表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/107

第46話「二人の勇者」

=== 天界 ===


天界の中にある一つの家。

その家には女神ディーテ・女神エイレ・女神ニケがルームシェアをしている。

今日も女神3人は家でくつろいでいた。



「ねぇニケー、今日は何する~?」


「最近な~んもすること無いな~。」



女神ディーテはソファに寝ころびポテチを食べ、女神ニケはもう一つのソファで寝ころんで雑誌を読んでいた。



「も~、ディーテちゃんにニケちゃん!ぐうたらしていないで、今日はお天気良いんだから外で遊んできなさ~い。」


「お天気良いって・・天界は天候関係ないけど?いつも変わらない空だし。」


「何かすることないの~?」


「私担当1人しかいないから、真也様がエスティアをクリアしてくれないと仕事無いんだよね~。」



コンコン。



するとそこへ何者かが来訪。



「あらあら~。お久しぶりね~。」


「エイレー、誰が来たの~・・・って、ゲッ!?」



ソファからバッと起き上がる。



「ホホホホ!全く貴方は・・・相変わらずぐうたらしてるのね。」


「・・・エニュ。」



女神ディーテたちの家に来訪したのは女神エニュ。

エニュは戦いを司る女神である。



「な、なにしにきたの!?」


「ディーテ、貴方の勇者様ってたしか・・エスティアに転生したわよね?」


「そ、そうだけど・・なに?」


「凄い勇者様だと一部で騒がれてたみたいだけど・・それって本当なのかしら?」



疑いの目で女神エニュは女神ディーテを見る。



「真也様は凄いわよ!他の勇者様を寄せ付けないくらい断トツよ!」


「はたして本当にそうなのかしら・・・」


「・・どういう意味?」



女神エニュは家の中に入り、椅子に座って置いてある紅茶を勝手にすする。



「貴方、下界の様子ってちゃんと見てる?」


「・・・見てないけど。どうせすぐ真也様が魔王倒してくれるし。」


「その貴方の勇者様、エスティアで全然活躍してないわよ?」


「・・・えっ!?」



キョトンとする女神ディーテ。



「エスティアでの勇者様の年齢はいくつ?」


「天界と下界では時の流れが違うから・・・今18か19くらいかな?」


「貴方の勇者様は生まれてから今まで一体何をしてたのかしらね~。一向に魔王を倒そうとする気配すら見せないわよ?」


「・・・えーーーーッ!!?」



女神エニュの告白に驚き、急に立ち上がる。



「貴方の勇者様・・毎日どうやって平穏に暮らすかを考えて生活している節があるわね。全然積極的じゃないわ。」


「(また・・あの人は・・・)」


「もともとそういう噂は聞いてたけどね~。なので、こういう事を予め予期して転生させちゃったわよ~。」


「・・・何を?」


「何って、勇者様よ。」


「勇者様ってエニュの?」


「そうよ。」


「・・・えーーーーーッ!!?アンタ何してんのよ!!一つの世界で転生勇者様は一人って前に天空議会で決まったじゃない!」


「それが決まったのは私が勇者様をエスティアに転生させた後の話よ。何も問題ないわ。」


「・・え、じゃあエニュの勇者様がエスティアを救ったら・・・」


「勿論、私のポイントになるわ~♪エスティアはポイント高い世界だからね~。私が貰うわね♪」


「まままま待って!エニュが転生させたのはいつ!?」



頭を抱えて下を向く女神ディーテ。



「転生させたのは貴方の少し後だから・・下界の年齢にすると・・今16歳かしら。魔王を倒すべくメキメキと力つけてるわよ~。」


「ちょっと待って・・」


「たしかディーテの担当はその勇者様1人よね?ホホホホ!お気の毒ね~。もし私の勇者様がエスティアを救ったら貴方の勇者様は永遠にその世界の住人。勇者様がその世界に居る限り、貴方にポイントは永遠に入らないわ~♪しかも・・貴方はもともと転生担当じゃないのにも関わず転生させちゃったからね~、新しい担当勇者様がつくまで相当時間かかるわよ~。」


「ま・・・・まずいわ・・・」



女神ディーテは頭を抱えてしゃがみ込む。



「ディーテどったの?」


「(まままままずいわ・・他の勇者様が魔王を倒すというのは真也様にとって好都合。このことをもし、真也様が知ってしまったら・・その勇者様に全てを丸投げする可能性大!いや、するわ絶対!・・そもそもなんでまだ魔王退治に行ってないの??あのステータスなら楽勝でしょ!?パッシブは?『勇者の運命(さだめ)』のパッシブは効いていないの??さすがに転生10回目の玄人となるとイベントの上手い躱し方を覚えたってこと??どうすれば・・・どうすればいい??考えるのよ女神ディーテ!この状況を打開するには・・・)・・そうだわ!!パッシブをより強固なものを追加すれば!?」


「パッシブは数が多いとバランスを崩すから勇者一人につき1個までって決まってるだろ?」


「(そうだったーーー!!勇者として認められるイベント発生の出現率が上がる『勇者の運命(さだめ)』ではなく、そもそも勇者としての自覚を持つ『勇者の意思』の方のパッシブをつけるべきだったのよ!!何してんのよ私!!完全な選択ミスじゃないのよ!!)」



女神ディーテは机を叩く。



「ちなみに・・エスティアに転生させた私の勇者様は『勇者の意思』をパッシブスキルにしたわ♪」


「(・・そうよ!まだエニュの勇者様と真也様がばったり会う訳じゃないわ!会わなければいいのよ!会わなければ丸投げすることは無い!それで真也様の方が先に魔王を倒してくれれば・・)」


「干渉は不可だけども互いの勇者様の現状見てみましょうか。」



エニュはそう言うとブツブツ唱える。

すると空間が姿見鏡ほどの大きさで丸く歪み、映像が映し出される。



「・・・あら?フフフ、ディーテ。貴方の勇者様と私の勇者様、今結構近い位置にいるわよ?」


「オーーマイゴッーーードッ!!」



頭を抱え机に両手を叩きつけた。



「オーマイゴッドって・・女神なのに。」


「なななななんで同じ場所にいるのよ!?」


「それは知らないけど・・見た限りだと同じミッションに参加してるみたいね。」


「ひぇぇーーーッ!!(よりにもよってなんで同じ場所にいるのよ!こちらからは何も干渉できない・・・間違っても会わないように・・会わないように・・・)」



女神ディーテは手を合わせて願う。



「な、なにしてんのディーテ?」


「何って、決まってるでしょ!もうこうなったら神頼みよ!!」


「いや、お前女神だろ。」


「ホホホホ!では女神ディーテ、お互いの勇者の健闘を祈りましょう。それでは~♪」



上機嫌に家を出ていく女神エニュ。



「あちゃ~、勇者様のやる気的にエニュの方が優勢っぽいな~。」


「あらあら~。」


「真也様ぁぁぁッ!!お願いだから頑張ってぇぇぇ!!」



この日、一人の女神の悲痛の叫びが天界に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ