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第93話「初めての勝利」


突如魔法に目覚めたゼル。

タランはゼルに向かって糸を放つ。



「こりゃ・・・あまり時間はかけられねぇな!」



そう言うとゼルは凄まじい速度で突っ込む。

『風の羽衣』を纏ったゼルは飛んでくる糸を素早く躱す。



「こやつ!」



タランは大量の糸を噴射。

だがゼルは全ての糸を躱す。



「ッ!!・・・・これならどうじゃ!!」



広範囲に網状の溶解糸を噴射。



「オラァァァッ!!!」



ゼルは走りながら剣を振る。

すると剣から風の刃が放出。

その風の刃はタランが放った溶解糸を斬り裂いた。



「なんじゃと!?」



そのままタランに向かって直進。

そして・・・



ズバァンッ!!!



ゼルの刃がタランに届く。



「ぐぬぬッ!!!」



タランの胴体から血が噴き出す。



「まだまだァァッ!!!」


「・・・くっ!」



ゼルの連続攻撃。

タランも必死に脚で応戦。

互いに譲らない。

だが・・・ゼルの圧倒的な剣速によって徐々に対処が間に合わなくなり・・・



「(俺はまだ1人で護衛団を倒したことが無ねぇ・・・シンヤやパイロ、エルザに先いかれたままで・・・・)たまるかァァーーーッ!!!」


「ッ!!!」



ズバババァーーーン!!!!



タランの脚を切断。

風を纏った連続剣が炸裂。

そしてタランの胸に剣が突き刺さる。



「ギャアアアアア!!!!」



タランはのけぞって倒れ、悶える。



「す・・凄い・・・」



リビアとニックは呆然と眺めている。



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」



ゼルは片膝を地面に着け、息が上がっていた。



「・・・・わらわは・・・」



もがき苦しんでいたタランがゆっくりと起き上がる。



「ゼル!!」


「負けぬッ!!」



タランの鋭い脚での攻撃。



「俺も負けねぇ!」



ゼルはタランの攻撃に即座に反応。

カウンター一閃。

脚を斬り、そのまま腹部と上半身を斬り落とした。



「ガァァァーーッ!!!」



2つに分かれたタランの体がドサッと地面に落ちる。



「ハァ・・ハァ・・・勝った・・・護衛団に・・・俺は・・・勝ったッ!」



ゼルは片手をあげてガッツポーズ。

護衛団タランに勝利。

しかしゼルはその場に倒れ込む。



「ゼル!!」



魔力欠乏症と聖水の効果が切れたことによって意識を失った。

それを見てリビアやニック、他の兵士たちが駆け寄る。



「魔力ポーションと聖水を!!」



リビアはすぐさまゼルにポーションと聖水を飲ませる。

するとゼルは次第に目を開く。



「ゼル!大丈夫!?」


「リビア・・・ニック・・・見たかよ・・・俺・・・倒したぜ。」


「うん!凄かったよ!」


「全く・・・いつもいつもアンタは無茶して!」


「へへ、これでシンヤたちに並んだ!こっからだぜ!!」


「バカ!アンタはまだ魔力も足りてないし戦闘直後なんだから動かないで!」


「・・・い、いや!イケるって!」


「ダメよ!アンタはここで少し休んでなさい!ここは・・・私たちがやるわ。回復したら・・・バリバリ動いてもらうからね!」


「・・・・おう!」



リビアや他の兵士たちは休んでいるゼルを中心に囲み、襲ってくる魔物に対処。



=== 黒湖・真也側 ===



真也たち88支部は湖の正面からやや右側で戦いを行っていた。



「俺たちがここの道を開けて第二陣以降が通りやすくするんだ!!」


「ちきしょー!体がびりびりするし、力が思うように入らねぇ!」



真也たち88支部も黒湖全体を漂う瘴気&毒霧に苦戦。

若干体が麻痺している為、互いがフォローしやすいようにいつもより距離を縮めて敵に対処していた。



「避けてくれーーー!!」


「「「!?」」」



突然兵士が剣を振り回して真也たちに襲い掛かる。



「危なっ!!何すんだお前!!」



襲い掛かってきた兵士に怒るレイネス。



「違う!俺じゃない!」


「?」



剣を振り回して襲うことを止めない兵士。



「体が・・・勝手に・・・」



これは・・・操られているのか?

兵士の意識はハッキリしてる・・

じゃあ体だけ乗っ取られている感じか。



襲い掛かる兵士の攻撃を難無く躱し続ける真也。

そして隙を突いて兵士に触れ、『解放(リベレイション)』を発動。



「・・・・あれ?」



解放(リベレイション)』の魔法によって兵士の体は元通りになった。



「オ、オイ!なんだよアレ!!」



真也が兵士を解除し、元通りにしたのも束の間、

前方から沢山の兵士たちが剣を振り回して逆走してくる。



「ケケケ!働け働け~!奴隷共!私の為に働け~!」


「こいつらは味方だ!殺すな!!」


「でも・・・この数・・・」



この人数を操っている奴がいるな。

・・・どこだ?



真也は高くジャンプして周囲を見渡す。

そして兵士を操っているであろう存在を確認。



「シンヤ!何か居たか!?」


「いました。前方に蜂みたいな魔物がいます。」



蜂の姿をした魔物は高速で宙を移動し、針を兵士に刺していた。

そして針に刺された兵士たちは・・・クルっと方向を180度変え、逆走。



「よし!我々はその魔物を倒しに行く!」


「「「了解!!」」」


「アズモンド、お前は操られている兵士たちを治してくれ。」


「え?」


「その蜂の魔物を倒したからと言って兵士たちが元に戻るとは限らん。それに治せるのはお前しかおらんからな。頼んだぞ。」


「・・・・了解。」



カレンたちは真也を残して蜂の魔物の元まで駆け抜ける。

その道中、カレンたち88支部の隣を平行して進む兵士たちがいた。



「お久しぶりです。オバマス准将。」


「・・・久しいな。」



その兵士たちは・・・北部応援にて一緒に殲滅組として戦ったアーレン・マイク率いる北部地方第25支部の面々。



「お久しぶりですマイク大佐!」


「ハハハ、一応もう上級大佐なんだけどね。」


「レイネス・・・アンタ本当失礼な男ね。」


「アーレン上級大佐、お前たちの目的は・・・同じか。」


「ええ。ベルが前方に強い魔力を察知しましたので向かってます。」



マイク上級大佐が率いる北部地方第25支部にはエルフ族で魔力察知に長けるアレキミスト・ベルが居る。



「それでは協力して標的を討つとしよう。」


「ええ。」



操られて逆走する兵士たちを掻きわけ、カレンたちは蜂の魔物の所まで到着。



「ケケケ!わざわざそっちから私の奴隷になりに来るなんてね~。しかも強そうだわ~。」

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