第73話「散る」
フルーレの鎌の先端部分がジルニールの胸部を貫く。
「あ・・あああ・・ああ・・」
「・・・・くッ!!」
ジルニールは反転して背後にいるフルーレを攻撃。
・・・・だが、
スパンッッ!!!
「ッ!!!」
ジルニールの右腕が鎌によって切断。
腕が宙を舞い、そして地面に落ちる。
「ぐッ・・・!!!」
切断された箇所から大量の血が噴き出る。
そしてそのまま地面に倒れそうになったところをウェットが受け止めた。
「兄さぁぁぁんッ!!!」
必死で止血しようとするウェット。
「ふふ~ん、待ってたよ~。だって君、全然隙見せないんだもん。・・・でも、よくわからないけど隙見せてくれたね~。」
「兄さぁぁぁんッ!!!」
「これで君はボクの・・・人形に加わるんだ。ボクのお気に入りランキング上位確定だよ。」
将軍が・・・ウェットの兄貴が・・・やられた。
「兄さぁぁぁぁん!!!」
「・・ウ・・ウェット・・・」
「!!」
「・・・お前は・・ランゴスタ家の中でも特に才能がある・・」
「兄さん!喋らないで!!傷が!!」
「・・ただ・・お前は・・自信過剰な所があるからな・・・今の力を過信している・・・それがお前の成長を邪魔しているんだ・・・」
「兄さん・・嫌だよ・・・何を言ってるの!?」
「・・・まず自分の現状を受け止めろ・・そして・・自身を見つめ直し・・・もっと向上心を持って・・上を目指せ・・」
「・・兄さん・・」
「・・・・お前なら必ず・・・・私より・・・誰よりも・・強くなれる・・・何故なら・・お前は・・・私の弟だからだ・・・」
「誰かーーーーッ!!回復魔法使える人!!誰か来てくれーーーッ!!」
必死に助けを求めて叫ぶウェット。
だが、アンデッドの群れが邪魔をして誰も近づけない。
「・・・生きろ・・・ウェット。」
「にい・・・」
ジルニールは最後の言葉をウェットに残して・・・力尽きた。
「に・・兄さん?ジルニール兄さん?」
「あ、死んだね~。」
「将軍が討ち死・・??」
「嘘だろ・・・」
・・・なんで俺は動かなかった?
・・・俺なら回復させることができた。死なせずに済んだ。
・・・俺が魔法を使えない設定にしているから?
・・・だから動けなかった?・・いや、動かなかったんだ。
・・・俺が・・見殺しにした?
身近な存在の肉親が死んだことにより真也が動揺。
「兄さぁぁぁぁぁぁんッ!!!!」
ウェットはジルニールを抱きかかえて号泣。
「・・・それじゃあ君は今からボクのコレクションにしてあげるよ。」
「兄さぁぁぁぁぁぁんッ!!!!」
「・・・うるさいね。君・・・邪魔だね。」
「!!」
フルーレは鎌を振り上げる。
ウェットはフルーレを前にして動けない。
「待てッ!!ウェット!!」
「逃げろウェット!!!」
「どけッ!!!」
88支部の面々がウェットを助けようと藻掻く。
だが、アンデッドの群れが立ち塞がり、中々前に進めない。
・・・何の為に俺の力があるんだ?
・・・平穏に暮らすため?
・・・そうだよ、俺は異世界で平穏に暮らすために今まで試行錯誤してきた。
・・・ここで・・皆の前で力を見せたら・・今までの努力が水の泡。
・・・今後平穏な暮らしなんてできない。
「君たち兄弟なんでしょ?お兄さんと一緒に殺してあげる。君は・・使えなそうだけど一応コレクションには加えてあげるよ。どう?ボク優しいでしょ?」
「ああ・・・ああ・・」
「バイバ~イ。」
「「「ウェットーーーーーッ!!!」」」
・・・だけど・・・
フルーレの無情の鎌がウェットに襲い掛かる。
「・・・・・・ッ!?」
この場にいる全員が目を疑った。
フルーレがウェットに向けた鎌が・・・途中で止まった。
「な・・なんだい・・君は?」
鎌が途中で止まった。正確には・・・鎌を受け止めていた。
受け止めたのは・・・真也。
「・・シ、シンヤ・・?」
真也は片手でフルーレの鎌を受け止めていた。
「・・・「仲間を見殺しにしてバレない」のと「仲間を助けてバレる」を天秤にかけたら・・そりゃ・・・後者だわな。」
「アイツ・・いつの間に!?」
すぐ傍にいたはずの真也が突如ウェットの前に現れてレイネスたちが驚く。
「ごめんな・・ウェット。俺ならお前の兄貴を救えた。だけどできなかった。自分の拘り、プライドが邪魔をした。」
「な、何を言っているんだ・・シンヤ?」
「俺がもっとちゃんとしてれば・・・こんな事態になっていなかった。だから・・もう、俺が・・・俺だけで終わりにする。」
「ちょっと、いい加減ボクの鎌を返してくれるかな?・・・ッ!?」
フルーレが力を入れて鎌を引き戻そうとするが全然戻らない。
「お前・・・最悪な気分にしてくれたな。久しぶりだぞ・・・こんな気持ちになったの。」
真也はフルーレを鋭く睨みつける。
その瞬間、フルーレに衝撃が走る。
「(・・・なんだよコイツ・・・あれ?コイツ・・どこかで・・・)」
真也はパッと鎌を離す。
「ッ!!・・・思い出した!お前・・ジズが言っていた奴だな?」
「ジズ?」
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=== 魔王城バルディゴ ===
以前、六天将の一人であるジズが他の六天将を招集。
護衛団ゼストを倒した真也と護衛団ビヨームを倒したジークについて話をした。
「特にゼストを倒したこやつ、この人間は要注意じゃ。虫でも殺すがの如くゼストを倒しおった。この映像を見る限りまるっきり力を出しておらん。正直、実力的には儂ら六天将よりも上かもしれん。」
「んな訳あるかよ。こんな奴、俺の前に出てきたら殺してやるよ。」
「ふ~ん、ボクのコレクションにしたらかなりの戦力アップになりそ~。」
「とにかく、こやつと対峙した時は注意せよ。」
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「(確かにこの圧・・コイツが強いことは分かる・・だけどそこまで脅威に感じるって程でもないかな。)」
「シンヤ・・・」
「そこから動くなよウェット。」
真也がゆっくりフルーレに近づく。
「!!」
フルーレは咄嗟に一旦距離を置いた。
「このボクの人形の大群にどう立ち向かうのかな?まずはこの大群をどうにかしないと君たちは全滅必死だよ?」
「・・・そうだな。」
すると真也は地面に手を置く。
そして魔法を発動。
発動したのは『索敵』。
ブルンガルドを含めた地域全体を掌握。
アンデッド・魔物の全ての位置を確認。
バッ!
真也は浮遊魔法で空に飛び上がった。
「なっ!?飛んでる!!」
「嘘だろ!シンヤが!?」
真也は自身の腕にはめていたブレスレットを外す。
このブレスレットは以前真也が魔力を抑える為に創成した道具。
魔力(MP)を100までに抑えることができる代物である。
外した瞬間、抑えていた魔力が開放。
「・・・なッ!!!?」
他の者には分からないがフルーレには感じることができた。
真也の圧倒的な魔力を。
次の瞬間、真也の周囲に魔法陣が展開。
「・・な、なにを!?」
「お前が言ったんだろ?この群れをどうにかしないと・・って。だから、どうにかしてやるよ。」
さらに真也の周囲に魔法陣が増加。
=== 天界 ===
天界にて女神ディーテらは・・
この戦の一部始終を観戦していた。
「行けーーーー!!真也様ーーーッ!!」
「す・・凄いな・・・なんだこの魔法。」
「あらあら~。」
「やっとやる気になってくれたわ!もう!遅すぎるのよ!!」
女神ディーテは身を乗り出して観戦。
「この数の魔物を一掃しようとしてるのか?MP足りるか?」
「真也様の最大MPは27000よ!」
「でも・・さすがにこの数だとMP足りないんじゃないかしら~。」
「・・・ちょっと待って。」
女神ディーテはブツブツ唱え真也のステータス表を出す。
「ふむふむ・・・・ゲッ!!?なななななによコレーーーッ!!?」
女神ディーテは思わずひっくり返る。
「どした?」
あまりにも衝撃的な内容によって目玉が飛び出しそうになる女神ディーテ。
「こ・・これ・・・・」
真也の最新のステータス表を女神ニケと女神エイレに見せる。
「・・・・ッ!!」
「あら~。」
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なまえ:たかなし しんや
せいべつ:おとこ
しょくぎょう:ゆうしゃ
レベル:425
さいだいHP:155000
さいだいMP:96000
こうげき力:17200
ぼうぎょ力:13000
すばやさ:6000
かしこさ:77777
うんのよさ:100
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「あらあら~、凄いわね~。」
「見たことないぞ・・こんな数値。」
「レ、レベルが100以上も上がってるじゃないのよ!!」
「しかもステータスの上り幅が尋常じゃないね。どうやったら短期間でこんな数値になるんだ?」
「あら~、まだ下に続きがあるわよ~。」
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かしこさ:77777
うんのよさ:100
ぱっしぶ①:ゆうしゃのさだめ
ぱっしぶ②:けいけんちばい
ぱっしぶ③:せいちょうそくどばい
ぱっしぶ④:すてーたすじょうしょうはばあっぷ
ぱっしぶ⑤:けんじゃのちえ
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「パ・・パッシブが・・・5個!?なんで!?」
「知らねえよ!お前がつけたんじゃないのか?」
「そんなことする訳ないでしょ!勇者様のパッシブは1つって決まってんだから!!」
「だとしたら・・・真也様が独自で獲得したパッシブになるのか?」
「勇者様が自分でパッシブを身につけるなんて聞いたことないわよ!パッシブは女神の恩恵なのよ!?」
「でもじゃあコレはどう説明するんだよ。」
「・・・【経験値倍】、【成長速度倍】、【ステータス上昇幅UP】、【賢者の知恵】・・・賢者の知恵のパッシブって何?」
「ちょっと待っててね~。」
女神エイレが本棚から【勇者のパッシブ一覧】という一冊の本を取り出す。
「え~と、【賢者の知恵】というのはね~。“何か新しい発見や新しい特技・魔法を習得した場合、ボーナス経験値が入る”・・らしいわよ~。」
「なんじゃそら・・・」
「この新しい4つのパッシブがあるからここまで急激に成長したらしいわね~。」
「チ・・・・チート過ぎるわよーーーーッ!!!」
女神ディーテの声が天界中に響き渡った。




