第103話「六天将ジズの力」
カレンたちを前にして六天将ジズが不敵な笑みを浮かべる。
「こいつ、さっきからやたら何かを出してばかりだから・・・こいつ自体は大して強くないんじゃねぇの?」
「十分警戒しろ!奴は六天将!何をしてくるかわからんぞ!!」
「放て!!」
カレンたちの後方から大量の弓矢がジズへ向かって飛ぶ。
しかしジズは軽いステップで矢を躱す。
そこを狙ってカレンたちが一斉に詰め寄る。
カレンが一撃を喰らわせようとするが・・・
「!!」
剣を振った先にはジズの姿は無かった。
「当たらんて。」
「「「!!」」」
いつの間にかカレンたちの横に移動していたジズ。
「くッ!」
もう一度距離を詰め、攻撃を仕掛ける。
・・・だが先ほどと同じように一瞬で姿が消え、剣が当たらない。
「当たらんて。」
今度はカレンたちの後方へ移動したジズ。
「なんだよアイツ!!一瞬で移動した!?」
「・・・・転移魔法。」
「転移って・・・一瞬で移動する魔法・・・」
「ホホホ。」
ジズは一瞬にしてカレンたちの間合いに移動してきた。
「「「ッ!?」」」
そしてジズはカレンたちに軽く触れる。
ジズが触れた瞬間、何かを察知し、カレンたちはバックステップで一斉に後方へ下がる。
「・・・ッ!?」
「触れられた・・・?」
「ホホホ、儂に反応して咄嗟に退くとは良い判断じゃな。だが・・・もう準備は整ったわい。」
「「「「!?」」」」
「ウェット、この前みたくアイツの動き分からないか?」
「・・・無理です。高速で移動するのと座標から座標への転移ではわけが違います。全く読めません。」
「・・・なんじゃ?来ないのか?・・・仕方無いのう。」
ジズが手を前に出し、クイッと手を曲げる。
・・・すると、
レイネスがカレンたちの場所から消え、パッと一瞬でジズの目の前に現れた。
「・・・なッ!?」
何が起きたのか理解できないレイネス。
「いらっしゃい。」
ジズはレイネスの顔をガシっと掴み・・・
ドゴォォン!!!
そのまま地面に叩きつけた。
「・・がッ!?」
「「「レイネスッ!!」」」
レイネスは地面に強打され、たった一撃で気を失った。
「お主ら、儂を見た目で判断したらダメじゃぞ?こう見えても儂は力には自信がある方じゃ。」
ポキポキと指の関節の音を鳴らす。
「貴様・・・我々に触れたのは・・・」
「ただの準備じゃよ。」
「放てぇーーッ!!!」
兵士たちがジズに向けて魔法を放つ。
魔法が真っ直ぐ向かっていくが・・・
当たる直前にジズが消え、代わりにマーベルがジズが立っていた位置に転移した。
「うそッ!?きゃあああ!!!」
「マーベル!!」
放たれた魔法がマーベルに全弾命中。
マーベルはその場に倒れた。
「く・・・・そッ!!」
=== 上空 ===
浮遊魔法で上空へドラゴン5匹を惹き付けた真也。
「ここまで惹き付ければ・・・・ッ!!」
真也はドラゴンが放つ魔力弾を躱す。
どの異世界でも最強クラスのドラゴン。
果たしてこの世界でのドラゴンはどんなもんか・・・
たしか他の異世界では大体80レベル位だったんだよな。
ドラゴンたちは魔力弾を連発で放つ。
飛んでくる魔力弾を真也は全て見切って躱す。
そして1匹のドラゴンに詰め寄り、ぶん殴る。
バコォォン!!!
殴られたドラゴンは下へ落ちる。
そして真也は殴ったのと同時に『分析』を発動。
ドラゴンのステータスを確認する。
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レベル:125
HP:56520
MP:12440
攻撃力:7570
防御力:6300
素早さ:4600
弱点:氷
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おいおい・・・レベル100オーバーかよ。
今までの異世界の中でも一番レベル高いぞ!
HPも高いし、これ・・・俺以外の人間で勝てる奴いるの?
他の4匹も大体同じくらいだろうな。
殴られたドラゴンは下へと落下していく。
だが途中で態勢を整えて再び上へと飛翔。
たしか俺がこの世界に来た時のレベルは275で、
HP:46500
MP:27000
攻撃力:7350
防御力:5500
素早さ:1200
だったよな?
MP以外全部負けてね?
あれから少しはレベル上がってると思うけど・・・一度に5匹相手はキツイか?※真也は自身に分析は使用不可な為、現在の自身のレベル・ステータスを知らない
「ギャアオーーーーッ!!!」
ドラゴンは威嚇の咆哮。
そして各ドラゴンによる属性のブレスが放たれた。
火が2つ、水、風、氷が1つずつ・・・しかもどれも攻撃範囲が広い!
真也は高速で飛び回り、ブレスを回避。
ドラゴンたちは真也を追いかけ飛ぶ。
「ステータス的には負けてるかも知れないが・・・技の豊富さなら負けないぜ?」
真也は飛んでいる途中で転移魔法を発動。
勢い良く向かってくるドラゴンたちの懐へ一瞬にして移動。
そして剣を抜き、
ズバァァァァァンッ!!!!
「グギャァーーーーーオッ!!!」
たった一撃にてドラゴンを真っ二つに斬り落とした。
二つに斬れたドラゴンはそのまま落下していく。
「・・・・・あれ?」
・・・思っていた以上に斬れるな。
もしかして・・・このドラゴンたちは俺よりステータスが下か?
力が拮抗しているなら簡単に真っ二つには斬れないが・・・
結構簡単に斬れたな・・・
あれ?もしかして俺のレベル・ステータスって・・・
真也は今までの戦いを思い返してみた。
今改めて考えてみると・・・
分析した敵はどれもステータス的にはそこそこ。
でも特に苦戦もせず、苦労もせず余裕で倒せていたな。
わざと一撃を喰らった時もあったけど全然ダメージ入らなかった。
となると考えられることは一つ・・・
レベルもステータスも確実に上がってるな。
「ギャアァーーーオッ!!!」
「・・・残り4匹。試してみるか。」