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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

今は親友同士

作者: 紳士
掲載日:2019/06/06

「ゆ゛がり゛〜〜〜!」

「どうしたの? ()()フラレちゃった?」

「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 大声で泣きながら抱きついてきた璃子(りこ)に、由香里(ゆかり)は苦笑いしながら予想を口にすると、それは冷酷な真実の刃に変わって璃子の心に突き刺さり、さらに大きな声で泣き始めた。

「これで何人目だっけ」

「確か……四人目?」

 璃子に抱きつかれる前に話していたため近くにいた小春(こはる)望結(みゆ)が他人事のように話す。それがまたもや璃子の心に刺さる。

「いや、六人目」と、間髪をいれずに冷静な声で訂正した由香里の声でついに璃子が泣き崩れ、抱きついていたのが由香里のブラウスにしがみついているような形になる。

「ちょっと、制服が伸びちゃうから」

 由香里は素っ気なく言いながらも床に座り込んでしまった璃子の手を丁寧に引き剥がし、体を支えて一番近くにあった自分の席に座らせる。

「ほら、涙拭いて」

 差し出されたハンカチを受け取ると豪快に顔を拭い始める璃子に、ため息をつきながら「…鼻はかまないでよ」と由香里は釘を刺す。すると今にも鼻をかもうとしていた璃子の動きがピタリと止まった。

「なんで璃子はこんなにフラレちゃうのかね」

「可愛いのに。男運はないし次から次に男子に告白するから評判悪いけど」

 望結と小春の心無い言葉に璃子は慰めの言葉をもらおうと、残りの一人に振り向くが、由香里はハンカチを返却させるために手を伸ばすだけで何も言ってくれない。

「……だって、みんな彼氏いるじゃん」

 恨めしげな目をリア充に向けると、

「まあいるね」

「女子高生だしね」

 彼氏持ちの二人が平然と言う。唯一の彼氏がいない仲間である由香里はと言うと、

「私は璃子みたいに彼氏作れないんじゃなくて作らないだけだから」

 腕を組んであなたとは違うアピールをしてくる始末。しかも由香里は一週間に一度は男子生徒から屋上にお呼ばれするほどにモテており、発言に嘘はないことが明らかであるため璃子は言い返すことができない。

 薄情な友達から顔をぷいと背け、不機嫌そうに頬を膨らませると「もう帰る!」と言い放ち教室を出ていった。


 † † †


 大股で教室から遠ざかりながら、璃子は自己嫌悪に陥っていた。由香里と一緒にいると、どうにも素直になれない。

 璃子にとって由香里は憧れだった。いつもクールで、でも優しくて、男子からもモテるし、胸も大きい。

 しかし憧れている故か由香里と話していると胸がドキドキしてしまう。さっきだって、慰めてはくれなかったけど、璃子を拒まず支えてくれたのに、どうしても我慢できなくて教室を飛び出してしまった。

 由香里に近づいたらもっと普通に話せるようになると思って男子と付き合おうとしているがうまくいってない。

 ――どうしたらいいんだろう……。

 璃子は一人難しい顔をして悩みながら校舎から出ていった。


 璃子がバタバタと大きな足音を立てながら教室から出ていって少し経つと、由香里が大きくため息をつく。不本意そうに自分のと璃子の席に置きっぱなしにしてある通学カバンを持って、ドアの方に向かった。それを見て、小春が茶化すように声をかける。

「素っ気ないふりして、やっぱり追うんだね」

 ニヤニヤと笑っている二人をを見て由香里は少し気恥ずかしそうに頬を掻いて、

「まあね」

 と短く返すと由香里はいつもより速い歩調で教室から出ていった。それを残された二人は嬉しそうに見つめるのだった。

 階段を降りて靴箱まで来た由香里は校門に璃子がいるのを見つけた。どうやら校門を出てからやっとカバンを持って帰り忘れたことに気づいたらしく、しかし出ていった手前教室に取りに戻るのも気が引けるためどうしようかとウロウロしていた。

 それを見て由香里は呆れたように笑う。

 ――やっぱり私がいなきゃダメなんだ。

 そしてどこか嬉しそうな笑顔を浮かべた。けれどもすぐにいつもの素っ気ない表情に戻ると、大好きな親友に向かって歩き出すのだった。


 † † †


 それとは別に、二人が仲睦まじく帰っていく様子を窓から眺めている女子生徒が二人いた。

「一体あの二人はいつ付き合い始めるんだろうね」

「さあ…早く付き合っちゃえばいいのに」

「まあ今の関係も見てて楽しいからいいんだけどね」

「あ、やっぱりそう思う?」

 小春と望結は楽しげに笑うと、今は親友同士の二人を見えなくなるまで眺めるのだった。

 どうも、紳士です。

 知り合いにじゃんけんで見事負けてしまい✕ゲーム的な感じで書いた小説です。pixivにもあげています。

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