第94話「護衛団ホネスト」
カレン率いる東部地方第88支部とマイク率いる北部地方第25支部が蜂の姿をした魔物の所まで到着。
「兵士たちがおかしくなったのはこいつが元凶か。」
「ケケケ!強いのがそっちから来るなんて好都合ね!わざわざ私が行く手間が省けたわ~!」
「マイク上級大佐、あの魔物は強いわ。」
「ああ、ベルが言うのだから間違いないだろう。」
「ケケケ!私はグラシャ様の護衛団、ホネスト!貴方たちも私の奴隷にしてあ・げ・る!」
グラシャ護衛団・ホネスト
蜂の姿をした女型の魔物。
全護衛団の中でもトップクラスの移動速度を誇る。
尻の針には特殊な神経毒があり、刺されると体の自由が利かなくなり、ホネストの意思によって動かされてしまう。
「とりあえずあの針に刺されたらヤバそうだな。」
「全員構えろ!!」
「『雷の矢』!」
ベルの先制攻撃。
高速の雷の矢を放つ。
しかし、
「!!」
ホネストは一瞬で姿を消し矢を躱す。
「早い!」
ブスッ!!
「ぐあッ!!」
「「「「!!?」」」」
後方にいた25支部のランバダが針に刺される。
「ケケケ!まず1匹目~!」
「しっかりしろランバダ!」
「みんな・・・離れて・・・下さい・・・」
突如ランバダが剣を振り回す。
ホネストの針によって操られてしまった。
「アリダリ!」
「クレン!」
カレンとマイクの指示でアリダリと25支部のクレンがランバダを抑え込む。
カレンたちがホネストの方を見ると既に姿が無い。
「消えた!くそ!」
「そこ!!」
ベルが瞬時に『雷の矢』を放つ。
矢の先にはホネスト。
「!!」
ホネストは飛んできた矢を躱す。
「(私の速さについてきた!?見えているの?あの女・・・)」
だが、躱した先には・・・ウェットが待ち構えていた。
「はぁぁッ!!」
「!?」
ウェットによる高速の連続突き。
ホネストはギリギリで突きを躱す。
「(こいつも!?何故私の動きについてこれるの!?)」
ホネストは一旦上へ逃げる。
「ウェット!やるじゃねぇか!」
「僕も鍛錬を続けてきたんです。役に立ってみせます!」
「貴方・・・雰囲気が変わったわね。」
「そうかい?僕はいつも通りだけど?」
「いや、前と大分変ってるわよ・・・貴方。」
ベルはウェットの変貌ぶりに感心。
「それにしても奴の動きが早すぎる。目で全く追えない。」
「ええ。ですがベルには奴を感知できる。それを頼るしかないね。」
「ケケケ!次はどいつを奴隷にしてやろうかしら~。(あの金髪の女と男は私の速さについてこれる。だったら・・・)」
上空で飛んでいたホネストが再度消える。
狙ったのは・・・ベルとウェットから一番離れている位置にいるレイネス。
レイネスはホネストの接近に気付かない。
針が首筋に迫る。
「ッ!?」
ホネストがレイネスの首筋に針を刺そうとした瞬間、ホネストの顔の横に槍の先端が迫っていた。
槍の接近に気付いたホネストは瞬時に顔を反らして回避。
・・・・しかし、追撃の矢がホネストを貫く。
「ガガガガッ!?」
貫いた箇所から雷が迸る。
「なんだーッ!?」
一瞬の出来事だった為、何が起きたのか分からないレイネス。
「・・・なぜここまで攻撃が届く!?」
よく見るとウェットの槍がレイネスの位置まで長く伸びていた。
これは特殊魔法『伸縮』。
物を伸縮させることが出来る魔法。
ウェットはもともと特殊魔法は『索敵』しか使用できなかったが、鍛錬を積んで習得した。
さらに『索敵』を強化し、自身から数メートルの局地に索敵を絞り込むことによって細かい魔力の動き・流れを感じることができる。
それによってウェットはホネストの動きを感じることができた。
「お前の動きは僕にはわかる!」
「私も貴方を感知できるわ。」
「こ、こいつらぁぁ~!!」
「頼もしくなったな、ウェット。」
しかし、現状は後手に回っている状態。
ホネストの速さについてこれるのはウェットとベルのみ。
ただ、ついていけると言っても敵を感知してカウンターを浴びせるだけ。
実際ホネストの速さと同等の動きが出来る者は居ない。
つまり、敵の攻撃を待つしかないのだ。
「ケケケ!感知できると言ってもお前たちは私の攻撃を待つしかない!じわじわとなぶってあげるわ~!」
「・・・・私が撃ち落とします。」
すると前に出たのがベル。
雷の弓で狙いを定める。
「ケケケ!ここからなら矢を躱すことなんて容易!もう当たらないわよ~!」
「・・・・『雷鳥弓』。」
ベルが雷の矢を放つ。
雷の矢は雷鳥の姿に変化。
もの凄い速度でホネストへ向かう。
「・・・この程度!」
ホネストは矢を躱す。
・・・だが、
「ッ!?」
雷鳥は旋回しホネストへ再度向かっていく。
「追尾!?」
躱し続けても追いかけてくる雷鳥。
「ケケケ!無駄よ無駄!こんな1つの攻撃、いつまでも避けれるわよ!」
「・・・・誰が1つって言ったかしら?」
「ッ!?」
逆方向、ホネストの背後からもう1羽の雷鳥が飛んできた。
迫りくる2羽の雷鳥を巧みに躱す。
・・・・だが、
「なにッ!?」
ホネストの周囲には合計7羽の雷鳥が飛んでいた。
そしてあらゆる方向から全ての雷鳥がホネストに迫る。
「・・・・くッ!」
「躱し続けられるかしら?」
雷鳥の襲撃を躱し続けるホネスト。
バチッ!
しかし段々と躱しきれなくなり、体に雷鳥が掠る。
「・・・だったら・・・アンタに全部受けてもらうわ!!」
突如ホネストがベルに向かって飛ぶ。
「!!」
雷鳥を引き連れてベルの目の前で躱し、雷鳥をベル本人に直接当てる作戦。
他の者はホネストの速さについていけず、見失う。
・・・・1人を除いて。
「そうくると思ったよ。」
ズドンッ!!
「ぐはッ!?」
ベルまであと1メートル付近で槍がホネストの脇腹に突き刺さる。
ウェットが槍を伸ばして攻撃。
「追尾の攻撃を術者本人に当てる・・・ベタだよね。」
「・・・この・・・」
槍が突き刺さったことによって動きが鈍くなり・・・背後から7羽の雷鳥が迫る。
バチバチバチィーーーッ!!!
「ガガッ!!ガガガガァァーーーッ!!!」
ホネストはもろに雷鳥の攻撃を喰らい感電。
凄まじい雷が迸る。
ホネストは黒焦げとなり、口から煙を出してその場に倒れた。
「勝った!!」
「よくやったぞランゴスタ。」
「はい!」
「ベルもよく頑張ったね。」
マイクがベルに労いの言葉をかける。
・・・・だが、
「・・・・ベル?」
「みんな・・・離れて・・・」
ベルが雷の矢をマイクに向けて構える。
「まさか!?」
よく見るとベルの服に穴が空いている。
ホネストは倒される直前、ベルに針を飛ばしていた。
体の自由が利かないベル。
自身の意思とは関係なしに弓をマイクに向けた。




