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第99話「リアルな幻術」


真也が六天将グラシャを異空間へ閉じ込めた。

それによって黒湖に漂っていた瘴気や霧が晴れ、湖の毒も消えた。



「本当に黒湖全ての毒は六天将の仕業だったのか。湖も元通りになっとる。」


「予想はしていたが今回の戦いで大分兵を削られてしまったな。」


「・・・申し訳ありません。私が乗っ取られていなければ。」


「気にするなとは言わん。だが、お前が操られてなくとも別の誰かが、特に俺やアーノルドが標的になっていただろうな。3人の誰かが操られても甚大な被害が出ることは分かってる。死んだ者の為にも必ず魔王を倒すぞ。」


「・・・ええ。必ず。」



—————そして軍は黒湖で休息を取った。

その間回復魔法が使える兵を総動員。

勿論真也もその中の1人である。



真也は順番に治癒に回っていると・・・



「シンヤ!!」


「ゼル。」



ゼルが声を掛けてきた。



「カカカ!ついに俺も護衛団を倒したぜ!!」


「マジ?」


「おうよ!」


「凄かったわよ本当に。」



リビアとニックも声を掛けてきた。



「シンヤ!シンヤ!それにだな・・・・ほれ!」



ゼルの手のひらの上で風が旋回している。



「ゼル・・・お前!」



驚いた・・・

ゼルが魔法・・・



「いつ覚えたんだよ?」


「覚えたっていうか・・・護衛団と戦っている最中に急に使えるようになったんだけどな!」


「なんだそれ・・・」



後天的に使えるようになったのか・・・



「これで俺もシンヤに並んで戦えるぜ!!」


「調子に乗らない!アンタまだ魔法の使い方全然知らないんだから!時間が無いんだから行くよ!」


「どこ行くんだ?」


「今ゼルの特訓をしてたところなのよ。コイツ、魔法のことなんて全然知らないから私がスパルタで教えてるのよ。ここに居れる短時間でも教えれる事は山ほどあるしね。」


「・・そうか、ゼル頑張れよ。」


「おう!じゃあな!!」



そうしてゼルたちは魔法の特訓に出た。



この黒湖での戦いで大きな被害が出た。

魔物の軍勢、護衛団、六天将。

特に黒湖での戦いでは敵の広範囲での攻撃が多く、かなりの兵がやられてしまった。

テトライ山脈から黒湖までで100万いた兵は70万にまで減った。



正直、今の戦力でも十分だと思うけど・・・残る六天将は2匹、そして魔王。

そもそも100万の軍って今まで経験した世界の中でも一番多い。

六天将1匹に大体10万もっていかれるとしても残り2匹だから20万。現状の数から引いたら50万の軍勢で魔王城に乗り込める。

普通に数で圧せるんじゃないか?

まぁ・・・魔王の強さにもよるけど。



—————こうして真也は2日間、兵たちの回復に努めた。

そしてついに魔王城バルティゴへ向けて出発の時。



「いいか!!我々はここまでの戦いで多くの同胞を失った!!散っていった同胞たちの死を無駄にしてはならんッ!!我々もようやくここまで来たッ!!残るは魔王城にいる魔王、そして残る六天将2匹を必ず倒し・・・平和を取り戻すッ!!!行くぞォォーーーーッ!!!!」


「「「「「「おおおおおおおおーーーーッ!!!」」」」」」



黒湖から魔王城バルティゴまでの道のりは4日。

テトライ山脈から黒湖までの被害は死亡・戦闘不能合わせて約34万。残りの兵は66万。

真也たちが黒湖滞在時に回復に回ったが傷は癒えても疲労は消えない。

魔王を倒して平和にするという一心で兵たちは進む。



—————そして黒湖から出発し4日。

ついに軍は魔王城バルティゴ付近に到着した。

途中魔王軍の軍勢に襲われることもあったが蹴散らして勝利。

66万いた兵は黒湖からここまでで2万減り64万となった。



「あの丘の上に見えるのが・・・・魔王城。」



兵たちは異様な雰囲気である魔王城を見てゴクリと喉を鳴らす。

魔王城に向けて進軍。

すると・・・



「・・・よくここまで辿り着きましたな。」



先頭で進む兵士たちの前に突如老人が現れた。



「なんだコイツ!?」



兵士たちは身構える。



「ホホホ、儂はしがない老骨。そんな身構えなくてもよかろう。」


「うるさい!かかれェッ!!」



兵士たちが老人に襲い掛かる。



「・・・・いいのか?お主ら落ちるぞ?」


「「「「!!?」」」」



向かって行った兵士たちの地面が・・・急に大きな穴が空いた。



「なッ!?」


「「「「うあああーーーーッ!!!」」」」



穴の下に落ちていく兵士たち。

・・・・しかし、



「何が起きている!?どうした!?」


「わかりません!!先頭集団が何かされているみたいで・・・」



実際に穴に落ちたと思った兵士たちの地面には何も穴など空いてなかった。

これは老人による幻術魔法。

幻術を喰らい、穴に落ちたと錯覚している兵士たちは手を上に掲げていた。



「なんだ!?貴様!!一体何をした!?」


「ホホホ、お主らも試してみるかの?」



老人は幻術魔法を発動。

次に兵士たちが見る幻術は・・・隕石落下。



「い、隕石だぁぁーーーー!!!」


「避難!!避難ーーー!!!」



突然隕石が落ちてきたと騒ぎ出す兵士たち。

当然後方にいる者たちには何も見えていない。

隕石落下の幻術を見ている兵たちは後方へ全力でダッシュ。



「早く逃げて下さい!!隕石が来ますッ!!!」


「何を言っているのだお前たちは!!」



逃げ惑う兵士たち。



「騒がしいな・・・魔物と戦ってるのか?」



先頭から少し離れた位置にいる真也たち。



「ホホホ、ここから先へ行くにはここを通らなけれならぬぞ。」



そう言って老人は後ろを向き、城へ向かって歩いて行った。



「逃がすな!!追えッ!!」



兵たちが老人を追って駆ける。



一方その頃、隕石落下の幻術を見た兵士たちが大分先頭から離れ、真也たちがいる位置まで駆け抜けていた。



「隕石だ!!逃げろーーーッ!!!」


「隕石?」



真也たちは上を見るも何も落ちて来ていない。



「何言ってるんだアイツ・・・」



真也たちが叫んで走っている兵たちを見ていると・・・



「もうダメだーーーーッ!!!!」



走って逃げている兵士たちが叫ぶ。

次の瞬間、



パァァンッ!!!



突如兵たちの体が弾け飛んだ。



「「「「「!?」」」」」



弾け飛んだ兵士の体は粉々となっていた。



「な・・・・なにが起きたッ!?」



何が起きたのか理解できない兵士たちは戸惑う。



「(・・・ホホホ、儂の幻術はただの幻術ではないぞ。幻の中で起きた事は幻術にかかった者の中では本当に起きる。幻術であって幻術でない魔法。それが儂の力じゃよ。)」

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