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残虐皇帝の花嫁  作者: 雪斗
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私の光

エマ視点です。

楽しんでくれると嬉しいです。

あの下衆な男が女神の舞姫を召喚した。

そして私達にその舞姫の世話を頼んできた。


リサやレメイアはなんて事をと嘆いていたが、私は対して関心を持っていなかった……彼女を見るまでは。


初めて彼女を見た時の衝撃は多分一生忘れられない。


絹よりもさらさらの美しい銀髪に整った鼻梁、そして薔薇色の頬に血の様に濃い紅い唇。

その美しく完璧なパーツが、小顔に更に完璧に配置されている。

その容貌はまさに天上に座す女神そのものだった。


私は一目で彼女に魅せられた。

今眠っている彼女の瞳の色は何色なんだろう……彼女の声を聞いてみたい……などと色々な事を考えた。

それは私だけでなくリサもレメイアも同様だったけれど。


そして美しい彼女は目覚めた。

瞳の色は高貴なる金色だった。


彼女は知らないだろうが、この世界では金を持つ者は神に認められた高貴なる者とされている。

だがその身に金を持つ者は滅多にいない。

……噂では隣国の残虐皇帝は金色をその身に持っているとか。


そんな美しく高貴なる彼女……女神様は心根まで美しかった。


「どうか敬語はやめて下さい。そして僕の事は蓮と名前で呼んでください。」


そう微笑んで話すレンに私達は感銘を受けた。

女神なのに傲らず、何処までも優しい。


望まぬ男の側室となり死んだように生きて来た私にとって、レンは何よりも大切な光となった。

そしてそんな大切なレンには絶対に天上の世界に帰って欲しいと思った……あんな下衆男に穢されてはならない。


そうして事情を話して天上の世界に帰るよう言ったのだが……どうやらレンにも事情があって帰れないようだった。


だからレンはとにかくこの城から逃げる術を考えていたが、私達の存在がレンの足枷となってしまった。


リサもレメイアも彼女の足枷になってしまっている事にとても苦しんでいた。


「御免なさい……レン。」

「何言ってるの、エマ!エマは何も悪くないよ。だから謝らないで。」


そんな風に私達を気にかけてくれる何処までも優しいレンに私達はどんどん心酔して行った。


そんなある日だった……レンにピアノを弾いてと請われたのは。


私も弾けるものならレンの為に弾きたかったが……それは出来なかった。

だから心苦しくも今は弾けないと告げたのだが……その時のレンの悲しげな表情は忘れられない。

……この時、私はいつかレンの為に絶対にピアノを弾いてあげようと決意した。


そうしてレンと不自由だが楽しい日々を過ごしていた時だった……あの下衆男が現れたのは。


あの男は舞を舞いたくないと嫌がるレンの髪を引っ張り、強引に部屋の外へと連れて行った。

この時何も出来なかった無力な自分とあの下衆男に殺意が湧いた。


「レン……大丈夫かな?暴力振るわれたりしないよね?」


そう涙目で話すリサをレメイアは抱きしめた。


「きっと大丈夫よ……それにもし、レンに暴力を振るったら私があの男をボコボコにしてやるわ!」


その言葉に私も同意した……レンを傷つけたら許さない。


そうして不安に駆られながらもレンの帰りを待っていた時だった……突然扉の外が騒がしくなったのは。


「何だろう……」


そう思い部屋の扉を開けたのだが……


「エマ!開けちゃダメ!」


そのレメイアの叫び声と同時に私は突き飛ばされた。

突然の事に私は目を白黒させたが、すぐに青褪めた。


「レメイア!」


私の視線の先には肩を深く刺されたレメイアとこの国の兵士ではない武装した兵士達がいた。


どうやらその兵士達は扉の直ぐ向こう側にいたようで、外の物音が気になって扉を開けた私を殺そうとしたのだが、それに気づいたレメイアが私を庇い代わりに刺されたようだった。


そうして私達はあっという間に敵国の兵士達に囲まれた。


私達の中で戦えるのはレメイアしかおらず、そんな彼女が深い怪我を負い戦闘不能となってしまったからにはもうなす術など無かった。

私達三人は敵国の兵士達に呆気なく捕まった。


















縛り上げられた私達が連れて来られたのは王の間だった。

此処には敵国の兵士達によって捕らわれた人が沢山いた。


私は肝を冷やしながら必死にレンの姿を探したが、何処にも彼女の姿は見えず安堵した。

無事レンはこの城の中から出られたのかも知れない……そう思うとこんな状況だったが自然と笑みが溢れた。


そうして微笑みながら前を向いた時だった……王の椅子に仮面を付けた男が座っているのに気づいたのは。

……特徴的な仮面に、金色の髪。


その仮面の男はまさしく噂の残虐皇帝だった。

残虐皇帝はまるでゴミでも見るかのように私達を見下すと言い放った。


「捕らえた者を全員殺せ。」


その酷く冷たい声が心に刺さり私は震えた。

そうして震えながら死を覚悟した……その時だった。


「それが賢君のなさる行為か!」


その聞き覚えのある美しい声に私は振り返った。

そうして限界まで目を見開いた。


「レン……」


そこには仮面を付け艶やかな銀髪を靡かせたレンがいた。









物語が動き始めます。

次回も読んでくれると嬉しいです。

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