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残虐皇帝の花嫁  作者: 雪斗
23/26

アミュリデス帝国

今回も楽しんでくれると嬉しいです。

エルディアルトと蓮の一団はアミュリデス帝国の首都サルヴァーナに到着した。


「皇帝陛下!万歳!万歳!」


そんな風に皇帝陛下を讃える声があちこちから上がる。

蓮はそんな人々の熱気に圧されながらも、アミュリデス帝国の首都サルヴァーナの様子を窓を開けて見ていた。


整った外観にあちこちに飾られている花々、そして遠くに見える麗しい白亜の城。


「なんて……美しい……」


その美しい都の様子に、蓮は思わず感嘆のため息を吐いた。

そんな見惚れている蓮の傍に、メルヴィスが微笑みながら近づいて来た。


「レン様!我がアミュリデス帝国が誇る都、サルヴァーナは美しいでしょう!」


その言葉に蓮は笑顔で頷いた。

メルヴィスはさらに話し続ける。


「もうすぐ皇帝の住まいである麗しい玲禁城に到着しますから、楽しみにしていて下さい!」


それに蓮は笑顔のまま頷くとゆっくりと窓を閉めた。

そうして微かな騒めきしか聞こえぬ静かな空間の中で、蓮はゆっくりと目を閉じると独り蹲った。





















城の門を通過して馬車は緩やかに止まった。 

蓮はメルヴィスの手を借りて馬車から降りると、目の前に広がる壮麗な城に思わず目を見開いた。


その城はあの王宮とは比べ物にならないくらい大きくて華やかで美しかった。


蓮は時を忘れてその城に見惚れていたが、メルヴィスに声を掛けられハッと我に返った。

そんな蓮を見ながらメルヴィスは嬉しそうに微笑むと、話し始めた。


「美しい城でしょう?この城は二代目の女帝、セルティア・レバン・アミュリデスの死後に大きく改装されたのですよ。」


その言葉に蓮は大きく目を見開いた。


『私はこの国の女帝!セルティア・レバン・アミュリデス!』


メルヴィスの言葉で、蓮は今まで忘れていたあの少女の事を思い出した。

それによって蓮はどうしようもなく少女の事が気になってメルヴィスに問い掛けた。


「ねぇ、メルヴィス……セルティア・レバン・アミュリデスとはどのような人物なの?」


その予想外の言葉にメルヴィスに目を丸くした後、悲しげに目を伏せた。


「一言で言えば……悲劇の女帝です。」

「……悲劇というのは……若くして処刑されたとか?」

「はい、その通りです……彼女は僅か十五歳で処刑されました……それも裏切られて……」


その言葉で蓮は確信した……あれはただの夢では無かったと。

蓮は彼女のことについてもっと知ろうと、メルヴィスに詰め寄った。


「……誰に裏切られたの?」

「……それは……わ、忘れてしまいました……レン様もうその話はやめて、お部屋に参りましょう。」


メルヴィスは何かを避けるように強引に話を終わらせると、歪に微笑んだ。

そんな様子のおかしいメルヴィスに蓮は眉を顰めながらも、素直に部屋へと向かった。














 





蓮は用意された自分の部屋を見て、大きく目を見開いた。


「……此処が僕の部屋?」


その部屋はあの王宮の数倍豪華だった。

高そうな置物に天蓋付きの大きなベッド、そして柔らかそうな真紅のソファに大きすぎるクローゼット。


その広すぎる華やかな部屋に蓮は口元をひくつかせた。

豪華すぎて逆に落ち着かない……ただの舞姫にここまでの部屋を用意する?

そんな疑問を抱いていた蓮だったが……


「舞姫様!」


その弾んだ女性の声に、蓮は強引に疑問を打ち消すと振り返った。

其処にはメイド服を着た若い女性が二人いた。


そのうちの一人の女性は目を輝かせて蓮に近づくと、興奮した様子で言った。


「まぁ!なんて美しい方なのでしょう!流石……あ!し、失礼致しました。私は舞姫様付きのメイドでサーラと申します。そして此方が私と同じメイドのアゼルです。」


そのサーラの言葉にアゼルはぺこりと頭を下げた。

蓮はそんな二人に向けて柔らかく微笑むと言葉を紡いだ。


「サーラとアゼル……これから宜しくね。あと僕の事は舞姫ではなく、蓮と名前で呼んで。」

「はい!分かりました。レン様!」


その言葉にサーラは元気よく返事をして、アゼルは小さく頷いた。

見ている限りサーラは潑剌で、アゼルは物静か。


蓮はそんな対照的な二人を微笑ましく思いながら、これからの生活に想いを馳せた。










アミュリデス帝国編が始まります。

次回も読んでくれると嬉しいです。

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