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9話 モンスターランク4

 ゴブ太を仲間に加えた俺達は森で狩りを続けていた。

 

 まずはゴブリン同士を掛け合わせ、ゴブ太を【ゴブリン改】へと進化させる。

 ゴブリン改のモンスターランクは3となり、これでスラ男よりもランクは高くなった。


 本当はスラ男とゴブリンを掛け合わせても良かったのだが、愛くるしいスラ男のビジュアルがゴブリンチックになるのが嫌で躊躇ってしまったのが本音だ。


 なぜなら俺は愛くるしいスラ男が大好きだからだ!!


 スラ男とゴブ太は互いに協力しながらハイペースでモンスターを狩っていく、俺は余り狩りにも参加していないのにもかかわらずLV14となる。


「もうこの辺りじゃ物足りなくなって来たな。もう少しだけ奥へと行ってみるか?」


「了解なのです。モンスターを狩り尽くしてやるのです。スラ男くん、ゴブ太くん。奥へと突っ込むのです」



「ギィーー!!」


 アナマリアは先行するスラ男達に続いて歩き、モンスターの警戒などどこ吹く風で森の中心部へと邁進していく。


「アナマリアの奴、やたらと張り切っているじゃないか…… どうしたんだ?」


 俺の前ではゴブ太の「ギャッギャ!」と発する奇声にアナマリアがリズムを合わせ何かを歌っている。


「すっげー カオスになってる…… もはや何を歌っているのか聞き取れねぇ」


 暫くするとゴブ太が騒ぎ出しモンスターが近くに居ることを知らせてくれた。


「ゴブ太のあの騒ぎようは…… もしかして敵が近くにいるのか? みんな注意しろよ」


 すぐに大きな木の影から現れたのは見たことも無い新種のモンスター。

 その巨大な姿はカマキリに似ており、腕には鋭い2本の鎌を持っていた。


 背丈は1メートル位だが、奥行きのある体格をしているので体長は2mを超える。

 ゴブリンが出現していた場所よりかなり森の奥と言う事を踏まえると、弱いモンスターではないだろう。

 舐めていると一気に殺されてしまう危険な相手だと判断し最新の注意を払った。


「スラ男、ゴブ太あのモンスターに攻撃を仕掛けろ。今回は俺も援護に回る」


 スラ男のレベルは未だにLV10。

 LV10になってからかなりのモンスターを倒しているがLVが上がる気配は無い。

 どうやらモンスターランク2では10以上は上がらないのだろう。

 

 けれど能力値はスライムの域を超えているし、モンスターランク3のゴブ太も今はLVが上がってかなり強くなっている。


 敵は未知のモンスターと言えどもたったの1体で、逆に俺達は3人で攻撃できる。

 人数的に言ってもこちらに分がある事は明白だ。


 カマキリへと慎重に近づき、攻撃範囲に入るとスラ男は強烈なジャンプで体当たりを仕掛ける。

 ゴブ太も背後に回り込み背中にしがみつくと噛み付き攻撃を始めた。


「スラ男、行けぇぇ-! ゴブ太も食い散らかしてやれ!! おっと俺も援護しないとな」


 スラ男達に続き、俺も【木の棒】を握りしめて本気でぶっ叩く!!


 スラ男やゴブ太は敵の攻撃を喰らう事もあったが、俺がアナマリアに指示を出しHPを回復させた。

 モンスターの鋭い鎌で攻撃されたら、俺の場合は血が出た位じゃすまないだろう。

 相手の攻撃を掻い潜りながら何度も攻撃をヒットさせる。


 結果はそれほど苦労せずに倒す事ができた。

 

【ジャイアントマンティスをラーニングしました】


 カマキリのモンスターはランク3で無事ラーニングを完了させる。


 次の作業は倒したモンスターを蘇生させる事。


【ジャイアントマンティスを蘇生しました】


 珍しく一回目で成功する。


「おお、調子がいいぞ。なら次は改造!!」


 次にスラ男と蘇らせたばかりのモンスターを掛け合わせる。


【改造:スライム改はインセクトスライムになりました】


「やった。成功だ!!」


 嬉しさの余り飛び上がりながら、ガッツポーズを取る。

 

 スラ男の姿はさっきまで戦っていたジャイアントマンティスに似た姿へと変化していた。

 元がスライムなので皮膚はゼリー状で軟らかそうな皮膚を持ち、体格はジャイアントマンティスの半分程度でこじんまりとしていた。



★★★



名前:スラ男

職業:インセクトスライム

属性:水

モンスターランク:4

LV:1


HP:37

MP:0

力 :20

速度:18

知力:10

耐久:14


スペシャルスキル


変形  :身体の形状を変化させる。

切り裂き:鋭い腕で敵を切り裂く。

羽ばたく:短距離飛行




★★★



「スラ男…… すげー強くなっているよ。俺…… 涙がでそう」


「スラ男くん、可愛らしいのです。お肌がプルプルしているのです」


 アナマリアがスラ男の皮膚を指で突付くと、指先が第1関節辺りまで沈み込んでいた。


「インセクトスライム…… スライムの属性を持った昆虫って訳か。へへっ格好いいじゃねーか」


「スラ男くんの身体、ヒンヤリして気持ちいいのです」


 アナマリアはスラ男の背中へ飛び乗ったりしているが、スラ男も嫌がっている様子は無い。


 なんだかんだ言ってもこの2人は仲がいい。


「よし、もう少しだけ狩りをして今日は帰るか」


 その後ジャイアントマンティスを中心に狩り続けた。


 生まれ変わったスラ男は強く、たった2時間の狩りでLV5に達する。

 手足が出来た事で機動性を手に入れたスラ男は所狭しと森を動き回り、敵と遭遇すればカマキリの4本足で木に登り高い場所からスペシャルスキルの【羽ばたく】を使い死角からの一撃で一刀両断していた。


 帰る前には俺のLVも16となり、俺自身も順調に強くなっている。

 

 これも全てスラ男とゴブ太のお陰だ。


「暗くなって来たな…… そろそろ帰るか?」


「賛成なのです…… 私もそろそろ疲れてきたのです。お風呂に入ってゆっくりと休みたいのです」


 狩りで張り切っていたアナマリアは体力を使い果たし、今はぐったりとしている。


「今日はアナマリアも頑張っていたからな。お金も大分集まった事だし街で美味しいものでも食べようぜ」


「やったのです。二人でディナーなのです。雰囲気の良いホテルも予約しておいてほしいのです」


「ホテルじゃなくて、宿屋な!! 同じ意味でも言い方一つでやらしく聞こえるじゃねーか。人前でそんなくだらない事を言ったららアイアンクローでシメるからな!!」


「もぅ恥ずかしがらなくてもいいのです。私はいつでもウェルカムなのです」


 アナマリアの押しの強さは、疲れていても健在のようだ。


「くだらない事はもういいから、早く森の外へ向かうぞ…… って!? あれ? 出口ってどっちなんだ??」


 この森の中は無数の大木で作り上げられた自然の迷宮となっており、辺りを見渡しても同じ景色。

 俺達がどこから来たのか、今は解らなくなっていた。

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