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残虐皇帝の花嫁  作者: 雪斗
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泡沫の恋

今回も楽しんでくれると嬉しいです。

月明かりの下で銀髪が激しく揺れ、体につけた装飾品が煌びやかに音を奏でる。


蓮は夜空の下で天上の舞を舞っていた。

肌を撫でる夜風や、足の裏に感じるさらさらとした土の感触が気持ち良い。


蓮は肢体を滑らかに動かし、羽のように軽やかに舞いながら微笑んでいた。

今日は天上の門が開く日……セレネはこの舞を見ているだろうか。


まだ体には何の異常も無いが……もう時期僕は死ぬ。

ならば、好きな時に好きな場所で好きな事をしたい。


蓮は先程よりも激しく舞った。

大胆に足を曝け出して艶やかに可憐にそして華やかに。

この瞬間蓮は己の生と幸福を感じて、儚げに微笑んだ。

……夢ならばどうか覚めないで欲しい。

そう思いながら蓮は疲れるまで舞い続けた。





















蓮は舞い終えると荒い息を整えた。

そして休憩する場所を探そうとふらふら歩き出した時……


「レン……」


その聞き慣れた愛しい人の声に蓮は振り返ると微笑んだ。


「エル……」


蓮の視線の先には、美貌を月に照らされたエルがいた。

エルは足早に蓮に近づくと軽々と抱き上げた。


「うわっ……」


そのエルの突然の行動に驚く蓮だったが、次の瞬間更なる衝撃を受けて目を大きく見開いた。

……エルが蓮の唇に己の唇を重ねたのだ。


突然すぎるその行為に蓮は頭が真っ白になる中、エルはより口づけを深めてくる。

エルのその甘やかな口づけに、初めての蓮は翻弄されっぱなしだった。


そうしてエルはとことん蓮を貪ると解放した。

解放された蓮はぐったりとエルに体を預け目を閉じた。

……エルのキスが巧すぎる。


その事に衝撃を受けながらも蓮は落ち着くと、一言エルに文句を言ってやろうと意気込んで目を開けた。

……そうして飛び込んで来たのは幸せそうなエルの顔。

それを見ていると文句を言う気も失せて、蓮はため息を吐いた。


そんな蓮をエルは愛おしそうに見つめると耳元で囁いた。


「レン……愛している。」


その言葉に蓮は大きく目を見開いた後、静かに涙を零した。

愛している……なんて言葉は言えない……否、言ってはいけない。

もうすぐ命尽きる僕にとって……

ーーこれは泡沫の恋。


蓮は月に向かってゆっくりと手を伸ばした。

……嗚呼、なんて綺麗で儚い。


「……月になりたい」


そんな小さな呟きは虚空に消えて、蓮は儚く微笑んだ。


月になれば夜の間ずっとエルを……愛しい人を見守っていられる。

エル……エル、心の底から愛しています。

そんな言葉は胸に秘めて、蓮はゆっくりと目を閉じた。








次回も読んでくれると嬉しいです。

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