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第72話「絶望的戦力差」

フルーレが召喚した元帝国戦士長の3体のアンデッドを倒したジルニールたち。



パチパチパチ。



「?」



笑みを浮かべながら拍手をするフルーレ。



「凄いや!ボクのお気に入りの人形(おもちゃ)を倒しちゃうなんて!」


「ランゴスタ将軍!」



ジルニールのもとへオリンパス将軍らが駆け付ける。



「北・南・西側の護衛団合計3匹討伐完了です。」


「!」


「我々も東側にいた護衛団を討伐しております。」



ブルンガルドに居た護衛団4体は全滅。

さらにオリンパス将軍は残党も徐々に減らしている状態であると報告。



「これが我々人間の力だ六天将フルーレ。貴様の護衛団は全滅、残党を処理するのも時間の問題だ。」


「・・・・・はぁ~。」



フルーレは深いため息をつく。



「だから嫌なんだよね~人間って。倒したら今みたいに「お前はもう終わりだ」的なことをすぐ調子に乗って言っちゃうしさ。別に好き好んで護衛団とか他の魔物を使ってないんだよねボクは。ジズにしつこく言われたから護衛団とかを仕方なく身近に置いたりしたけど・・・正直、生きてるのって要らないんだよね。好き勝手な事するし管理が面倒くさいんだよ。だからボクは死体を人形(おもちゃ)にするのが好きなんだ。人形(おもちゃ)はボクの思い通りに動くしね。それに・・・」


「?」


「むしろ他の魔物とかを倒してくれた方がボクは・・・嬉しいけどね。」


「ッ!!?」



フルーレは急に身の毛がよだつ不気味な笑みを浮かべた。

それを見た全員に悪寒が走る。



次の瞬間、フルーレが魔法を発動。

ブルンガルド全域に魔法陣が広がる。



「「「!!!」」」


「・・・オオオ・・」



戦場に倒れていた魔物・兵士がゆっくりと起き上がった。



「・・・アンデッド!!」


「こいつ!死んだ魔物や兵士をアンデッド化しやがった!!」



今回ブルンガルドでの双方の戦力は人間10万、魔物17万。

そのうちこの戦で死亡したのは人間約3万、魔物約12万。

フルーレの魔法により、人間魔物合わせて約15万の死体がアンデッドと化した。



さらに・・・



フルーレの魔法はブルンガルド外部まで広がる。



「た、大変です!!!」



一人の兵士が慌ててジルニールたちのもとへ駆け寄る。



「どうした?」


「い、いま外で待機している者から報告が・・・」


「どうしたのだ?」


「・・・・ブルンガルドの外に・・・・アンデッドの大群が押し寄せているとの事です!!!」


「「「「!!?」」」」



フルーレが発動したのは2つ。

1つ目はブルンガルド内にいる死体をアンデッド化。

2つ目はブルンガルドの外にアンデッドの大群を召喚。



「数は?」


「およそ・・・・30万!!」


「「「「!!!!」」」」



その場にいた全員に衝撃が走る。

アンデッド化、召喚したアンデッドの合計は約45万となる。

生き残っている兵士は約7万。

絶望的な戦力差である。



「・・・・マジかよ。」


「・・・ふふふ、ボクが溜めていた人形(おもちゃ)を開放したよ。因みに・・外にいる人形(おもちゃ)は今ここで作った人形(おもちゃ)とは格が違うからね。ボクがしっかり選別して作った人形(おもちゃ)だから戦闘力はそこそこ高いよ~。」



こんな広範囲で魔法を展開するなんて本人の魔力も大分消費したと思うが・・・そんな素振りは見せない。やはり他とは魔力量が桁違いだな。



「どうしますか将軍。」


「・・ここで我々が引いてしまったら今までの意味が無い。今の戦力で敵戦力を潰す。」


「ふふふ~ん、でっきるかな~。見せてよ。この絶望的戦力差をひっくり返すところをさ!」



フルーレはそう言うとアンデッドの群れの中に消えた。

そしてアンデッドの大群が襲い掛かる。



「構えろーーーーッ!!!」



人間約7万に対して魔物の残党5万+アンデッド45万。

数では圧倒的不利な戦いが始まった。



—————

——————————1時間経過。



「「ぐわああああ!!」」



圧倒的な数に次々と飲み込まれていく兵士たち。



「ハァ・・ハァ・・・」


「ハァ・・ハァ・・・」



真也たち第88支部も固まって応戦するが・・・押し寄せるアンデッドの群れと戦い、疲労が限界に近づいていた。



「ハァ・・ハァ・・くそ!キリがねぇッ!!!」


「レイネス!辛抱だ!!集中切らしたら一気に持って行かれるぞ!!!」




1時間が経過し、7万の軍勢が3万までに減ってしまった。



ドォォォォンッ!!!



ジルニール将軍やオリンパス将軍も必死に戦うが、さすがに疲労の顔が見える。



「ハァ・・ハァ・・ハァ・・僕、もう・・・」



ウェットの意識が朦朧。



「ウェット!!気を確かにしろ!!」


「踏ん張れッ!!!」



88支部の仲間がウェットを鼓舞。



皆限界に近いな・・・

一応仲間が死なないように立ちまわっているが・・・

これ以上は危険か・・・



その時、アンデッドの群れが88支部に一気に押し寄せた。



「くっ!!多すぎる!!!」


「う、うわあああああ!!!」


「「「!!!」」」



アンデッドの群れにウェットが飲み込まれてしまった。



「「「ウェットォォーーッ!!!」」」


「!!」



88支部の声が奥で戦っているジルニールまで届く。

声に反応したジルニールは咄嗟に振り向き、アンデッドの群れが移動しているのを確認。



「・・・ウェット!」



ジルニールは方向を変え、ウェットが飲み込まれたアンデッドの群れに向かって駆けた。



「将軍!?どこへ!?」


「静かなる大地よ 我が名はジルニール 怒れ大地よ 群れを成し大地を汚す愚者共を 吹き飛ばせ 『大地の憤怒(アースコレール)』!!!」



ジルニールは残り少ない魔力で魔法を発動。

ウェットを飲み込んだアンデッドの群れの下の地面が噴火の如く盛り上がり弾けた。



ドドォォォンッ!!!



ウェット以外のアンデッドの群れは上空へ吹き飛ばされる。

そしてジルニールはウェットのもとへ駆け寄った。



「・・・平気かウェット?」


「ジ、ジルニール兄さん・・・・」



兄が窮地を救ってくれたことに嬉しさがこみ上げる。




ブシュッ!!!




「ッ!?・・がはッ・・」



突然ジルニールの口から血が垂れ流れた。

その血がウェットの顔にポタポタと落ちる。



「に、兄さん・・・??」



ウェットが視線をジルニールの胸部に向けると・・・ジルニールの胸部に鋭利な突起物が突き刺さっていた。



真也や他の兵士たちも時が止まったかの如く静止。



「・・・やっと隙見せたね。」


「!!!」



ジルニールの背後には不気味な笑みを浮かべるフルーレがいた。

そしてフルーレの武器である鎌の先端部分がジルニールを貫いていた。

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