第6話「学校生活スタート」
=== 士官学校・第一校庭 ===
「よーし、全員集まったな。」
入学初日に訓練開始か・・。
俺たちのクラス全員は校庭に集められた。
「シリウス教官!本日の訓練とは一体どのようなことをするのでしょうか!!」
「あー、それは今説明する・・。」
教室の時といい、さっきから無駄に熱血な奴がいるな。
「安心しろ。入学初日ってことで今日は軽めの訓練だ。」
「よかったぁ・・・軽めか~。」
パイロが胸に手を当ててホッとする。
「今日やるのは・・・持久走だ。この校庭をそうだな・・・・軽く30周でもするか。」
「「「さ、30!?」」」
皆が驚く。
この校庭の広さ・・日本の学校の校庭より数倍広いな。
一周大体1キロくらいあるんじゃないか?
それを30周・・・・10歳の子供にはキツくないか?俺は余裕だけど。
「兵士たるもの、まずは体力からだ!それ!開始!!」
シリウス教官は大きく手を叩き、クラス全員が一斉に走りだした。
—————走り始めてから1時間が経過した。
1時間で30周の半分程は走ったが既に力尽きて倒れている者、ヘロヘロになりながらも頑張って走っている者、まだ余裕な者に分かれた。
俺は全然余裕だが速すぎず遅すぎずバランスの良いペースで走っている。
ゼルは先頭集団で走っており、パイロはヘロヘロ状態だがリタイアはせずに頑張って走っている。
「はひ・・・はひ・・・・もう・・・・・ダメ・・・。」
走り始めてから1時間半、ついにパイロがリタイヤとなった。
「お疲れさん。」
「シンヤ・・頑張っ・・・て。」
真也はパイロの肩を叩いて労う。
—————持久走開始から2時間。
先頭集団が30周完走した。
俺は先頭から遅れて10分程で完走。
息切れなど全くしてないがわざと疲れた風を装う。
「お疲れシンヤ!!」
「ゼル・・速かったな。」
「おう!まぁな!!」
「今日の訓練はここまで!!皆宿舎へ行き休むように!!」
これにて入学初日が終わった。
皆疲労困憊の中、宿舎へと向かう。
この士官学校は1学年あたり平均1000人。
5学年あるので大体5000人が在籍しており全寮制。
普通に考えてみたらマンモス校だ。
学年毎に宿舎が用意されており、俺たち1年は校舎から一番遠い宿舎となる。
「ここが宿舎か!」
「早く休みたいよぉ~。」
木造5階建ての大きい建物。
これが俺たちの宿舎である。
宿舎の中に入ってまず確認すること・・・それは部屋割りだ。
宿舎1階の中央掲示板に部屋割りの紙が張り出されていた。
「えーと・・・俺とシンヤとパイロは同室だな!やったな!」
「5人部屋だね。あとの2人は・・・。」
「さっさと部屋行こうぜ!!」
「あ、待ってよゼル~。」
ゼルが先頭で部屋に入る。
部屋には既に2人居て、1人は筋トレ中、もう1人はベッドに横たわって本を読んでいた。
「おーーすッ!!これから宜しくな!!」
「・・・・・。」
「君はたしか同じクラスの・・・ゼル君ではないか!!あとパイロ君にシンヤ君だね!!」
こいつたしか・・やたら熱血男じゃないか。
暑苦しいのが同部屋になったな。
「なんで俺らの名前知ってんだ!?」
「ハハハ!何を言っているのだ!!名簿が教室に貼ってあっただろう!!」
「それを覚えたのかよ!」
「そうとも!同じクラスの仲間の名前を覚えるのは当たり前じゃないか!!」
「ごめん、俺らお前の名前知らないや。」
「僕の名前はトラサル!!マーティッシュ・トラサル!!トラと呼んでくれて構わないぞ!!」
「おうトラ!宜しくな!!」
出会って秒でゼルとトラサルが打ち解けている。
似た者同士だからか・・・。
「そこのベッドにいる奴は?」
「ライカ君!!君も挨拶したまえ!!」
「・・・・・今トラが言ったから十分でしょ。」
本を読みながら冷静にツッコむ。
「ダメだ!!こういう事はしっかり面と向かってやらねば!!」
トラサルがライカを無理矢理起こして立たせる。
「ほんとトラって暑苦しい・・・」
「ハハハ!よく言われるぞ!!」
「・・・ライカ。ミシッドベル・ライカ。・・・宜しく。」
「俺はゼル!ウィシュマート・ゼルだ!宜しくな!!」
「僕はメッシーナ・パイロといいます。宜しくお願いします。」
「アズモンド・シンヤ。宜しく。」
「僕たちはこれから寝食を共にし、一緒に学び、切磋琢磨する仲間だ!!皆これから宜しく!!」
「俺はこの学校で一番になって卒業したあとは魔物共を狩り尽す!!そして英雄になーーーるッ!!」
「おお!!その志は素晴らしい!!僕も負けないように頑張るぞッ!!」
「「うおおぉぉぉぉぉ!!!」」
「・・・・うるさい。」
その後、ゼルとトラサルが大声を発したことにより寮監に怒られた。
こうして士官学校入学初日が終わった。