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残虐皇帝の花嫁  作者: 雪斗
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死後の世界

楽しんでくれると嬉しいです。

尊大な態度で椅子に座り、此方を睥睨する仮面の男。

その余りの美貌から素顔を隠していると言われている残虐皇帝エルディアルト。


蓮は己に付けた仮面越しにその男を睨みつけた。

気に入らなければ女子供容赦なく殺すと言われている残虐非道な皇帝。

だが蓮はそんな皇帝を前にしても決して臆さなかった。


この天上の舞が負ける筈が無い。


そう仮面の中で不敵に笑うと、蓮は己の仮面を外して空中に投げ上げ、激しく美しく舞い始めた。


















始まりは此処からだった……自分が死んだあの日から全てが始まった。


……人生ってどんな事があるのか分からないと思う。

まさか神様の不注意で死んでしまうなんて。


此処は神々が住む天上の世界。

そして神様の不注意で死んでしまったのが十六歳の高校生、雪村蓮。


蓮は目の前にいる絶世の美女……否、女神セレネを睨みつけていた。


神様に対して不敬?

そんな事を考えている余裕は無い……だってこの女神のせいで僕は死んでしまったのだから。


「生き返らせて下さい!」


その蓮の必死な様子にセレネは目を伏せた。


「御免なさい……貴方の体は修復不可能なくらいに壊されてしまった為、貴方を生き返らせる事は出来ません……私が天上の世界から誤って神獣なんて落とすから……貴方が喰われてしまった……本当に御免なさい……」


何度聞いてもその馬鹿らしい話にため息が出てしまう。

普通……空から獣を落とす?

僕、即死だったんだけど……つまりあの後、息絶えた僕の体を神獣がペロリと修復不可能なくらい喰べたって事?

えっ、本気で体全部喰われたの?


「はい、本気で喰われました。」


女神よ、心を読むな!


「御免なさい……」


だから読まないでって言ったよね……それにしゅんと萎れないでよ……罪悪感を感じるから……


そんな今にも泣き出しそうな表情のセレネに、蓮は再びため息を吐くと諦めた表情をした。


「じゃあ……もう良いですよ。死んだ事を受け入れます……その代わり天国に連れて行って下さいね。」


その言葉にセレネはもっと目に涙を浮かべた。


「御免なさい……貴方の死は予想外だったので、その魂は天国にも地獄にも送れません……」


蓮は目を見開くと舌打ちをした。


「じゃあ、僕は如何なるんですか!」

「貴方には天国に魂を送れるようになるまで、この神々の世界で生活して貰いたいと思うのですが……駄目ですか?」


その予想外な言葉に蓮は目を丸くした。

神様の世界で暮らすの?


「良いですけど……僕の体は如何するんですか?」


セレネは微笑むと安心させるように優しく言った。


「私が創ります……せめてものお詫びに超絶美形にしますので。」


蓮は疑いの目をセレネに向けた。

……この女神は少し抜けている所があるからなぁ。

そんな蓮の疑いを悟ったのかセレネは握り拳を作ると力強く頷いた。


「絶対に大丈夫です!」


その言葉に蓮は更に不安を感じたのだが、渋々それを受け入れた。

……だがこの時、この女神セレネを信じたのが間違いだった。



 


















「何じゃこりゃー!」


蓮は目覚めてから絶叫した。

何故なら、昨日まで魂だった筈なのに朝起きたら……女性の体に自分の魂が入っていたからだ。


この女性は銀髪に金の瞳を持つ超絶美形。

だけど……


「何で女性なんだ!」


僕は元々男だ……それなのに如何して……

その答えは女神セレネがくれた。

セレネは茶目っ気ある表情をすると、衝撃的な事を言い放った。


「私、女神なので女性の体しか創造出来ないのです。」


その言葉に蓮は数秒固まった後、絶叫した。


「先に言えぇぇぇぇぇぇぇぇ」


その絶叫の声も女性特有の高い声になっていた事に蓮はがっくりと項垂れた。







魂なのにどうやって人を睨むんだとか、ため息を吐くんだとかの諸々の突っ込みはご勘弁を……

魂が人の形をしているのです。

次回も読んでくれると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 予想内の生死については対処できる(?) というか人の生死についてはある程度計画に基づいてるというのが前提の世界観なんですね
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