第59話「プーネの町奪還作戦③」
ギドマはカレンたちの攻撃によって深い傷を負い、下へ落下。
「・・く・・そ・・僕が・・人間なんかに・・」
「マジかよ・・俺らの一斉攻撃を食らってまだ動いてやがるぜ。」
「止めを刺すぞ!!」
「「了解!!」」
カレンたちが下へ飛び降りる。
そしてギドマに止めを刺そうと動きだした・・・次の瞬間、
ヌチャ!
「ッ!?」
カレンたちの足に泥のような物が付着しており身動きがとれない。
「なんだコレ!?」
「う、動けなーい!」
「・・・よくも・・・私の弟を虐めてくれたな。」
どこからか声が聞こえる。
すると急に上からギドマの前に魔物が降りてきた。
その魔物はギドマと同じ顔。だが、少女の姿をしており、怒りの表情を浮かべている。
「・・よくも私の可愛い弟を虐めてくれたな人間!」
「お、弟?」
「ギドマ大丈夫!?」
「・・お・・お姉ちゃん・・・」
「大丈夫よ。私たちが揃えば怖い物なんて無い。」
「なんなんだよお前!」
「・・私はフルーレ様の護衛団、マドギ。ギドマとは双子で私はこの子のお姉ちゃん。弟をこんなにして絶対許さない。」
・・双子設定の魔物か。
となるとこの後の展開はなんとなく読めるな。
「そういや反対側でも護衛団が出たって言ってたけどコイツのことか!?」
「だろうな。コイツがここに来ているということは・・・反対側は全滅か。」
「ここにいる人間全員!皆殺しよ!!」
マドギが大声で叫ぶとカレンたちだけでなく周囲にいる全員の足元に泥のような物が付着。
全員身動きが取れなくなった。
「う、動けないッ!!」
広範囲での魔法か。
「・・・沈めッ!」
「「「!!?」」」
すると泥が広がり、徐々に中へと引きずり込まれていく。
「な、なんだよこれーー!!」
「くそ!!動けない!!」
身動きが取れない状態で段々と泥の中に引きずり込まれていき、周囲はパニック状態。
みるみるうちに体半分が泥の中に引きずり込まれる。
「シ、シンヤ!これ魔法だろ!?さっきの魔力妨害の弾丸でなんとかならない!?」
「いや、さっきの弾丸は超貴重だから1発しか持ち合わせてない。悪い。」
体半分が飲み込まれている状態で真也は冷静にウェットに伝える。
「なんでそんな冷静なの!?今の状況分かってる!?」
さて・・この状況を打破する方法は幾つかあるが・・
この魔法がどんなものなのかも興味がある。
果たして体全て飲み込まれたらどうなるのか。
全員が必死に抵抗しようとしている中、真也は泥の中に手を突っ込む。
・・・なるほど、こういう事か。
「助け・・・」
「嫌だ・・・」
ドプン!
次々に体全てが泥の中に引きずり込まれる兵士たち。
引きずり込まれるとその場の泥が消える。
「嫌だ!僕はまだ死にたくない!!嫌だーー!!」
必死に暴れて抵抗するウェット。
「動くと余計飲み込む速度が早まるよ。」
マドギが言う通り必死に抵抗する者ほど早く泥に全て飲まれていた。
ドプンッ!
そして・・・その場にいる全員が泥に飲み込まれてしまった。
「キャハハハ!これで私の勝ちよ!ギドマ!お姉ちゃんやったよ!」
マドギの甲高い笑い声が響く。
「よしよし、全員飲み込まれたな。」
「!?」
何事も無かったように立っているのは・・・真也だった。
「な、なんでアンタいるの!?」
「なんでって・・抜け出したからに決まってるだろ。」
「抜け出した!?だって・・飲み込まれた先は・・」
「異空間だろ?」
「!?」
「泥の中に手を突っ込んでみて分かった。泥の中は冷たくもないし熱くもない。地面の中に入れられるかと思ったけどそんな感触でもない。だからあとは異空間しか考えられない。地中に入れられたら息吸えないから窒息死する可能性あったけど、異空間は息はできることは知っている。」
「なんでそんなこと知っている!?」
「いや、だって俺も異空間魔法使えるし。ほら。」
真也は手から異空間ゲートを広げる。
「なッ!?」
「異空間って寒かったり暑かったりした時に避難する場として有効活用してるんだよね。物も沢山しまえるし便利だよな。」
「だけどどうやって抜け出してこれた!?」
「いや、転移魔法だけど。」
「転移魔法!?」
「転移魔法ならいつでもどこへでも移動することができるからな。飲み込まれた先が異空間ってわかればあとは全員が飲み込まれるのを待つだけだった。息吸えるし死ぬことは無いしな。それに・・この異空間もお前を倒せば開放される・・そうだろ?」
「ふ・・ふざけた人間ね・・・だけどアンタ1人で護衛団の私とやろうとでも言うの?」
「1人の方が好都合。他に見られたくないしな。」
「なら死になさい!!私たちの力を見せてあげる!!」
マドギがギドマに触れると・・2人が重なり1体の魔物に変化。
・・あー、やっぱりか。
双子と聞いた時に合体するってなんとなく分かってたけど。
「これが私たちの真の姿。」
真の姿って・・・
双子で同じ顔だったから全然容姿変わらないのだが・・
合体したマドギが真也の動きを封じる。
そして魔力の糸を放出して襲い掛かる。
「身動きが取れないところを糸でバラバラに斬り刻んであげるッ!!」
だが・・糸が真也に当たる瞬間、真也の姿は無くなっていた。
「!!?」
「だからそれで封じても無駄だって。転移魔法使えるって言っただろ?」
「なにッ!?」
真也はマドギの背後に転移していた。
「このッ!!」
振り向きざまに糸で攻撃をする・・・しかし、
バシッ!
「バ、バカなッ!!」
真也は糸を素手で掴む。
次に糸による複数本同時の攻撃。
だが真也は全ての攻撃を見切って躱す。
「調子に乗り過ぎだ。」
真也は手を広げマドギに向ける。
「ギャッ!?」
マドギの動きがスローモーションのようにゆっくりになる。
真也が放ったのは『速度低下』の魔法。
対象の動きを遅くする。魔法を放つ者の魔力によって速度低下に違いが出る。
「相手の動きを止める制止系の魔法ならこっちの方がお勧めだぜ?」
「バ・・カ・・な・・こ・・ん・・な・・人・・間・・が・・い・・る・・な・・ん・・て・・」
ズバンッ!!!
真也は剣でマドギを一刀両断。
マドギを倒したことにより異空間に入れられていた者たちが開放。
無事地上へ戻ってきた。
真也はどさくさに紛れて開放されたフリをする。
「・・・助かった?やったー!!」
助かった者たちは安堵。
そしてマドギが倒されていることに歓喜。
「・・・・。」
カレンは真っ二つに斬られたマドギの死体を見つめる。
「まただ・・・」
「どうしたカレン?」
「前にも同じようなことがあった。また・・私たちが知らぬ間に敵が倒されている。」
「どっかの支部が応援に来て倒してくれたんじゃないのか?」
「そう・・・なのか?」
その後兵士たちはバラバラに散る。
「これで護衛団は倒したッ!!後は残りの魔物を殲滅!!かかれぇぇッ!!!」
護衛団を倒したことにより勢いづく兵士たち。
その勢いのままプーネの町にいる魔物を殲滅することに成功。
プーネの町を奪還した。




