王様を無視?
部屋に案内され、王の前までふかふかの絨毯を歩いていくと
王の横に控えている数人がこちらを
警戒しているかのように見てくる
内心びくびくしながらびびってることを相手に伝わらないように
俺はにこにこして自分の情報と照らし合わせていく
まずは王座に座っている王
治世を行い平民から圧倒的な支持をされる
そんな偉大な王
リアード・モナルカ・ラスア皇帝
これは問題ない
王様はいて当たり前だよな
何も言わずにこちらを見ているが良しとしよう
次は、と目線を向けようとすると
「王の御前である!礼儀をわきまえろっ!!無礼であるぞ!!!」
そう言われてそいつを見る
この燃えるような赤髪に、相手を射貫くような目線
帝国に忠誠を捧げ、国のためならば命をも惜しまず
いつだって自分の正義が正しいと思ってる
炎の魔法を得意とするこの帝国の近衛騎士団長だ
帝国最年少で騎士団長にまで登り詰め
平民たちからは聖剣として親しまれるほどに有名な1人
聖剣 ネット・ガルダー
「おいっ!!聞いているのか!!何度も言わせるなっ!!王の御前であるぞ!!跪け!!」
おいおい、そんな風に
平民の憧れが高圧的に言ってもいいのかよ……
子供たちに知られたら泣いちゃうでしょうに!!
んー、でもどれだけ言われても跪くのは俺の主義に反するんだよね
どうするか悩むなぁ
すると俺がびびって返事ができないと思ったのか
「あらあら、ネット。そんな風に言っては駄目よ?相手が萎縮しちゃうじゃない。」
さっき俺をこの部屋に案内してくれた美女
この美女も巷では有名な人だ
治癒魔法の使い手
分け隔てなく、どんな相手にも誠意をつくし治療する
そんな姿から聖女と呼ばれるようになった美女
聖女 ニコル・ハイリガー
「しかし、ニコル。そうは言ってもこやつは得たいが知れぬ!少々手荒に扱っても問題はないだろう。」
「駄目よ。得たいが知れないからって手荒に扱って良い理由はないわ。」
「だがっ!!」
2人が言い争ってるのを見ながら
俺は自分に被害が来ないよう祈りつつ、なんでもいいから話を進めてほしい気持ちいっぱいでちらりと王のほうを確認すると
その様子を楽しそうに見てる王が視界に入る
普通こういう場合は止めるか、諌めるかのどっちかすると思うんだけど
そう思って2人を見ていると
そんな2人に割ってはいる強者がいた
「ねぇ!なんで2人とも言い争ってるの?話の論点ずれてるよ?」
そう無邪気に言ったのは
この帝国の冒険者ギルドのギルドマスター
アニス・ルロフォード
騎士団長とは少し違う暗めのワインレッドのような髪色
愛嬌のある八重歯に、サファイアのようなキラキラした瞳
しかしその無邪気な笑顔からは
想像もできないような智略家だ
そんな3人が俺を放置して話し出す
いや、俺だけ放置ならまだいい
だがしかし、そこの3人っ!!王も放置してるけどいいのかよ
そんな放置された王と3人を交互に見ながら
…………………本当にどうしてこうなった……………?
そう思わずにはいられなかった