第21話「西部地方第64支部」
=== 魔物対抗軍・西部地方第64支部 ===
真也が士官学校を卒業して2年の月日が流れた。
真也は卒業後は西部地方第64支部に配属。
正式な兵士となり、多くの魔物と戦闘を行っている・・・かに思えたが。
「・・・ぱい。」
「ZZZZZ・・・」
「・・先輩ッ!!」
「・・・う・・ううん・・」
「もう!!先輩起きてくださいッ!!」
ベースキャンプ内にあるハンモックで寝ていた真也は突然叩き起こされる。
「・・・マニカか。」
「いつまで寝てるんですか!?早く起きてくださいよ~!」
真也を起こした女性はマニカ・ハルルカ。
真也より1歳年下の後輩。
戦闘要員ではなく、兵士のサポート役で支部のメカニック(武器整備)を担当している。階級は二等兵。
「ふぁあ・・・もう飯の時間?」
「そうそう・・今日のご飯はアリダリさん特製のシチュー・・・って朝ご飯もそうですけど違いますよ!!魔物が来たんですよー!!」
「・・・あ~、はいはい。ん~・・」
真也はゆっくり起き上がり背伸びをする。
そしてゆっくり歩きだす。
「おー、おはようさん。寝てたところ悪いんだけどちょっと頼むわ。」
「・・レイネスさんおはようございます。・・で?敵はどこです?」
「今のところ1キロ先の双子岬を下ってる最中だ。面倒くせぇから頼むわ。」
「・・何匹ですか?」
「2匹。森林から来たっぽいな。」
「・・了解です。」
真也に話しかけた男性はジリマウス・レイネス。
高身長で髭面。いつもタバコを咥えている。
面倒くさがりで仕事を結構サボる傾向がある。
年齢は23歳。彼女無し。階級は兵長。
真也はテント内にある銃を手に取りポイントへ足を運ぶ。
「シンヤおっはよー!」
ムギュウ~!
「おわっ!」
「にゃははは!これから仕事でしょ~?シャキッとしなよ~♪シャキッと♪」
「・・・・・」
いきなり後ろから抱き着いてきた女性はマーベル・カリン・ウッド。
女性としての魅力が詰まっているような美人で豊満なボディの持ち主。
明るい性格で気に入った人には抱き着く癖がある。
「ちょっ!何してるんですかーマーベルさんっ!!」
「マーベルさん・・」
「もうシンヤ~、カリンちゃんって呼んでって言ってるだろー。」
こんな性格な人であるが戦闘能力はそこら辺の男性兵士より数段高い。
ここら辺の低級の魔物はこの人を見るだけで恐れをなして逃げていく。
年齢は22歳。階級は上級曹長。
「はいはい・・」
マーベルの絡みを適当に流す。
この面倒くさい絡み癖を無くせばかなり好みのタイプなんだが・・。
「もうシンヤの・・・い・け・ず。」
「マーベルさん!なに朝から抱き着いてるんですか!」
「あー!ハルちゃ~~ん!!おっはよ~♪」
「きゃーーーー!」
次はマニカに抱き着く。
朝からうるさいな。
マーベルがマニカに無理矢理抱き着いているのをよそに真也は狙撃ポイントへ到着。
銃を台座に固定しスコープを覗く。
士官学校を卒業して2年。
俺は卒業後この西部地方第64支部へ配属となった。
正直、配属後は魔物との戦闘を余儀なくされると思っていたのだが・・・
俺が配属されたこの西部地方は魔物の侵攻がかなり手薄状態だった。
というのも魔物の侵攻は数年北部に集中しており、北部が最前線となっている。
なので有難いことにここら辺の地方は全然魔物に襲われない。
その為案外平穏な日々を過ごせていた。
これぞ俺が求めた平穏ライフ!
今までの頑張りが報われた!
そこで俺はこの平穏ライフ中に新しいことに挑戦してみることにした。
それは・・・銃だ。
この世界には銃が存在する。
士官学校時代にも訓練で少し触っていたがこの度本格的に始めることにした。
他の異世界には剣と魔法だけで銃は無かったからな・・。
日本でも銃なんて触れたこと無かったし、勿論銃に関するスキルは一切無い。
なので1日数体しか現れない魔物を標的にして日々銃の練習をしている。
ステータスには「命中率」なんて項目無かったけどもし次転生することがあったら追加されるかもしれん・・・。
「先輩、弾は何使いますか?」
「そうだな・・2匹だし通常のでいいや。」
この世界の銃弾には魔法が込められている弾丸も存在する。
つまり魔道具だ。
火属性の魔法を詰めた火炎弾。雷属性の魔法を詰めた雷撃弾等々・・要所に合わせて使い分ける。
「今日の魔物は・・・オークか。」
オークは豚の顔つきをしており人より体格がデカい。
個体差はあるが大きいものだと3メートル級にもなる個体も発見されている。
体は大きいが知能は低い。
真也はスコープを覗き標的の動きを観察。
のしのし真っすぐ歩いてくるオークに狙いを定める。
真也が扱うのは狙撃銃で射程距離は1㎞。
銃の種類はいくつかあったが狙撃銃が一番やりたかった。
理由は単純、FPSのゲームではいつもスナイパーライフルを使っていたから。
そしてこの銃本体は魔法を用いて強度が強化されている。
また照準を合わせるのも魔物の魔力を感知して自動アシストしてくれる自動エイム付きの優れものだ。
真也はゆっくりと引き金を引く。
ダァァン!!
銃口から放たれた弾丸は真っすぐの軌道で飛んでいく。
そして1匹のオークの眉間に命中。
弾丸は頭を突き抜け、命中したオークはその場に倒れた。
「ブ、ブギャ!?」
もう1匹のオークは仲間が倒れたことに驚く。
周囲を見渡し動き回る。
「・・・ふぅ~。」
真也は深く深呼吸。
そして再度オークに狙いを定める。
ダァァン!!
動き回るオークの右足に命中。
撃ち抜かれたオークはバランスを崩す。
ダァァン!!ダァァン!!
次弾は左足に命中。
両足を撃ち抜かれたことにより地面に崩れた。
そこを最後の弾が顔に命中。
オーク2匹を討伐した。
「ひゅ~♪お見事♪」
レイネスが双眼鏡を覗きながら指パッチン。
「オーク2匹討伐完了しました。」
「流石です先輩ッ!!」
「お疲れさん。朝飯できてるから食ってきな。」
何故か自分が仕事をしたかのような顔をするレイネス。
真也はベースキャンプ内にある食堂へ向かう。
食堂と言っても屋根も何も無い外にテーブルと椅子が置いてある青空食堂だが。
「お疲れさま~、シチューできてるから食べる?」
「はい、頂きます。」
このふくよかな体格で仏のような顔をしているのはアリダリ・マカロニ。
戦闘要員ではあるが主にベースキャンプの家事を担当している人だ。
大体料理はこの人がしてくれる。
優しい性格でこの支部のマスコット的な存在。
年齢は25歳。階級は上等兵。
「お、いい匂いだな~。アリダリ、俺の分もあるか?」
「た~っぷりありますよ~。」
「私も頂こう。」
真也が座っている席に2人座る。
「おはようございます。」
「おうシンヤ。おはよう。」
「朝からオーク2匹を射殺。・・今日もいい働きをしたなアズモンド。」
「カレン・・飯食う前に射殺とかそういう単語使うなよな。」
「少佐をつけんか馬鹿者。」
「いいじゃねえかよ別に。昔のよしみだろ?あー、怖え~。なんでお前さんはいつも強張った顔してんのかね~。もっと表情緩めてニコッとしてればいい女なのに。なぁシンヤ?お前もそう思わないか?」
「・・あ、いや別に俺は。」
「ミランダ・・・貴様・・・。」
男性の方はミランダ・カット。
フランクな性格で支部の兄貴分って感じの人だ。
年齢は29歳。階級は大尉。
女性の方はオバマス・カレン。
真面目で厳しい女性。綺麗な顔立ちと何事にもはっきり物申す性格。
女性兵士の中でファンクラブがあるそうだ。
年齢は29歳。階級は少佐。ミランダとは同郷らしい。
ちなみにカレンがこの第64支部の支部長である。
「みなさん!おはようございます!ウェット起床致しました!」
「おはよう。ちなみにお前が一番起きるの遅いぞウェット。」
「ランゴスタ・・貴様いつももっと早く起床しろと言っているだろ!」
「嫌だなカレン少佐、僕より遅い奴がいますでしょ?シンヤはまだ寝てる・・・あれ?」
「シンヤはさっき既に魔物討伐して仕事終えてるぞ。」
「えーーーー!?そんなバカな!!お寝坊さんのシンヤがーー!?」
「うるさいッ!」
「ボギャ!!」
カレンのげんこつがウェットの頭に炸裂。
このうるさい奴はランゴスタ・ウェット。
士官学校は違うが俺と同期の男だ。
競争心が高く、いつも俺に勝負を挑んでくる。
まぁ大体流してしているが。
年齢は17歳。階級は一等兵。
「シンヤまさか・・またマニカちゃんに起こしてもらったんだろ!!」
「本当やかましい奴だな。さっさと飯食えよ。」
「あー、食べるさ!食べてやるさ!!君より早く食べてやる!!」
「いや、もう俺は既に食べ終わったんだが。」
「ノーーーーーッ!!」
「やかましいって言ってんだろうがッ!!」
この俺を含めた8人が西部地方第64支部のメンバーである。




