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残虐皇帝の花嫁  作者: 雪斗
7/26

運命の歯車

拙いですがご容赦を

今回も楽しんでくれると嬉しいです。

エマ達が心配だった蓮は急いで連れてこられた道を戻った

そうして何とかエマ達の部屋に戻る事が出来たのだが……


「いない……」


既に部屋はもぬけの殻だった。

……エマ達はもう逃げたのだろうか?

それなら良かったと蓮は安堵の息を吐いたのだがそれは一瞬の事だった。

何故なら少量の血が床に付着していたからだ。


蓮はそれを見て青褪めると必死に考えた。


エマ達は殺されたのだろうか?

否、それにしては血が少なすぎるし、レメイアは変態王が側室にする程才能ある武術の達人だ……そんな簡単に……


そう必死に考える蓮だったが、幾ら考えても答えは出なくて余計に混乱した。

……そんな軽い混乱状態の蓮だったが、一つだけ分かった事があった。


「この場所ももう危険だ!早く外に出なければ!」


血痕が付着しているという事はエマ達は何かしら争ったという事だ。

……つまりもう此処まで帝国の兵士達が入り込んで来ている。


青褪めながら蓮はそう考えると、エマ達の身を案じながらも急ぎ城の出口へと向かった。
























「……此処どこ?」


蓮は城の中を彷徨いながら、泣きそうになるのを堪えて呟いた。


蓮はエマ達の事に気を取られていて、すっかり失念していた……自分がこの城の構造について全く知らないと。


それもその筈……蓮は此処に召喚されてからエマ達のいる部屋にずっと閉じ込められていて、今日初めて変態王によってその部屋の外に引っ張り出されたのだ。


そんな蓮が城の出口へと闇雲に駆けても当然辿り着ける筈が無く、現在絶賛迷子中であった。


既に走り疲れた蓮はゆっくりと歩いていた。

因みに蓮は奇跡的に今まで帝国の兵士とは遭遇していない。

……変な所だけ運が強い蓮だった。


そうして暗い廊下を歩いていた蓮だったが、その廊下の少し先に太陽の光が差し込む明るい場所がある事に気がついた。

蓮はまるで引き寄せられるかの様にふらふらとその場所へ向かって行った。


そうしてもうすぐそこに出ると言う所で……突然その場所から人の声が響いて来た。

それにビクッと体を震わせた蓮は足を止めると、恐る恐るその場所を覗いた。

そして思わず感嘆のため息を吐いた。


そこにはとても神秘的で広い空間が広がっていた。

恐らく大理石を使って造られたであろうその場所はとても繊細かつ神秘的で、蓮は時も状況も忘れてただ見惚れた。


そんな蓮だったがこの神秘的な空間の中に設置された一際豪華な椅子に、仮面を付けた男が尊大な態度で座っている事に気づいた。

そうして他にも大勢の武装した兵士や縄で捕らえられた人々が目に入り、蓮は混乱して首を傾げた。


此処はどういう場所なのか?

混乱しながらそんな事を考えていた蓮だったが、次の瞬間目を見開いた。


蓮の視線の先にはエマ達三人がいた。

だが三人とも縄で縛り上げられており、特にレメイアは肩から血を流していた。


それを見た蓮は混乱しつつも何とか理解した。


「もしかして此処にいる捕らえられた人全員、アミュリデス帝国の兵士達に捕まった人達なの?」


そう自分で発した言葉に蓮は直ぐに青褪めた。

……もしそうならばエマ達を助けなければ!


そう考えた時だった。


「命ばかりはお助けを!皇帝陛下!」


やはりと言うか何と言うか捕らえられていた変態王が仮面の男に向けて発した言葉に蓮は目を見開いた。

皇帝陛下……もしやあの仮面の男は残虐皇帝なのでは?


そんな事を考えた蓮だったが、次の瞬間その仮面の皇帝が発した余りにも残酷な言葉に血の気が引いた。


「捕らえた者を全員殺せ。」


美しいが冷淡な響きを持つ皇帝の声は、悲しい程によく響いた。

その冷たい声と言葉に暫し震えていた蓮だったが、エマ達の事を思い出してハッと我に返った。


エマ達を助けなければ!

そう思い、急ぎ頭を働かせて必死に助ける方法を考えるが何も浮かばない。

そうして無駄に時間が過ぎて、遂にエマ達に刃が向けられたその時……蓮は覚悟を決めた。


蓮は震える体を叱咤して、暗い廊下から皇帝の前に躍り出ると大きな声で言い放った。


「それが賢君のなさる行為か!」


蓮のその美声は人々に静寂を齎した。

蓮は残忍な皇帝の前であっても決して屈さず、毅然と前を向いていた。








次回も読んでくれると嬉しいです。

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