序
この世界には抗えぬ規則というものがある。一つは物理法則。そしてもう一つが魔法定則である。人々はこの二つを真理に繋がる学問とし、永きにわたって研究し続けてきた。本書ではその研究の叡智、特に魔法についての事柄を魔法を全く知らない人でも理解して頂くために作成した。読者諸兄が本書を手に取り、少しでも魔法に興味を抱くことが私にとって至上の喜びである。
本書を作成するきっかけとなったのはある一つの論文を読んだからだ。それは天文学者達が発表した「知的生命体の反応は確認されるが魔法反応が観測されない天体の発見」という論文である。これは第三類転移者達が初期には魔法を使えず、またその知識も全くない理由の説明となりうるものだ。私は第三類転移者には会ったことがないが、もし彼等に魔法を説明するということになったらという気持ちが湧いた。実際、既に亡くなってしまっているが私の先生とも言える人は第三類転移者に魔法を教えたことがある。私もそのようなことになった時、本当に教えられるのか、また人に教えるほど魔法を理解しているのかという気持ちも湧いてきた。
よって、本書で魔法というものがどういうものかまとめることで私の、また読者諸兄の魔法に対する理解が一層深まることを期待する。
ユーティリティ・ポール