第11話「進級」
真也たちが士官学校へ入学してから3年。
あれから何度か魔法適正の場が設けられたが・・真也はその都度だましだましなんとかバレずに済んだ。
そしてついに進路が分かれる4年生となった。
4年生からは戦闘要員を主体とする“兵科”、戦闘要員を支援する“技術科”に分かれる。
3年生の後期に希望の進路を提出することになっており、真也たちは・・・
「はぁ・・なんでこうなった・・。」
「なんだよシンヤ。不服か?」
「当たり前だろ!俺は技術科志望だったのに・・・なんで兵科に進級することになってんだよ!」
そう、俺はもともと技術科へ進級するつもりだったのだが・・・。
■■■ 3年生後期の時 ■■■
「シンヤ、パイロ、進路決まったかー?」
「・・・うん。」
「俺はな・・・兵科にするぜ!!」
「知ってる。」
「シンヤとパイロはどうすんだ?」
「俺は技術・・・」
「・・僕は兵科に進むよ。」
「!?」
パイロの突然の告白に驚きを隠せなかった。
パイロは内向的で正直兵士には向かないタイプ。
てっきり俺と同じ技術科へ進むものだと思っていたのに・・・。
「僕は3属性の魔法を使える・・・この力を人の為に使いたい。・・魔物から人々を守るための兵士になる。だから兵科に進むよ。」
「パイローー!!お前はそう言うと思ってたぜ!!頑張ろうな!!」
「ゼル君!シンヤ君!パイロ君!君たちはもう決めたかい?」
トラとライカが来た。
「おうよ!決めたぜ!!」
「そうか!僕もライカ君も決めたよ!!」
ライカ・・この3年間やる気を一度も見せたことが無い。
静かに本を読みたい願望が強いライカは絶対技術・・
「僕もライカ君も兵科へ進むよ!!」
お前もかーい!!
「ラ、ライカも兵科行くのか!?」
ライカはコクっと頷く。
「じゃあ同部屋の俺たち全員兵科だな!!」
勝手に決めるな。
「そうと決まれば早急に進路希望の紙を提出しなければ!!僕がまとめて提出するよ!!」
「お、さんきゅー!」
真也以外全員がトラに進路希望の紙を渡す。
「あれ?シンヤ、お前も紙出せよ。」
「あ、いや、俺は・・」
「なんだよ~・・・ん?シンヤお前まだ書いてないじゃん。しょうがねぇなぁ、俺が代わりに書いといてやるよ!」
そう言うとゼルが真也の進路希望用紙に「兵科」と記入した。
「お、おい・・・」
「ほれ、トラ頼むぜ~。」
「承った!!」
承るな!
トラは全力疾走で紙を提出しに行ってしまった。
こうして俺は兵科へ進級することに決まってしまったのだ。
■■■■■■■
「技術科に進級するつもりだったのに・・」
「まぁまぁ、いいじゃん。また俺らと一緒に居られるんだからよ!」
こいつ・・人の進路を勝手に決めておいてよく言えるな。
「僕は皆とまた居られるのは嬉しいよ。心強いし。」
「・・・はぁ。たくっ・・。」
4年生の生徒数は全部で1220人。
そのうち850人が兵科、370人が技術科へと進んだ。
そして3年間共に過ごしたクラス40人。
そのうち30人が兵科、10人が技術科へと進んだ。
4年生からはクラスが再編成される。
見事に俺、ゼル、パイロは同じクラスとなり、ゼルとライカは別クラスとなってしまった。
「クラスは違ってしまったが共に高め合う仲間だ!!お互い頑張ろう!!」
「トラもライカも頑張れよ!!俺も負けねえからな!!」
トラたちと別れ、真也たちは自分たちの新しいクラスへ足を運ぶ。
「おや~、君たちは・・・仲良し3人組じゃないか~♪」
教室へ入ると爽やかな顔立ちの男が現れる。
「・・ウィルティン。」
「今日から同じクラスだね♪宜しく~♪」
この男はウィルティン。
前までは別クラスだったが顔と名前は広く知られている人物だ。
この士官学校には定期的に体力測定や実技訓練の結果がランキング形式で張り出される。
学校の意図としてはランキング形式にすることによって生徒の競争心を煽るつもりらしい。
そしてこの男ウィルティンは毎回総合ランキング上位3人の中に必ず食い込んでいる。
ちなみに・・ゼルは毎回4位。
ゼルは身体能力だけなら学年トップの実力があるのだが・・魔法が使用できないので総合では4位。
「成績上位の2人が一緒のクラスかよ・・。」
ざわざわする教室。
「ウィルティン、お前が同じクラスか・・・絶対負けねぇからな!!」
「おーし♪一緒に頑張ろ~♪」
「お前ら席につけー。」
教官が教室へ入ってきた。
「今日からこのクラスの教官となるアリバ・ババゲイだ。1年間宜しく。」
「「「お願いします!」」」
「お前たちは望んでこの兵科へ進級したわけだが・・・」
俺は望んでなかったけどな・・
「お前たちは3年間厳しい基礎訓練をこなしてきた。だが・・4年~5年生、この2年間は今までとは別格であることを予め最初に言っておこう。座学授業などほぼ無いと思え、この兵科は魔物と戦う現場へ出る兵士を育てるところだ。生半可な気持ちではついてこれんぞ。常に死と隣り合わせである戦場で生き抜き、且つ魔物という敵を殺すことができる戦力になってもらわないと困るからな。」
こうして上級学年である4年生の生活が始まった。




