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第12話「4年生」

~~~ 4年生 春 ~~~


=== 第三校庭 ===



「おーし!お前ら並べ!!今日は素手での組手を行う!!魔法は禁止!!それぞれペアを作り交互に仕掛けろ!!兵士たるもの攻守のバランスが大事だ!!相手の攻撃を食らったら防御側にマイナス1点、攻撃側にプラス1点。逆に相手の攻撃を防いだら防御側にプラス1点、攻撃側はマイナス1点とする!!」



「ウィルティン、俺とやろうぜ!」


「・・・うん、いいよ~♪」


「マジかよ・・さっそくゼルとウィルティンが組手するのか・・。」


「教官!どのくらいの時間組手をすればよろしいでしょうか?」


「時間?そんなものは無い。お前、戦場で魔物と戦っている時にいちいち時間気にするのか?」


「え、い、いや・・・。」


「俺がやめろと言うまでだ。早くペアを作れ!!」



全員が急いでペアを作る。

俺はとりあえずパイロと組んだ。



「それでは・・始め!!」



教官の開始の合図で一斉に組手を始める。



3年間の基礎訓練では毎日筋トレや戦いの基礎をみっちり学んだ。

そのおかげで貧弱だったパイロも多少まともになってはいる。

だけど・・・まだ実践向きではないな。



まだ俺たちは正式な兵士ではない。

訓練も全て対人。

俺らが戦う相手は人ではなく魔物だ。

この在学中に実際魔物と戦う訓練はあるのだろうか。

無いと実際魔物と対峙した際に怖気づく可能性がある。

そうなれば死ぬ可能性が高くなる・・。



ゼルやパイロ、ここで出会った奴には死んでほしくない。

だから少しでも生存率が上がる為には・・・強くなるしかない。

だから俺はここで・・パイロに自信をつけさせることを優先する。



真也はパイロとの組手で自然に気付かれない程度に手を抜く。

演技が下手な真也だが、あくまで下手なのは口から発する演技。

こういった体を使った演技はさり気なくできるのだ。



パイロにわざと攻撃を当てさせたり、ちゃんと防御してバランス良くやり、不自然でないように振る舞った。



「おらぁぁぁッ!!!」


「あの上位2人の組手やべぇ・・・。」



ゼルとウィルティンはお互い譲らずに接戦。




————組手開始から30分。




「そこまでッ!!」



1回目の組手が終了した。



「ハァ、ハァ、ハァ・・・疲れた・・。」


「お疲れパイロ。・・動き良くなってるな。」


「本当!?へへ、嬉しいな。」



—————— 結果 —————— 


シンヤ +3

パイロ -3



ゼル +1

ウィルティン -1



「しゃおらぁぁぁッ!!!俺の勝ちッ!!」


「いや~参ったね~、強いな~♪」



ゼルとウィルティンはかなりの接戦だったようだ。



「よし、次始めるぞ!!」


「ハァハァ・・・・もうですか!?」


「戦場で疲れたからといって魔物は待ってくれるのか?そんな訳ないだろッ!!戦場で死にたくなかったらやれッ!!」


「は、はいッ!!」



—————この日は最後まで組手の訓練を行った。

生徒はヘロヘロになり宿舎へと戻る。



=== 士官学校・教官室 ===



「アリバ大尉、どうですか今年の生徒は?」


「お疲れ様です!ヒューイ大佐!」


「ここでは校長なので校長と呼んで構わないですよ?」


「ハッ!」


「それでどうです?今年担当する4年生は?」


「かなり良い粒が揃っていて当たりの年代だと思います。」


「そうですね。特に校内順位の上位者・・・彼らの身体能力は最上位学年の5年生にもひけをとらないですね。」


「ええ、しかしまだ身体能力ではというだけです。彼らに足りないもの・・それは実践での戦闘経験。」


「まぁ実践訓練は5年生になってからですからね。」


「そこで校長、私から提案があるのですが宜しいでしょうか?—————」




——————季節は夏。

真也たち4年生はこれまでに組手やあらゆる武器の扱い方、集団戦法などを学び、ひたすら実技訓練を繰り返し行った。



「ハァハァ・・・。」


「よし!!お前たちこの4ヵ月間よく耐えた!!」


「?」


「本来、ここまでお前たちがやっていたことは冬前までに仕上げるカリキュラムだったが・・前倒しにさせてもらった。」


「・・・・どういうことですか?」


「だからキツかったのか・・・。」


「明日から1週間。士官学校の外へ出る!!」


「外?」


「お前たちに今足りないものはなんだ?」


「・・・・わかった!!水分!!動き過ぎて俺めっちゃ喉乾いたんだよ————」


「違うわバカタレッ!!」



教官の強烈なチョップがゼルに炸裂。



「・・・実践。魔物との実践戦闘ですかね♪」


「ウィルティン、正解だ。」


「戦闘・・?魔物と・・?」



突然魔物との戦闘と言われ周りがざわざわする。



「魔物との戦闘訓練に関して実際は5年生からなのだが、今後魔物と戦う為早めに実践を積んだ方が良いと私が校長に提案し、校長から全士官学校のカリキュラム変更の申請書を出して頂いた。その結果、見事受理され、今年度の4年生から魔物との実践戦闘訓練を開始することになった!」


「大丈夫なのかな・・・。俺らが・・・魔物と・・。」


「予め言っておく。この戦闘訓練で魔物と戦い、死に至る場合はある。」


「!?」


「それほど魔物というのは狂暴で残忍な生き物だ。だが!我々がお前たちが今後常に戦う相手はその魔物だ!!魔物との戦闘経験をするしないでは大きく違う!!魔物を殺すためにどう立ち回りしてどういう戦法でいくのか。戦うべきなのか退くべきかの判断。これは実践経験でしか得られない貴重な事だ!!」


「震えが・・・」


「我々が向かう先は学校から離れた“アスファ森林”。そこが実践訓練の場だ!!」


「アスファ森林ってどんなところですか?」


「アスファ森林には低級の魔物が多く生息している。」


「低級・・。」


「そうだ。低級だが決して侮るな。あと我々教官陣も帯同し、決して死人が出ぬよう全力でお前たちをサポートする。出発は明日!各自この後戻って支度をし、明朝に校門に集合!!」


「「「はいッ!!」」」

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