表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残虐皇帝の花嫁  作者: 雪斗
24/26

新たな出会い

今回も楽しんでくれると嬉しいです。

アミュリデス帝国に来て数日が経った。


現在、蓮は薄紫色のふんわりとしたドレスを身に纏い、高い木の上に座っていた。

……何故木の上にいるのか?

それは……


「レン様!何処にいるのですか!語学や社交術、それに歴史の講師の方々がお見えですよ!隠れていないで早く出て来て下さい!」


そう叫びながら自分を探し回るサーラから逃げる為だ。

蓮は木の上からサーラの様子を見てため息を吐いた。


「どうして僕がそんな物を学ぶ必要があるんだ?僕の役目は舞を舞う事、ただそれだけなのに……」


それだけなのに……サーラは蓮にあれこれ学ばせようとしてくる。

何故こんな事をしなければならないのかと理由を聞いても答えてくれない。


蓮は己が興味を持たない、又は必要だと思わない事は絶対にしたくないと考えるタイプだった。

それ故に蓮にとって今の状況は酷く苦痛だった。


己の心労を思って蓮は再びため息を吐くと、頭を切り替えてエルに想いを馳せた。


「エルは……今如何しているだろう。」


あの日以来……エルには会っていない。

蓮は目を閉じるとエルの秀麗な面を思い浮かべた。


「……会いたい。」


会ってあの日、事情も聞かずに強く責めてしまった事を謝りたい。

そして……叶うならば命尽きるまでずっと彼の傍に居たい。

ああ、でも……


「……嫌われていたらどうしよう。」


そう思うだけで体の震えが止まらなくなり、息が苦しくなる。

彼に嫌われたら……僕は生きていけない。

彼になら何をされても構わないと思える……でも……


「愛していない……それだけは言われたく無い。」


だから……蓮はエルと会えていない今の状況に軽く安堵していたが……それと共にかなりのストレスも抱えていた。


そんな蓮はため息を吐くと、小さく呟いた。


「……舞を舞いたい。」


ストレス発散のために好きなこと……舞を舞いたいと思う。

だが….


「……何処で舞おうかな?」


ここら辺には舞を舞えるほどの広い場所は無い。

それに舞を舞う衣装はかなり際どいから、人気の無いところで舞わないといけない。

でも……


「人気が無い広い場所なんていう都合の良い場所は無いよね……」


そう考えて蓮は今日何度目かのため息を吐くと、ゆっくりと目を開けて空を見上げた。


空はこんなにも青々と澄んでいるのに、心は酷く曇ったままだ。


そんな事を考えて目を伏せた蓮だったが、ふと肌寒さを感じた。

此処に居ては風邪を引いてしまうかも知れない、そう思った蓮は木から降りようと取り敢えずかなり太い枝に手を掛けた……その時だった。


「うわっ!」


運悪く手に掛けた枝が折れた。

そして蓮はバランスを崩し、真っ逆さまに木から落ちていった。


「うわぁぁぁぁぁ」


蓮は女子らしからぬ悲鳴を上げると、いつか来る衝撃に目を瞑り身を固くした。

だがいつまで経ってもそれはやって来ずに、代わりに上から声が降って来た。

「大丈夫ですか?」


そんな思わず腰砕けになるような艶やかな美声に、蓮は恐る恐る目を開けた。


そうして目の前には、金の瞳を持つ超絶美形の男性の顔があった。

どうやらこの男性が木から落ちた蓮を抱き留めてくれたらしい。


イケメンに抱き留められる……そんな少女漫画のような展開に思わず目が遠くなる蓮だったが、我に返ると慌てた。


「ごめんなさい!今すぐ下ります!」


その言葉に男性はふわりと微笑むと、蓮を優しく地面に下ろした。

蓮は未だあたふたしたままだったが、なんとか男性に向けて微笑むと礼を述べた。


「あ、ありがとうございます!」

「いえ、大した事では……怪我は無いですか?」


抱き留めてくれた上に自分の身の心配までしてくれる男性に蓮は物凄く感動した。


「お陰様で大丈夫です!でも、貴方は僕を抱き留めた衝撃とか……その色々と大丈夫でしたか?」

「ええ、貴方は羽のように軽かったですから。」


その言葉に蓮は赤面した。

……あからさまなお世辞だと分かってはいるが、面と向かって言われると恥ずかしい。


そんな蓮を見て男性は愉しそうに笑った。


「何故、貴方のような人が木の上にいたかは知りませんが……今後は危ないので控えた方が良いと思いますよ。」


その言葉に蓮は頬を膨らませた。


「今回はたまたま落ちてしまっただけです!」

「ですが怪我をして、貴方のその白皙の美貌が傷ついてはいけないでしょう?」


その最もな言葉に蓮は押し黙った。

……確かに怪我でもして、舞が舞えなくなってはいけない。


「確かに貴方の仰る通りです……今後は自重します。」


そう言ってから顔を伏せしょんぼりする蓮の頭を、その男性は優しく撫でた。


「そんなに落ち込まないで下さい……良いものを見せてあげますから。」


その言葉に蓮は顔を上げて首を傾げた。


「……良いもの?」

「こっちです……一緒に行きましょう。」


そう言って男性は微笑むと、蓮の手を取って歩き出した。

蓮は男性の手の感触に微かに驚きながらも、抵抗せずについて行った。









蓮……知らない人にホイホイついて行ってはいけない……

次回も読んでくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ