしたって…もう下校時刻過ぎてるからさ」
ジュン「さっき放送鳴ったんだけど、聞こえなかった?」
シン「げっ、マジ!?;」
ユウ「部室は俺らが片付けといたから…ほい、お前らの鞄」
SE(言いながらシンに2つ鞄を放るユウ)
シン「あ…あぁ、さんきゅ;」
ユウ「さー、帰ろ帰ろ」
ジュン「早く帰らないとシスターに怒られるよ(笑顔)」
レン「うん」
シン「……(立ち尽くしている)」
レン「……シン」
シン「えっ?あっ、あぁ、帰るか;(無理したようにへらっと笑う)」
レン「……うん」
SE(帰宅後、封印された物置のような部屋で何か探し物をしているシン)
レン「…シン」
シン「なんだ?」
レン「何してるの?」
シン「木刀探してるんだよ、確かあったはずなんだ」
レン「誰かにヤキ入れにでも行くの?」
シン「お前…思考が段々ユウに似てきたな;」
レン「そうかな?」
シン「………レン、俺に言ったろ?イメトレしてみろって」
レン「うん、言った」
シン「やってみようと思ってさ」
レン「それで何で木刀?」
シン「中学の時修学旅行先で勢いで買ったんだけど……前にさ、剣道やってたって言っただろ?それでいつか俺も戦う事になったら何が1番いいかなって考えたら、これが1番だと思ってさ…そこそこ強かったし」
レン「ふーん…」
シン「……お、あった」
SE(ガラクタの中から木刀を掘り出すシン)
シン「…ん、愛刀エクスカリバー(にへっと笑う)…なんちって」
レン「…シン」
シン「ん?」
レン「何焦ってるの?」
シン「え?」
レン「何か焦ってるだろ」
シン「焦るって…俺なんも焦ってなんか…」
レン「焦ってるよ」
シン「……(ため息)俺お前嫌い;」
レン「それはどうも」
シン「お前って、なんでいつもいつも俺の事そんな手に取る様にわかるワケ?;」
レン「見てればわかる」
シン「そんな事誰にも言われた事ねーんだけど;」
レン「だって僕はずっと見てるからね、君の事」
シン「寒っ!やめろよお前っ!;」
レン「シンこそすぐその方向に持ってくのやめなよ、だからユウ達にも遊ばれるんだって」
シン「ぐっ…;(そう言われると何も言い返せない)」
レン「まぁ…いいんじゃない?僕はシンのそう言う所、嫌いじゃないし(ふっと笑う)」
シン「…(一瞬嬉しくなる)そら…どーも」
レン「どういたしまして」
シン「……うっしゃ!やるかっ!」
レン「うん」
SE(2人ベランダへ)
SE(そのベランダを下から見上げているユウとジュン)
ユウ「…なんだ、元気そうだな」
ジュン「さっきあんなに元気なさそうだったのにね、やっぱりあの子がいるからかな」
ユウ「どーだかな…さ、帰んぞ」
ジュン「はいはい」
SE(歩き出す2人)
ジュン「……悪く言えばお節介?(笑顔)」
ユウ「うっせ、早く来い」
ジュン「…はいはい(笑顔)」
SE(翌朝、登校中)
シン「…そうだレン、一つ聞きたい事があるんだけどさ」
レン「なに?」
シン「その……悪魔ってのになってもさ、元に戻して助ける事って、できるのか?」
レン「手遅れでなければ可能だよ」
シン「手遅れって、例えば?」
レン「そうだね……なんかこう…人ならざるものと言うか…極端に言えば普通の人じゃありえないような力を使うとか…」
シン「…つまり?;」
レン「まぁ、仮にエリ先生が悪魔でも、あの感じならまだ助けられる可能性があるって事だよ」
シン「そ、そっか;」
レン「始めからそう聞けばいいのに」
シン「う…;」
レン「…でも、シンて前向きだよね」
シン「え?」
レン「何も出来ないなら何も出来ないなりに、自分の出来る限りでなんとかしようとするだろ?」
シン「あ…まぁ…」
レン「いつまでも自分を悲観しないで、ちゃんと自分で立って歩こうとするんだ…シンのそういう所、ホントに凄いと思うよ」
シン「そ…か?なんか照れんな;」
レン「僕はシンが羨ましい」
シン「へ?」
レン「僕にはそんな強さ……全然、無いから…」
シン「…レン」
レン「……」
シン「…なぁレ」
ユウ「おっ…はよーっす!!」
シン「ぅごふ!!;」
SE(ユウが突然背後からボディアタックしてくる、続いてジュン登場)
ジュン「や、おはよう二人とも(笑顔)」
レン「あぁ、おはよ」
シン「テメッ!ユウ!朝食が口から出たらどうすんだっ!!;」
ユウ「あぁ?飲め(きっぱり)」
シン「気持ち悪いわっっ!!;」
レン「…朝から元気だね」
ジュン「ははは、なんかこれはもう挨拶みたくなってるからね(笑顔)」
ユウ「ほらほら早く行かねーと予鈴鳴んぞ」
ジュン「そうだね、じゃあ皆で仲良く登校といきますか」
レン「うん」
SE(3人歩き出す、よろよろと遅れてくるシンに気付いて立ち止まり振り返るレン)
レン「……シン、大丈夫?」
シン「…出そう、口から;(げっそり)」
レン「……早く学校行こうね」
シン「おう…;」
SE(そして授業中)
エリ「ここで使うのが因数分解です、こっちの18とする事によって式がより簡単になります、みんなわかった?」
SE(明るく微笑むエリ、その様子を見てシンは考え込む)
シン『エリ先生が…悪魔…』
エリ「あとはここでこれを割れば…ほらっ、Xは5になるのっ」
シン『…やっぱり信じられねぇ…信じたくねぇっ;』
レン「…」
SE(思い詰めるシンを少し心配そうに見るレン)
エリ「……」
SE(そんなシンに気付いて何か考えているエリ)
SE(授業が終わり昼休み)
レン「シン」
シン「ん?なに?」
レン「大丈夫?なんか具合悪そうだけど」
シン「あぁ…平気、ちょっと考え事してるだけだから」
レン「…念のため保健室で休んだら?」
シン「……そうするかな」
SE(立ち上がるシン、レンはユウとジュンを見ると)
レン「…僕ちょっとシンに付き添ってくるよ」
ジュン「あぁ、わかった」
ユウ「大丈夫か?マジで顔色悪いな…;」
シン「や、多分休めば平気だから;(へらっと笑う)」
レン「じゃあシン、行こう」
シン「あぁ…」
SE(2人教室を出ていく)
ユウ「………(その様子をじっと見送っている)」
ジュン「…ユウ?」
ユウ「……いや」
SE(人気の無い廊下を歩く二人)
レン「大丈夫?シン」
シン「ん、平気…」
レン「でもさっきより顔色が悪い」
シン「……ぶっちゃけあんま大丈夫じゃねーかな…;」
レン「早退とかも頭に入れてた方がいいかもね」
SE(前から足音がする)
シン「ん?」
レン「なに……あ」
エリ「あら、二人ともどうしたの?」
SE(2人が前方を見ると現れたのはエリだった)
シン「エリ、先生…;」
レン「…ちょっと保健室へ行こうと思って」
エリ「あら、具合でも悪いの?」
シン「えぇ…まぁ;」
エリ「そう、大丈夫?;」
シン「あ、大丈夫です;(微笑む)」
エリ「なら良いんだけど(共に微笑む)」
レン「…」
エリ「ダウンされちゃ、殺し甲斐がなくなっちゃうしね(笑顔のまま)」
シン「え…?;」
レン「!?」
エリ「あら、なに驚いてるの?」
シン「せんせ……今、なんて…?;」
エリ「疑ってたんでしょ?私が悪魔じゃないかって」
レン「じゃあ…貴女やっぱり…!;」
エリ「そうよ、私は悪魔……自分の闇に心も身体も明け渡した化け物…」
シン「そんなっ;」
エリ「こんなに早く見抜かれるなんて思わなかったわ、流石は魂を受け継ぐ者、その力は伊達じゃないのね」
レン「…お褒め頂き光栄だ(銃を出す)」
エリ「あら、そんなに怖い顔しないで?せっかく可愛いのに台なしだわ、それにここは現実世界、こんな所で暴れたらどうなると思う?」
レン「っ…;」
エリ「心配しなくても私はまだ貴方達を襲ったりしない」
シン「まだ…?;」
エリ「日が沈んだら体育館へいらっしゃい、そこでお友達と一緒に待っててあげるわ」
シン「友達っ?;」
レン「まさかっ、生徒達に何かするつもりかっ!?;」
エリ「どうかしら?それは来てみなければわからないでしょ?」
シン「そんなっ…!;」
レン「ふざけるなっ!そんな事はさせないっ!;(銃を向ける)」
エリ「……」
レン「っ…!;(相手を睨みつける)」
エリ「…威勢がいいじゃない、ここでそれを使ったら人に見られるわよ」
レン「それがなんだっ…!」
エリ「………まぁいいわ…一つ良い事を教えてあげましょう……お友達にはこれから何かするんじゃ無くて、もうした後よ」
レン「何っ!?;」
シン「そんな…っ!;」
エリ「私からはそれだけ…じゃあ、またね」
SE(エリ、2人を通り越して去っていく、後に残されてシンは呆然と立ち尽くす)
シン「そんな…先生…;」
レン「…クソッ!;」
SE(レンは悔しげに銃をしまい廊下の壁をダンッと殴る)
シン「…どうしようレン…これから;」
レン「…悔しいけど、言われた通りにするしかない;」
シン 「……っ;」
レン「…一先ず教室に戻ろう、誰に何をされたのか確かめないと;」
シン 「あぁ;」
SE(2人は走って教室に戻る)
SE(慌てたように教室のドアを開けるシン、そのままユウ達に駆け寄る)
ユウ「ん?シン早いな、もう具合いいのか?」
シン「あぁっ…それより、お前ら体なんともないかっ!?;」
ユウ「はぁ?イキナリ何言ってんだお前;」
ジュン「むしろ体に何かあったのはシンじゃ…;」
シン「いーから!とにかく何とも無いか聞いてんだよ!;」
ユウ「…なんもねーけど;」
ジュン「よくわかんないけど同じく(笑顔)」
シン「じゃあエリ先生は来てないか?;」
ユウ「エリ先生ぃ?」
ジュン「来てないけど?」
シン「そっか、ならいいんだ;(ほっとする)」
ユウ「つかお前さっきからなに聞いてんだ?;」
シン「えっ?いや…えーと…ま、まぁ気にすんなよ;(ははは…と笑って誤魔化す)」
ユウ「……まぁいいけどよ」
シン「はは;」
SE(一方レン)
レン「美原さん」
聖「ん?何よおチビ、なんか用??」
レン「エリ先生来なかった?」
聖「先生?きてないけど…」
レン「そっか、ありがとう」
聖「先生がどうかしたの?」
レン「いや、別に」
聖「ふーん」
レン「あ、あと…」
聖「なによ」
レン「最近調子はどう?」
聖「心身共に最高ねっ(ドヤ顔)」
レン「そう、それはよかった」
聖「だからアンタには全然負けないわよっ!!」
レン「……じゃあ僕はこれで;(そそくさ)」
聖「あっ、ちょっ、無視するんじゃないわよ!ねぇー!!(レンが遠ざかりフェードアウト)」
SE(放課後、部活も無く夕方5時半を回った教室)
シン「はぁ…ダチは大体あたってみたけど、何かされたような奴は特にいなかったな…先生も見かけただけって奴しかいなかったし…」
レン「美原さんも同じだったよ」
シン「うーん、ハッタリだったのかなー;」
レン「だといいんだけど…」
シン「…約束まで後30分くらいか…」
レン「あぁ…」
シン「…俺、何か出来ることあるか?」
レン「安全な場所で相手の攻撃を避けつつ、いつでも動けるようじっと待機していてくれ」
シン「要は邪魔なのね;」
レン「だって木刀も無いだろ?」
シン「う…確かに;」
レン「……あ、でも」
シン「?」
レン「エルだったら取りに行けるな…頼んでみようか」
シン「ホントかっ?なら頼むよ」
レン「あぁ…(窓際へ行き窓を開ける)…エルッ」
SE(しかし現れない)
レン「……あれ」
シン「どうした?」
レン「エルが来ない…」
シン「なんで?学校にいないのか?家に戻ってるとか…」
レン「変だな、そんな筈………っ!(ハッとする)」
エリ『友達には…何かした後よ』
レン「まさ…か…;」
シン「なんだ?どうした?」
レン「僕らの友達って…;」
シン「……(レンの表情を見てハッとする)っ、エルッ!?;」
レン「っ!!;」
SE(何かに弾かれたように走り出す)
シン「あっ…ちょ、待てレンッ!!;」
SE(慌てて後を追うシン)
シン「おいっ!気持ちはわかるけど、そんなに血相変えて焦ったってきっと先生の思う壷だぞっ!?;」
レン「だったらなんだっ!エルは僕のたった一人の相棒だっ!!彼女が危険だっていう時に、冷静でいられる方がどうかしてるっ!!」
シン「レンッ!;」
SE(二人の足音が夕闇の廊下にこだまする)
レン『エルッ……エルッ!;』
エリ「…あら、予定より少し早いけど…来たみたいね…ふふ、もうすぐよ…もうすぐ…」
第13話へ続く




