第37話「北部地方」
=== 北部地方・モリビア ===
真也たち西部地方第64支部は今までの功績が認められ、魔物との戦いの最前線である北部地方へ応援に来ていた。
【モリビア】
北部地方南東に位置する地域。
北部北東から南東にかけて山列を成し、広大な平野が形成されている。
モリビアは雪が舞うと美しい雪原となるが長年にわたり魔物との抗争によって雪が積もらなくなり、美しい雪原は焼け野原と変貌していた。
=== 北部地方・モリビア・ベースキャンプ ===
「・・・・さみぃ。」
「こ、ここまで気温違うの!?凍え死にそう・・・」
真也たちは寒さの中、焚火を囲っていた。
本来、北部南東までは徒歩であれば2週間かかる距離だが、バギーのおかげによって4日で到着した。
「バギーのおかげで本当移動が楽になったな。」
「ああ。」
この寒さに平然な顔をしているカレンとミランダ。
というのも・・
「なんで中佐と大尉は暖かそうな服着てるんですか!?ずるい!ずるーい!」
「そうだぜ!俺たちは普段の軍服しか無いのに!」
「俺たちは前に北部に配属してた時があったからな。その時使ってたやつだよ。」
「大尉、俺らには無いんですか・・?・・は・・はっくしょん!寒すぎて任務どころじゃねぇ・・」
「んー、到着が予定よりも早くなったからなー。北部仕様の軍服が届くのはまだだな。ハハハ、それで耐えろ。」
第64支部が使っているバギーは軍用として大量生産されたモデルとは違い、真也特製のバギー。
強度・スピードが圧倒的に違う。
通常のバギーであれば6日かかるところを4日で到着。
「あと2日も耐えなきゃならんのか・・・」
「温まる料理できたよ~。」
アリダリが心身ともに暖かくなる料理を作った。
「うめぇ~!」
「ん~!温まるわ~♪」
「にしても・・・」
「ハハハハ!みんな見てくれたまえ!!雪に囲まれた僕の美しさを!!!」
無邪気に雪と戯れるのはウェット。
真也たちが到着したのはモリビアの中でもまだ抗争が起きていない地域。
その為ベースキャンプを張っている一帯には雪が積もっている。
「・・なんでアイツ元気なんだ?」
「車酔いしてずっと寝てましたからね。元気が有り余ってるのではないでしょうか?」
「シンヤ!僕と勝負だ!!雪の塊を投げて多く当てた方が勝ちでどうだ!?」
雪合戦かよ・・
「やらん。寒いし。」
「なっ!?」
このステータスを持っていても寒さや暑さには耐えられん。
もともと昔から冬が嫌いだったしな。
「動いてれば暖かくなるぞ!」
「・・・たしかに。動けば多少なりとも寒さを凌げるな。よーし、ウェット。俺がやってやる。」
「げっ、シリウスさん・・」
「塊投げればいいんだよな?」
シリウスはそう言うと何かの塊を投げる。
それがウェットに直撃。
ゴチンっと鈍い音が鳴る。
「いや、これ石だから!!何投げてんの!?」
「あれ?違ったか?」
「雪だよ雪!!雪の塊を投げるんだよ!!」
「そうかそうか悪かった・・・こうやって固めたやつを投げればいいんだな?」
「上官とはいえ負けませんよシリウスさん!(日頃の恨みも返してやる!)」
「・・・・面倒くさ。」
シリウスは後ろを振り向いてポイっと雪玉を落とす。
「飽きるの早くない!?」
「なんか・・・当てたから満足しちまったわ。」
「当てたの石だけどね!?」
これから最前線での戦いか・・・
避けても結局こうなるのか・・
女神が勝手につけた【勇者の運命】とかいうパッシブスキルのせいだ。
だが今回はあくまで応援。
配属になった訳ではない。
今までも何とか勇者ルートに入るイベントは回避できた。
今回も大丈夫だ・・・多分。
—————そしてベースキャンプに滞在して2日が経過。
「どうも~。みなさんお早いですね~。・・・あれ?顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」
真也たちのベースキャンプに北部地方支部の者たちが合流した。
「は・・早く服をくれ・・・」
カレン・ミランダ以外は凍えそうになっていた。
「ああ!すいませんすいません!・・・はい、これが北部仕様の軍服です。」
全員急いで北部仕様の厚めの軍服を着る。
フードも着いているし、登山用の服みたいに暖かいな。
「みなさん初めまして、私は北部地方第25支部・支部長のアーレン・マイク大佐であります。」
「大佐って・・・うちの中佐よりも上じゃないですかー!」
ウェットの発言に睨みつけるカレン。
「ハハハ、カレン中佐と比べると私は全然です。我々は最前線で戦っているのでそれだけ昇級が早いんです。そのため実力に伴わない階級を持っている者も多くいるのが現状です。」
「マイク大佐ー。そんなところで喋ってないで早く向かいましょう。」
バギーから声をかける少女がいた。
「ベル。そんなところにいないでこっちへ来て挨拶したらどうです?」
「・・・はいはい。」
少女はバギーから降りて真也たちのもとへ向かう。
「私はベル。アレキミスト・ベル。宜しく。」
ベルという少女は耳が通常よりも長く尖っており、金色の綺麗な髪、綺麗な顔立ちをしていた。
「エルフ・・」
この世界の人間族には他種族が存在し、俺らのような通常の人間はヒューマン。
背は低いが力が優れているドワーフ。
魔力に優れ長寿であるエルフが存在する。
・・この世界に来て初めて他種族を見たな。
たしか俺らが生まれた西部地方はヒューマンだけで北部や東部には他種族が住んでいるとは聞いていたが・・。
「・・・・!」
突然ベルが真也の方を凝視。
「?」
なんだ?何か変か?
この軍服の着方合ってるよな?
「う・・・美しいッ!」
突如ウェットがベルの前にしゃがみ込む。
「私の名前はランゴスタ・ウェット。ここで出会えたのは何かの縁。ぜひ、私と共に歩んではくれないだろう・・・かッ!」
何言ってんだコイツ・・。
「ランゴスタ・・・なんか虫みたい。」
「む、虫!?」
「・・・ぷ・・・ダハハハハッ!!!虫だってよ!!良かったな~ウェット!お前は今日から・・虫だ。ククク・・・」
レイネスが腹を抱えて爆笑する。
「君!虫とは失礼ではないか!僕は由緒あるランゴスタ家の次男であ・・・る・・」
ベルは既にバギーの方へ向かっていた。
「・・・無視?」
「ダハハハ!!虫だけに無視されたな!そうだそうだ・・ほれ、ハチミツ舐めるか?」
「いらーーーん!!僕は虫じゃない!!」
「これから君たちを各支部と合流させるから出発するよ。」
真也たちはベースキャンプを片付けて荷物を載せ、バギーに乗車。
「では出発~。」
各支部との合流するために出発した。




