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7話 アナマリア

 ゲームがスタートして2日目。

 俺は今日も街の外で狩りを行っていた。

 今のパーティーメンバーは3名、ソロでプレイする予定だった筈が賑やかになったもんだ。


 一晩放置していたスライム改のスラ男は、驚く事に昨日の夜だけでLVを10まで上げていた。





★★★



名前:スラ男

職業:スライム改

属性:水

モンスターランク:2

LV:10


HP:32

MP:0

力 :18

速度:15

知力:10

耐久:20


スペシャルスキル


体当たり:自身の身体を敵に突進させる。

 


★★★





「スラ男、すげー強くなっているじゃねーかよ。一晩で何体スライムを狩ったんだ? それにLVの文字だけが赤い……なんだこれは?」



 この付近ではもはや無敵と言って過言ではなく、今日は更に奥へと攻略してみる事決める。

 スラ男が経験値を稼いでくれたおかげで俺も寝ているだけでLV6まで上がっていた。

 睡眠学習は良く聞く言葉だが睡眠LVアップはチート過ぎる能力だと自分でも思う。


 そして新しくパーティーに加入した幼女の名前はアナマリア。

 金髪のロングヘアーで服装は色々な飾りが付いた白いワンピース調の修道服を着込んでいる。

 武器は杖を持っており何やら特殊効果が付与されていると自慢していた。


 

「そう言えばアナマリアの職業って何?」


「職業ですか? 女の子の秘密を聞くのは御法度なのです。だけど相馬くんになら特別に教えてあげるのです。私の職業は神に仕えしプリーストが職業なのです」


「けっ普通の職業じゃねーかよ。面白くねーよな」


俺の予想では天使や悪魔と言った未知の職業なのかもしれないと密かに予想していただけに拍子抜けも良い所だ。


「ぶ~ 相馬くんは何を言っているのですか! 私は出来る女なんです。大天使様からも厚い信頼を貰ってますし、信者の数も多かったんですよ」


「まー余り邪魔にならない様に行動しろよ。戦闘はスラ男が担当するからお前はスラ男のHPを回復してやってくれ」


「相馬くんは戦わないのですか?」


「まぁーな。俺にはやる事があるんだよ」


 そう告げると笑みを浮かべる。

 実は此処へ向かう途中に昨日パンを買った雑貨屋へ立ち寄り、新しい情報を手に入れていた。


 草原から少し奥に入った場所に広がる森の入口まで移動し、スラ男から離れず一定の距離をキープしたまま周辺に生えている草を引きちぎり、アイテムボックスから取り出した一冊の本を広げて見比べてみる。


 そして大きく頷くと、引きちぎった草をアイテムボックスに収納した。

 


「今のは何ですか?」


「ああ、さっきのはアラクネ草と言う薬草だ。立ち寄った雑貨屋に売っていた薬草の本を買ったんだ。職業によって発見確率に差があるけど、時間さえ掛ければ俺にでも見つけられるらしい。今日は色々と集めて見ようと思っているんだ」


「なるほど、なるほど。相馬くんもゲーム攻略の為にちゃんと動いているのです。感心したのです」


「これで解っただろ? 俺はサボっている訳じゃないからな。今日はずっと薬草採取をするつもりだから、スラ男とお前はこの辺りで一日中モンスターを狩ってくれ。狩りはスラ男に任せて、お前は安全な所でスラ男の回復に専念するんだぞ」


「了解なのです。私に任せて置けば大丈夫なのです」


「あっ、そうそう新しいモンスターが現れたら声を掛けてくれよ。スラ男を改造出来るかも知れないから」


 そう言うと、俺は再び採取作業を開始する。





★  ★  ★  ★





「びえぇぇぇーん。殺されるのです~」


 数時間後、俺の背中にアナマリアが泣きながら抱きついてくる。

 その頃になると複数の素材を手に入れており、予定していたノルマは達成していた。


「おい。どうしたんだ?」


「モンスターが私ばかりを追いかけてくるのです。このままでは殺されてしまうのです。相馬くん、今すぐ街に戻って欲しいのです」


 アナマリアが走ってきた方向に視線を向けると、ウサギに似たモンスターが3体同時に向かってきていた。


「お前は馬鹿か!! トレインなんかやりやがって。あんな数のモンスター、俺が対応できるかってんだ!! 逃げるぞ付いてこい」


 俺はアナマリアを引き連れ、スラ男の元まで駆け寄る。


「スラ男、すぐに俺達を守ってくれ!!」


 スラ男はウサギの突進を身体を呈して受け止めると体当たりを仕掛けて反撃を始めた。

 俺はアナマリアに回復を任せると、スラ男の援護に回る。


 ウサギの頭には一本の鋭い角が生えており、角を突き出しながら突進してくる。

 

 「ヤバイ攻撃しやがって、俺の木の棒を喰らいやがれ!!」


 初期装備の木の棒で応戦し、長い時間をかけて何とか撃退に成功する。


【ユニラビッツをラーニングしました】


「ふぅー何とか倒せたな」


「流石は相馬くんなのです。惚れ直したのです」


「おい!! お前は大天使様から厚い信頼を貰っている出来る女じゃなかったのか? さっきから迷惑しか、かけていないじゃないか」


「ぐぬぬ…… 誰でも失敗位はするものなのです。器量が小さいと女の子にモテないのです」


 アナマリアを睨みつけると、そそくさとスラ男の影に逃げていく。

 いつの間にかアナマリアはスラ男と仲良しになっていた。


「まぁ、薬草も結構集まったし、一度休憩でもするか? 街の方へ戻って見晴らしのいい場所で飯食おうぜ」


「ご飯!? 走りすぎてお腹がペコペコになってしまったのです」


 アナマリアは両手を上げて喜んでいる。

 お腹が減っていたのだろう。

 移動する前にユニラビッツの蘇生をチャレンジしてみたが、予想通りの失敗に終った。




★  ★  ★  ★




 食事は雑貨屋で買った味気ないパンと水だったが、二人で食べてみると意外と旨いと感じた。

 

「えへへ。美味しいのです」


「あぁ、そうだな。このパンこんなに美味かったっけ?」


 他愛もない話をしながらステータス画面を開く。

 薬草採取の時に何やらスキルを手に入れたと表示されていた。


「おっ!? スラ男が頑張ってくれたお蔭でLV10になっているじゃないか!! ん? 何だこのスキルは?」


 ステータス画面には昨日までは無かった新しいスキルが記されていた。



 

★★★




名前:青木 相馬

職業:マッド・サイエンティスト

LV:10

体力:38

魔力:60

力 :14

速度:20

知力:65

耐久:15


スペシャルスキル


【ラーニング】  :LV∞  モンスターランクモンスターをラーニング

【死者蘇生実験】 :LV2  モンスターランク8までのモンスターを一定確率で蘇生

【改造】     :LV2  モンスターランク8までのモンスターを一定確率で改造

【錬金術】    :LV∞  アイテムや武器を錬成

【天使の加護】  :LV∞  天使の加護を得る 

【人体実験】   :LV1  モンスターランク3までのモンスターの素材で、プレイヤーを改造できる。



マルチスキル


【援護射撃】   :LV1  後方からの攻撃時における命中率、ダメージ量の補正

【薬草採取】   :LV1  薬草採取量が増える。




★★★




 スキル欄には【天使の加護】という新しいスキルが知らない内に刻まれていた。


「【天使の加護】って…… おい、アナマリアはこの加護の事解るか?」


 天使と聞いてすぐに思いつくのが、横に座っているこの幼女。

 多少なりとも関係があるんじゃないかと考えてしまう。


「あぁ、それは私が授けたスキルなのです」


「アナマリアが授けたスキルだって!? どんな効果があるんだ? 天使の加護を得るって書いてあるけど」


「このスキルを持っている人物のいる場所が解るのです」


「ん? 誰に居場所が解るって?」


「私にです。これで離れ離れになったとしても大丈夫なのです」


「それ以外の効果は?」


「んーっと解らないのです」


 怒りの余り無意識の内にアイアンクローを決めていた。

 俺の宿に忍び込んでいたのも、この加護の力か!!


「痛い。痛いのです。頭が割れるのです」


 俺の腕を掴んでバタバタと暴れ必死で離そうとしているが、俺は更に力を込めた。

 怒りで頭の中が真っ白となる。


「今すぐ外せ!! 勝手にストーカースキルをつけやがって!? お前の行動力が恐ろしいわ!! クソッ、大事なスキルスロットをクソスキルで死なせる訳にはいくか! 何としても外すんだぁぁぁ!!」


「あだだだ。思い出したのです。確か【天使の加護】の持ち主には幸運が訪れるって大天使様が……」


「幸運だって!?」


 以外なスキル効果に考えを改める。


 こう言う【幸運スキル】って役に立つ事がある可能性が高く、少しの間は様子を見て本当にクソスキルだった場合はアナマリアを泣かしてでも外して貰おう。


「取り敢えず、スキルが一杯になるまでは様子をみてやるから、クソスキルだった場合はすぐに外せよ」


「ぐぬぬぬ。【天使の加護】をクソスキル呼ばわりするとは……」


 流石にアナマリアも腹が立ったみたいだが、まだアイアンクローの余韻が残っており、頭を抱えている。


「もう少し休憩したら、森の中に入ってみるつもりだけどアナマリアはどうする? モンスターに襲われるのが嫌なら無理に着いて来なくてもいいぞ」


「一緒に着いて行くのです。名誉挽回で私が役に立つ女だと解らせてやるのです」


「あぁ、そう。迷惑は掛けるなよ」


 休憩を終えた俺達はスラ男を連れて広大な森へと足を踏み入れた。

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