1-2 魔法の分類:地域による違い
術別法で分けられる九つの魔法の中で有史以前からあるとされているものは八種である。逆に言うと、我ら知的生命体は歴史を記録するようになってから魔法を一種しか発明していない。(魔術の発明とその経緯については後の章で触れる。)
さて、では有史以前から存在する魔法八種は大陸とそのまわりの島全てに均等に存在していたかと言われるとそうでは無い。文化や言語と同じで各地域によって使われていた魔法が違う。以下が分布である。
妖術:東の島、大陸には存在していなかった
仙術:大陸東部、僅かに東の島にも存在
呪術:北の島と大陸北岸の一部地域を除く全土に存在
威術:大陸西部、中部、北部、北の島、何故か南の島にも飛地的に存在
幽術:全土に存在、しかし事例は希少
令術:大陸東部、南部、東の島、南の島に存在
占術:大陸西部、北部、南部、南の島に存在、特に西部は顕著に事例が多い
易術:大陸中部、東部、東の島に存在
この中で最も確認事例が多いのは呪術と占術である。技術が未発達の中で行使が比較的容易であることからよく使用されたものだと思われる。
また次いで威術を使用した形跡が遺跡などからよく確認されており、習得はやや難度高めながらその行使に種族などであまり差がないことから広い範囲で使われていた。
逆に最も確認事例が少ないのは幽術であり、これは単にその行使が(後に発明される魔術も含めて)魔法の中で最高難度であるからだと考えられている。現在でも幽術を使える人口の割合は当時から変わっていないと思われる。
また妖術と仙術も一部地域のみでしか確認されていない。これはその行使が「癖」のある魔法であることが原因であり、特に妖術はそれに加えて地理的に閉鎖的な場所だったことも相まって大陸まで伝わらなかったと考えられている。