プロローグ
シン「この世に悪があるとして、この世に正義があるとして、その二つを結び付けた時…人は…何を見るのだろう」
シン「ソウルブレイカー、始まりの鐘を鳴らす者」
SE(朝の閑静な住宅街を、ひどく焦った様子で自転車を漕いでいく一人の少年がいる)
シン「やっべー、あと5分で予鈴じゃんっ!!;」
SE(そう声をあげると、彼は更に速度を上げて住宅街を進んでいく)
??「…」
SE(そこから数十メートル離れた電柱の上に、赤と黒のコートに身を包んだ小柄な人間が立っている)
??「外見、声音、どちらも一致したわ」
SE(その人物が左腕を真横に突き出すと、一羽の鳥が舞い降りる)
??「彼で間違い無いようね」
??「あぁ…神の子だ」
SE(再び鳥が空へ飛び立ち、人間もふわりと地面へ舞い降りる)
シン「ギリギリセーッフ!!;」
SE(HR前のざわつく教室に勢い良くドアを開けてシンが入ってくる)
ユウ「おー、今日は1分前」
ジュン「おはようシン、やったね、連続遅刻記録は3でストップだ」
ユウ「なんだ、つまんねー」
シン「そこつまんねーって言うな!;っつーかマジありえねーって、起きたら目覚まし壊れててさー;」
SE(シンが幼馴染の二人へ歩み寄り、すぐ隣にある机に一端鞄を置く)
ユウ「壊れたっつーか…壊したんだろ?」
ジュン「てゆーかむしろ前壊してから新しいの買ってないよーな」
ユウ「寝ぼけてぶん投げて壊したまんまだからそら遅刻もするわ」
シン「…俺そんなこと話したっけ…?なんでそんな細かくわかんだよ、あと今日は遅刻はしてない;」
SE(3人がそんなやり取りをしていると再び教室のドアが開き、クラス担任のエリが入ってくる)
エリ「はーい、みんな席に着いてー!」
SE(ガタガタと教室内が一斉に命令に従う)
エリ「…はい!今日も全員出席ね、遅刻者も無し!」
シン「うっ…;(←実は前科5犯)」
エリ「と言う訳で皆さんおはようございます!突然だけど今日は大事なお知らせがあるの…さ、入ってきていいわよ」
ユウ「なんだなんだ?転校生か?」
ジュン「みたいだね」
SE(言いながらエリがドアに目をやると、ドアが開いて小柄な少年が入ってきて、教室がざわつく。エリは手を叩いてそれを鎮める)
エリ「はいはい、静かに!彼は転校生のレン・グロウス君です、ちょっと前まで外国に住んでいました、ご両親の急な都合で引越して来たのでまだいろいろと不慣れだと思います!みんな仲良くしてあげてね」
SE(はーい等といった返事があちらこちらから聞こえる)
シン「へー…」
レン「…」
エリ「じゃあレン君の席はー…天嶺君の隣が空いてるからそこがいいわね」
シン「へ!?;」
エリ「いいわよね」
シン「あ…はい;」
レン「…(じっ…とシンを見る)」
シン『あれ…なんだ…俺ガン付けられてる?;』
レン「…」
エリ「じゃあレン君、天嶺君の隣の席へ」
レン「はい」
SE(レンがシンの隣の席へ移動する。ガタンと椅子を引くと、腰を降ろす前にもう一度シンを見下ろす)
レン「…よろしく」
シン「あ、あぁ…;」
SE(レンがふっと視線を反らし椅子に座る。シンも戸惑いながら視線を前へ戻す)
レン「…」
SE(カーンッ…カーンッ…と鐘が鳴る)
レン「(鐘の音に被って小さく)……見つけた」