第98話「物理が効かないのなら」
カブリエルの体を乗っ取ったグラシャは『大爆発』を連発。
爆発によって次々に兵士たちが吹き飛ばされ散ってゆく。
『大爆発』の魔法によって辺りは多くのクレーターが出来上がってしまった。
「本当気持ちいいわね。この魔法は。・・・病みつきになりそう。」
「・・・よくも・・・」
「・・・あら?まだ意識があるの?さすが上級大将。完全に乗っ取られないなんて強いわね。・・・でも、よく見なさい!軍のトップの1人である貴方の魔法が・・・こんなに人間を消してしまった現実を!」
辺りを見渡すと酷い惨状が広がる。
多くの兵士が倒れ死亡。
「まだ足りないわ。まだまだ人間は多くいるのだから。」
「・・・やめろ・・・・」
「・・・・ポンポンポンポン撃ちおって。」
「!」
カブリエルの前にボーギャンとアーノルドが現れる。
「あら?死ななかったのね。」
「危なかったけどな。」
「二人とも・・・早く・・・私を・・・・殺してくれ・・・」
「フフフ、無駄よ。貴方たちが彼を斬ったところで私は彼の体から出ていくだけ。私は死なないわ。」
グラシャはカブリエルを操って魔法を発動。
大きい氷柱をアーノルドらに向けて放つ。
アーノルドらは氷柱を回避。
しかし、回避したのも束の間。
すぐに炎が飛んできた。
魔法を連発。
大量の炎が二人を襲う。
「本当良い魔力を持っているわ!これだけの魔法を放ってもまだ尽きない!」
次にグラシャは風魔法を発動。
大きな鎌鼬をいくつも生成し、アーノルドらに向けて放つ。
ドォォォン!!ドォォォン!!
アーノルドらはひたすら魔法を躱し続ける。
どうすれば良いのかを考えながら。
「ハァ、ハァ・・・アーノルド、この状況どうするかの?手が出しにくいぜ・・・」
「・・・く。」
アーノルドとボーギャンがこの状況をどう打開するか悩んでいると・・・
「・・・・おい。」
「「「「!?」」」」
「お前・・・よくもせっかく治した兵たちを巻き込みやがって。」
突如真也が現れた。
「アズモンド少佐!」
真也は爆発が起きる前に防御魔法を展開。
治療中である自身の周りにいる兵たちを守り、転移魔法でカレンたちがいる場所へ移動。
カレンたちも同様に防御魔法で爆発から守った。
「・・・ッ!?お前、ジズが言っていた人間か!?」
「?」
「フルーレを倒した人間・・・」
「せっかく治療していたのに水の泡にしやがって・・・・」
「フフフ!私は今、上級大将の体を乗っ取っている!こやつに手を下すか?下したところで私は死なない!」
「アズモンド少佐、奴の言う通りだ。正直俺らでもどうすればいいのか迷っている。」
「・・・迷う?・・・そんな必要ないでしょ?」
真也はそう言うとカブリエルにゆっくり近づく。
「来たところで何もできないわよ!」
グラシャは真也に向けて鎌鼬を放つ。
・・・だが、
歩きながら簡単に躱す。
「ッ!?」
「・・・簡単なことだろ?」
ゆっくり歩いていたが・・・突如一瞬にして真也はカブリエルに近づく。
そして真也はカブリエルの体に手を触れた。
「『解放』。」
次の瞬間、グラシャ本体がポンっとカブリエルから飛び出す。
「「「!?」」」
「・・なッ!?」
「これで本体は出たな。」
「バ、バカな!?・・・だけど!出したとこで・・・私は倒せない!」
「アズモンド少佐!奴は物理が効かない!効くのは魔法だけだ!」
「魔法でも細かくなる霧になってしまえば当たらないわ!」
グラシャは霧状に変化。
その変化した一瞬で真也が動く。
物理無効の敵・・・霧・・・だったら、
「『引き寄せる球体』。」
真也が魔法を発動。
黒い球体が飛び出す。
するとその黒い球体が霧状になったグラシャを引き寄せる。
「な、なによ!コレッ!?」
球体に引き寄せられた霧。
そして、
「『封印』。」
真也は追加の魔法を発動。
透明な立方体が4つ出現。
4つの立方体は全て大きさがバラバラ。
まず最初に一番小さい立方体が霧を球体ごと閉じ込める。
次に大きい立方体が最初の立方体を閉じ込める。
そしてその後も順々に大きさ順に閉じ込めていき・・・・最終的には4重の立方体に閉じ込められたグラシャ。
「「「「!?」」」」
「出しなさい!!」
「倒せないって言うなら閉じ込めるしか無いでしょ?」
「ッ!?」
「今俺が使ったのは結界魔法。・・・念のため4重にしておいたから多分出れないと思うぞ。」
「この状態の私をどうする気!?」
うーん・・・このままここに放置しててもいいんだけど・・・
俺がこの世界から居なくなったら魔法の効力はどうなるんだろ?
不確定要素があるから念には念を入れようかな。
真也は異空間を開ける。
「それは!?」
「これは異空間。今からお前をさらに異空間へ閉じ込める。」
「異空間ですって!?」
真也はグラシャを閉じ込めた立方体を操作してポイっと異空間へ放り投げ、そして異空間を閉じた。
いとも簡単にグラシャを倒した真也に、アーノルドとボーギャンの口は開きっぱなし。
「・・・ハハ・・ハハハハ!こりゃたまげたわい!俺らがどうするか悩んでいた敵を・・・こうもあっさり倒すとはの。」
「貴方・・・アズモンド・シンヤ少佐ですね?東部で六天将を倒したというのを聞いていましたが・・・今回も六天将を倒すとは・・・・一体何者なのですか?」
「ただの兵士ですよ。・・・俺は倒れている兵たちを治療しに行くのでそれじゃ。」
真也はそう言うとアーノルドたちの場から離れた。
「こりゃ・・・規格外だわ。あやつが居れば本当に魔王を倒せるかもな。」




