あなた昔やる夫スレ見てましたよね?~やる夫スレ衰退の一因は小説家になろう!?~
初めましての方は初めまして。
昔はよくやる夫スレを読んでいたけど、ここ最近は全然読めていない歌池詠野です。
最近はあまり読んでおりませんので、的はずれなことが書いてありましたらご指摘ください。
やる夫スレ読者歴は多分12年くらいになりますが、昨今のやる夫スレは衰退・過疎と言われて久しいです。
その原因の一端が『小説家になろう』(以下なろう)にあるんじゃないかと考察してみたエッセイです。
まず何故なろうがやる夫スレ衰退の一因なのか結論から述べさせていただきます。
[やる夫スレ製作者がなろうに流れてきているから]
というのが、私の結論です。
やる夫スレ製作者が小説家になろうに流れてくることによりやる夫スレの供給が減り、過疎化が進んでいくという構図ですね。
どうしてそのように考えたのか、それは最近のやる夫スレで流行っているジャンルを見た時です。
最近のやる夫スレで多いジャンルと言えば、『あんこ』スレと『エロ』系です。
知らない方のために『あんこ』スレについて解説いたしますと、基本的にダイスを振って進行していくスレッドを『あんこ』スレと呼びます。
TRPGのように、ステータスにとどまらず、設定や展開など様々なものをダイスで決めていき、読者どころか作者にも予想がつかない展開になることが多いのも特徴です。
場面の節目節目に作者がダイス振り話を進めて行きますが、『あんこ』発祥スレッドの慣習により、十面ダイスなら十が、百面ダイスなら百が『熱烈歓迎』、わかりやすく言えばクリティカルとして扱われ、展開を大きく左右するのが特徴です。(作者の意向にもよりますが当然ファンブルもあります)
ダイスの結果に基づき即興で話を作らなければいけないので、作者としての力量が問われるジャンルです。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、同じことをなろうで実現するには中々難しいですよね。
裏でこっそりダイスを振ることは出来るかもしれませんが、全てをダイスに委ねるというのはプロットが根本的に崩壊し、話の収拾がつかなくなる可能性があります。
ダイスの結果による一喜一憂を作者と読者で共有しているからこそ、多少つじつまがあわなくても許されるジャンルです。
つまりやる夫で出来てなろうで出来ない、やる夫スレの差別化ポイントの一つとして考えられます。
次に『エロ』系。多少のR18要素が含まれている作品全般ですね。
なろうでもエロといえば、ノクターンやミッドナイトがありますが、やる夫スレにはAAだからこその視覚の優位性が存在します。
まあ、絵がついてる方がエッチだよね、ということです。
どちらかと言えばエロAAには汎用素材が多いので、その縛りの中どうやって話を作るか、もしくはAAを改変するAA職人としての技量が問われるジャンルですね。
つまり、今流行っているやる夫スレのジャンルは小説家になろうで出来ないことが出来るジャンルです。
→では他のジャンルの作品は?
→なろうとの差別化要素が少なくなろうとの食い合いが起こっている?
こう考えました。
……では、ここからは、何故やる夫スレ製作者が小説家になろうに流れて来ているのかを考察していきます。
まず一つ目は、『AAを探して切り貼りする手間が大変!』ということが挙げられると思います。
単純にして一番の要因ですね。万人に同意していただけると思います。
やる夫スレを作ってみた人にしかわかりませんが、一話を作るのに数時間、長い話になると数十時間になることもざらです。
慣れたら多少早くなるとはよく聞きますが、劇的に変わるというほどではないでしょうね。
単純に話を考えることに加え、AAを探して切り貼りする作業が増えるので、当然の話ではあります。
二つ目は『マネタイズが絶望的』ということが挙げられます。
ここは賛否ある意見かもしれません。
しかし、なろう小説もやる夫スレも、いくら趣味とは言え少なくない余暇の時間を割いています。
長く連載を続けるためにはマネタイズを考慮して当然だと私は思います。
作者のモチベに繋がり、長い目で見れば読者のためにもなるのですから。
なろうで書籍化した作品は山ほどありますが、やる夫スレで書籍化した作品は両手の指で足ります。
ちなみにその中でも一番出世作が、蝸牛くも氏の『ゴブリンスレイヤー』であることは明らかです。
……当時の私はリアルタイムでゴブスレを追っかけていて、書籍化の話を聞いた時、酔狂な出版社もあるんだなぁと思っていたものです。
結果、私の目が節穴だったということが明らかになっただけでしたが。
どうしても版権キャラクターのガワを借りる性質上、二次創作に近い側面があるのが、書籍化に繋がりにくい要因かもしれません。
他にも様々な要因はあるでしょうが、私がパッと思い付いたのはこのあたりです。
バランスを取るためにやる夫スレが小説家になろうより有利な点についても書いておきます。
それは注目度の高さです。
例えばあなたが小説家になろうとやる夫板で処女作の第一話を投稿した時、閲覧数、感想共にやる夫板の方が多くなるのはほぼ間違いありません。
どうしてもやる夫スレ制作は多大な労力がかかり、供給が限られています。
なので新人やる夫スレ製作者でも注目度が高く結構な人数に見てもらうことが可能です。
反面、やる夫スレで閲覧数が多かった作品が小説家になろうに投稿された際、住民の趣味嗜好の違いもあり、埋もれていくことも起こっていますが……。
ありきたりかもしれませんが、なろうにはなろうの、やる夫スレにはやる夫スレのいいところがあるので、一度やる夫スレを読んでみるのもオススメですよ。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
感想、高評価低評価、お待ちしております。
5月11日22時30分
やる夫スレの有利な点について追記。
最後にオススメ名作やる夫スレッドをいくつかご紹介します。
『彼らは友達が皆無』
『やらない夫の月は綺麗なようです』(半エター)
『やらない夫は約束を守るようです』(エター)
『やる夫とピエロと魔法使い』
『やる夫と隣のAV女優』
『私のやる夫劇場』
『やる夫の魔王の道』
『やる夫とジジイが冒険します』
今でも読み返すことのある作品です。