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第49話「退却」

ジークがゼルたちのもとへ応援に駆け付けた。

その状況を真也はサーチで確認中。



・・お、間に合った。

良かった良かった。

間に合わなければゼルたちがやられていたな。



「僕が来たからもう大丈夫です。さっ、避難を!」


「お前誰だよ?急に来て下がれ?ふざけんな!アイツは俺が倒すッ!!」


「ちょっとゼル!!」


「そうですね・・失礼しました。いきなり避難というのは勇猛果敢な兵士に対して失言でした。僕の名前はジーク・フリート。北部地方第3支部所属です。」


「お前・・階級は?」


「僕は今年士官学校を卒業した為まだ二等兵です。」


「新米のペーペーじゃねぇか!下がってろ!!」


「いえ、僕は魔王を倒すために生まれてきたのです。ここで引き下がる訳にはいきません。」


「お前な・・」


「僕一人でも十分ですが・・先輩方が助力したいというのであればお好きに。」


「なっ!?」



そしてジークは単身で切り込みに向かった。



「お、おい!!・・たくっ!!」


「ゼル!!」



ジークの後をゼルが追う。



「・・死に急ぐか。」



巨大ムカデがジークに襲い掛かる。

大きな口を開け喰わんとする。



「虫の弱点は・・火。」



するとジークの剣が炎に包まれる。



「はぁッ!!」



向かってくる巨大ムカデを一刀両断。

ムカデの体は半分に斬れ、炎で焼き尽くした。



「なに!?」



光属性の他に火属性も扱えるのか。

毎回剣に魔力を溜めてるところを見ると魔法剣士のタイプ。



残り2匹の巨大ムカデもジークに一斉に襲い掛かる。

・・・だが、



「でやッ!!はぁぁッ!!」



瞬く間に巨大ムカデを瞬殺。



「この・・・ッ!!」



アマコムは大型の魔虫を一気に生み出す。

その数20匹。



「止めろ!あの人間をッ!!」


「悪は滅し・・正義は必ず・・・勝つッ!!」



ジークは高く飛び上がる。

そして剣が激しく燃え盛る。



「『正義炎舞滅龍剣』!!!」



出た!そのネーミングセンス!!

長いしダサい!



振り下ろした剣から龍の姿をした炎が現れ、虫たちを焼き尽くした。



・・・でも攻撃はカッコイイな。



「バ・・バカなッ!?」


「邪魔な虫は全て消した。後はお前だけだ!」


「クッ・・!(今の魔虫生成で大分魔力を消費してしまった・・・コイツ・・強いッ!)」


「““一時撤退じゃ。””」



アマコムの頭の中に声が流れる。



「(ジズ様!)」


「““ビヨームとゼストがやられた。護衛団は速やかに撤退をしなさい。””」


「(ビヨームとゼストが・・!?ではなおさら奴らを・・ッ!!)」


「““これ以上被害を出さない為である。撤退じゃ。””」


「・・・・かしこまりました。」



アマコムは飛行型の魔虫を生成。

そしてその虫の上に乗り猛スピードで離脱。



「逃げた・・・?」



=== べリア森林(右)・エルドラド側 ===


エルドラドにも六天将ジズから命令が下る。

エルドラドは現在ダフニス准将と戦闘中。



「・・・あの野郎!やられてんじゃねぇよッ!!」


「どうした魔物?」


「・・ちっ!人間!この勝負はお預けだッ!!」


「なに!?」



エルドラドは後ろを向いて全力で逃走。



「追えッ!!逃がすなッ!!」



ダフニス准将たちは逃がさんと追う。

だがエルドラドは高くジャンプ。

その先には魔虫に乗ったアマコムがおり、エルドラドは魔虫に乗っかる。

そして猛スピードで飛行。



「・・・逃げられたか。」



=== べリア森林(右)・パーム&リグルット側 ===



「パーム聞いたか?」


「聞いた聞いた♪まさかゼストがやられちゃうなんてね~。でも、ここはもう少しで全滅させられるところなんだけどな~。このまま続けちゃダメかな?」


「ジズ様の命令は絶対。退却だ。」


「ちぇ~。」



不満そうな顔を浮かべるパーム。

護衛団2人に対して第13・14・16班が全部で196人。

そのうち151人が死亡した。



「もう帰らないと!ごめんね~!」



パームは兵士たちに手を振ってリグルットと共にその場を走って離脱。



「ハァ・・ハァ・・助かった・・」




この日、護衛団6人の襲撃によって殲滅組総勢1363人中434人死亡。

これは殲滅組にとって大打撃の結果となった。



=== エスティア・最北部・魔王城バルティゴ ===



城内にある会議室で六天将ジズが頭を抱えていた。

そこへ六天将グラシャが通りかかる。



「あら?ジズどうしたのよ。浮かない顔して。」


「・・・・・。」


「なに思いつめたような顔してんのよ。しわが増えるわよ?」


「浮かない顔にもなるわい。」


「なんでよ?」


「人間の中にとてつもない力を持つ者が現れよった。」


「とてつもない力?それは私たちに対抗できる人間ってこと?私たちといい勝負できると言ったら上級大将って奴らだと思うけど。」


「たしかに上級大将というのは人間の最高戦力じゃ。じゃが・・・それ以上の強さを持つ者が現れよった。」


「はあ?それじゃそいつは私たちより上ってこと?」


「・・・正直、全ての力を見ていないからわからん。」



六天将ジズは映像を流す。



「これは?」


「我が護衛団が見たものを映像化したものじゃ。護衛団が目視したものは儂にも把握できるようにしてある。」


「相変わらず良い趣味してるわね。」


「今回護衛団2人がやられた。これはその時の映像じゃ。」



六天将ジズとグラシャは護衛団と戦う真也とジークを映像で確認。



「なにこいつら・・」



映像を見て驚くグラシャ。



「この二人は他の人間より圧倒的に強い。これは我々魔王軍の脅威になる。間違いなくじゃ。特に・・ゼストを倒した人間。こやつ・・この映像だけでも全く本気でないことがよくわかる。」


「あっさり護衛団を倒すわね。こんな力を持つ人間がいるなんて・・」


「儂は魔王様にこのことを報告して作戦を立てるつもりじゃ。近々招集がかかると思うのでグラシャ、準備はしておくのじゃぞ。」


「わかったわ。・・・フフフ、でも私はこれ見て逆に結構燃えちゃったけどね。」



グラシャは会議室を後にした。

ジズはその後も繰り返し真也とジークの映像を見る。



「この強さ・・・魔王様の喉元に刃が届く危険性が十分にあり得る・・・一刻も早く対策を考えなければ・・」

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