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第18話「襲来」

=== アスファ森林・東部 ===



全員の計測魔道具が真っ赤に光る。



「赤!?こいつ・・・」


「ブルゥアァ・・・なんだ?人間いるじゃねぇか・・。」



その黒い魔物が口を開く。

その瞬間、全員に魔物から発せられる重圧(プレッシャー)が重くのしかかる。



「なっ!!?」


「がッ・・・・」



途轍もない重圧(プレッシャー)に全員が恐怖を感じた。

足が震え、その場で立っているのがやっと。



「暇だからこっちへ来てみれば・・・人間のガキじゃねえか。」


「ハァ・・ハァ・・ハァ・・」



経験したことのない恐怖に息が詰まる。



「(ヤバい・・ヤバイ・・こいつは・・ヤベェ!!!)」



物怖じしないタイプのゼルが心の中で叫ぶ。



「ブルゥアァ・・俺は六天将アマルギット様の護衛団の一人、ザゲっていうもんだ。」


「ご、護衛団!?」


「な、なんで護衛団の魔物が・・・」


「ああ?そんなもん・・休暇に決まってるだろう。最近働きすぎたからアマルギット様が「お前は少し休め」って言うもんだからよ~。無理矢理休まされちったのよ〜。」



ホワイト企業か。



「それで俺らがまだ全然手を出してなかったここら辺に個人的な偵察を兼ねて遊びに来たってわけ。」


「あああ・・・ああ・・」



パイロは恐怖のあまり尻もちをつく。



「ちょっと前から魔力は感じていたが・・小さすぎてそこら辺の魔物だと思ってスルーしてたわ。ふふ、それがまさか人間のガキとはな。」



正直、この護衛団のザゲって奴の存在は気付いていた。

一番最初に索敵した時、こいつは森林の反対側にいたからな。

2日目も移動しているのは知っていたけど位置は全然遠かった。

そして今日索敵した時もだいぶ離れた位置にいたから大丈夫であろうと思っていたけど・・

まさかいつの間にかこんな距離を詰められているとは・・・

ちょくちょく確認すれば良かったな・・。



「よし、逃げるぞ。」


「「!!」」


「俺らがやっても勝ち目は無い。ここは逃げるのが得策だ。」


「・・・ほう、冷静な奴もいるんだな。」


「逃げる・・?こんな奴から逃げ切れるの?」


「そこは—————」


「お前ら逃げろッ!!」



突如ゼルが叫ぶ。

震えながら剣を握りザゲの前に立つ。



「ゼル!?アンタ何やってるの!?」


「ハァ・・ハァ・・ここは・・俺が食い止める。だから今のうちに逃げろ!」


「バカッ!!勝ち目なんて無いわよ!!」


「ゼルゥゥ・・・。」


「・・ここで誰かが食い止めねぇと全員やられちまう。だから逃げろッ!!」



ゼルが剣を振りかざしてザゲに突っ込む。



「待てゼルッ!!」


「勇ましいね~。実に勇ましい。・・・だが」



パァァンッ!!!



「「!!!」」



ザゲはゼルの顔に平手を放つ。

ゼルは横に吹っ飛び木に激しく激突。



「がッ!!」


「ゼルッ!!!」


「その勇ましさ、俺ら魔物にとって一番嫌悪することなのだよ。しかも力の無いガキに言われたらなおさら・・。」



ゼルは気を失い、ザゲのゼルへの攻撃によって全員は完全に恐怖のどん底に落ちた。



「お前らがこの俺から逃げ切れるとでも思っているのか?」


「・・・行け。」



ザゲの前に真也が立ちはだかる。



「あん?」


「ゼルを連れて急いでキャンプへ戻れ。」


「シンヤ・・・。」


「む、無茶だよシンヤ!!ゼルがあんな・・簡単に・・。」


「行けッ!!俺がなんとかするからお前らは行けッ!!」


「でもシンヤ!」


「リビア・・このチームの司令塔は誰だ?・・俺の指示は聞くんだろ?」


「・・・ニック!!ゼルを抱えて!!」


「お、お姉ちゃん!でも・・」


「逃げるの!!逃げて応援を呼ぶしかないわ!!ほらパイロ!!あなたも立って逃げるのよ!!」


「シ、シンヤ・・・。」



ニックはゼルを抱え、リビアはパイロの手を掴んで全力で必死に逃げる。



「ブルゥアァ・・逃がすと・・・思ってるのか?」


「・・・おい。」


「!!?」



真也は鋭い眼光でザゲを睨みつける。



「(なんだ・・コイツの目・・いや、そもそもなんでコイツは俺に臆さない?)・・おら、どけよ。」



ザゲは真也に一撃を与える。

だが・・・



「なっ・・に!?」



ザゲの拳は真也の顔に当たった。

だが真也はびくともしない。



「・・・お前、よくもやったな。」


「!?」


「俺の大事な仲間に手を出しやがって・・・捻り潰すぞ・・・お前。」


「なっ!!?」



真也は怒りの感情を露わにした。

そして真也から凄まじい重圧(プレッシャー)が放たれる。

この真也の重圧(プレッシャー)にザゲは一瞬で絶望的な恐怖を感じ、冷や汗が垂れ落ちる。



「(・・バ、バカなッ。な、なんだこの重圧(プレッシャー)は!?この俺が人間のガキに・・恐れを・・・)」


「捻り潰す。」


「・・ハァ、ハァ・・ブルゥアァッ!!ここで護衛団であるこの俺が貴様に臆するわけには・・・いかないのだぁぁぁッ!!!」



ザゲは全力で真也に殴りかかる。



しかし真也はザゲの拳を軽く片手で受け止め、もう片方の拳でザゲの腹を殴りつける。

真也の拳はザゲの腹部に深くめり込む。



「ゴバッァァァ!!!」



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