第107話「最後の六天将」
=== 魔王城バルティゴ ===
ついに真也たちは魔王が住む城の外壁部へ到着。
城周辺の結界内に入れるのはレベル50以上の者のみ。
真也を含む40名が城へと向かった。
「凄い静かだな・・・」
「魔物の姿も見えん・・・」
・・・レベル50以上しか内部に入れないのは魔物も一緒ってことか?
丘の上にある城へ向かって坂を登っていると・・・
「・・・待て!何かいるぞ!!」
ボーギャン将軍が声を掛けて全員静止。
全員が坂の上を見ると、そこに何者かが立っていた。
黒い肌で翼を持ち、さらに悪魔のような曲がった角。
そして上を見上げていた。
「ジズ・・・バラム・・・グラシャ・・・フルーレ・・・ランギルス・・・全員やられてしまった・・・」
暗い雰囲気で且つ小声でボソボソと喋る。
「・・・残るは私だけ・・・ああ・・・なんということだ・・・」
「・・・なんだ?なにボソボソ言ってるんだ?」
「・・・の為・・・散った仲間の為・・・私は・・・人間に死を・・・与えてやらねば・・・」
すると突如異常なまでの重圧が放たれた。
「「「「ッ!?」」」」
まるで首を絞められているかのような感覚。
歴戦の猛者である将官たちですら息が詰まる。
「な・・・なんだこの重圧はッ!?」
「こいつは・・・」
・・・明らかに今までの敵とは違う。
こいつが魔王か?
全員が武器を構え、臨戦態勢に入る。
「人間は・・・全て無にする・・・」
手をかざし、魔物が黒い魔力弾を放つ。
「避けろォォォッ!!!」
ドゴォォォォォォン!!!!
凄まじい威力の魔力弾。
激しい爆風が吹き荒れる。
・・・・ズシュッ!!!
爆風が止むと・・・
「「「「「「ッ!!?」」」」」」
魔物の腕が一人の将官の体を貫いていた。
「・・が・・はッ・・・」
魔物は貫いた腕を引き抜き、将官はその場に倒れる。
引き抜いた腕からは夥しい血が流れていた。
「・・・貴様ッ!!」
「何者だッ!!」
「・・・・私は・・六天将・・・アマルギット。」
「「「「!!」」」」
「最後の六天将か!!」
「・・・1匹残らず・・・処理する・・・」
アマルギットから再度途轍もない重圧が放たれる。
「・・・くッ!」
こいつの魔力・・・半端ないな・・・
やっぱり今まで見てきた敵とは格が違う・・・
ここは・・・
「全員行けッ!!」
「「「「!?」」」」
真也が声を荒げて叫ぶ。
「ここは俺がやるッ!!あんたたちは先に城へ行けッ!!」
「アズモンド!」
「ここの立地、狭い道で大人数の戦闘はマズイ!全滅する可能性がある!それに今回の相手は今までと格が違う!ここは・・俺だけで十分。先に城へ!」
「・・・だが!」
真也の判断、指示にカレンが戸惑う。
そんなカレンの肩に手を置いたのはボーギャン将軍。
「今まで数々の強敵を倒してきたアズモンド少佐が言うんだ。言う通りにしよう。」
「・・・将軍!」
「アズモンド少佐、本当に任せていいんだな?」
「・・・ああ!行ってくれ!」
「・・・よし!ここはアズモンド少佐に任せて、我々は城へ向かうッ!!」
ボーギャン将軍の指示で真也以外の者たちが城へと駆ける。
アマルギットは坂を登っていく将官たちを見逃した。
「なんだ?見逃すのか?」
「・・・人間の中で脅威は・・・お前だけ。」
アマルギットは真也を指さす。
「城の中にいるのは魔王だけか?」
「・・・そうだ。・・・あの者たちが城へ行き、魔王様と対峙したところで・・・結果は見えている。」
「大した自信だこと。だったらお前と早く蹴りをつけるべきだな。」
すると・・・真也がフッと消える。
バキンッ!!
「!」
転移魔法で一瞬にしてアマルギットの間合いに詰め寄り、先制攻撃を仕掛けるも反応されて防がれた。
そしてアマルギットのカウンター炸裂。
真也の頬にアマルギットの拳がめり込む。
・・・重ッ!!
バゴォォーーン!!!
思い切り地面に叩きつけられる真也。
だが、思いのほかすぐ立ち上がる。
・・・重いな・・・良いダメージ入ったぞ・・・
俺にここまでダメージを入れられるなんて・・・コイツのステータスどの位だ?
ブゥーーン・・・
アマルギットは両手に黒い球体を出す。
そして2つの黒い球体を真也目掛けて放つ。
バチバチッ!
「『雷光弾』!」
真也は雷属性の魔法を黒い球体に当てる。
・・・しかし、
「!!」
真也の放った魔法が黒い球体に吸い込まれた。
そのまま2つの球体は真也を襲う。
ドガァァァァンッ!!!!
2つの球体が地面に激突。
激しい爆発が起こる。
真也は転移魔法で回避。
「・・・黒い魔法は闇属性か。しかも他属性の魔法は吸収する。」
「・・・やはり一筋縄では・・・いかない・・・か。」
「闇属性なら・・対となる光でいくしかないか。」