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32話 ゴブ太の改造

 俺達の前にスモール・リザードドラゴンが5体が現れた。

 モンスターランク8のスモール・リザードドラゴンは強敵だが、スラ男とゴブ太にとっては手馴れた相手だった。

 今日まで何十体と倒して来ているので、攻撃方法や動きも全てわかっている。

 なので俺が細かな指示を出さなくても、危なげなく戦闘を勧めていた。

 

 スモール・リザードドラゴンは経験値も多く、そのおかげで今はスラ男のLVも20になっている。

 

 このLVになってくると、改造前のスラ男よりも強い。

 モンスターランク7の上限はレベル35なので、今後はLVが上がる毎に強さが増していくだろう。


 スラ男は改造した結果【リザードスライム】と言う種族となっていた。

 パワーとスピードが合わさったバランス型のモンスターで、鋭い牙と強靭な爪を持っている。


 今も牙で敵を咥えると振り回しながら地面へと叩きつけていた。

 その強烈な攻撃を受けてモンスターは力尽き、その姿を粉々に消滅させている。


 スラ男の強さに満足した俺は次のステップに進む事に決めた。


「スラ男もずいぶん強くなったなぁ。この位で十分だろう。次はゴブ太の改造に取り掛かるぞ!!」


「ギィィーーーッ」


 ゴブ太も気合が入った声を上げ、リザードドラゴンを叩き斬っていく。


「とは言っても素材のモンスターを何にするかだよな? スラ男と同じスモール・リザードドラゴンでもいいんだけど、何か面白みがないよな…… う~ん、新しいモンスターでも探してみっか!!」


 スラ男のLVが上がり安全に行動出来るまでの間、無理はせずに安全な場所だけで狩りをしていたので、新しいエリアの捜索はしていなかった。

 今の強さなら捜索範囲を広げても良い頃だろう。


「やっと新しいエリアに行けるのです。実は同じ場所で狩り続けていたので、つまらなかったのです」


 アナマリアも両手を上げてハシャイでいた。


「危ない橋は渡れないからな。それじゃ、このまま草原エリアを進んでいくぞ」


 俺達は未開の地である。草原エリアの奥へと俺たちは進んでいく。

 



★ ★ ★ ★




「相馬くん。相馬くん。向こうに湖が見えるのです。あそこで休憩がしたいのです」


 アナマリアが指をさす方向に目を向けると、確かに湖が見えていた。


「そうだな。湖の周りには木陰もありそうだし、休憩に丁度いいかも」


 アナマリアの提案を了承し、俺たちは湖に向けて歩き始める。


「ギィィィィ!!!」


 ゴブ太は俺達の前に通り出ると、俺達を後ろに下がらせた。


 【以心伝心】のスキル効果により、ゴブ太の意思は俺に伝わってくる。


「敵が現れた!? アナマリアは俺の後ろに隠れてろ!」


 俺達は戦闘態勢を取ると敵が現れるのを待ち構えた。


 木陰から現れたのは巨大な鳥のモンスターが二体。

 体長は人と同じ位で一体が1.5m程度、もう一体が2.0m位だろうか?

 身体の色は首から下側が茶色で首から上が白色をしており、神話に出てくるグリフォンに近いだろう。

 

 モンスターの方も俺達に気付き、大きく羽を広げ甲高い鳴き声を上げながら威嚇している。


「うぉっ。鳥のモンスターだ!!」


「スラ男くん。ゴブ太くん。やってしまうのです」


「おい、アナマリア。だから勝手に命令を出すなって!! 初見のモンスターに対して無策で突っ込ませる馬鹿が何処にいるんだよ」


 俺の突っ込みが終わる前に、アナマリアの命令を受けた二人はモンスターに向けて突っ込んでいく。


「お前達もなんで突っ込んでいるんだ!? 俺が主人じゃねぇのかよぉぉぉ」


 立場を無くした俺は敗北感からその場に倒れこんでいた。


 そうしている間にもスラ男達はモンスターに攻撃を仕掛けていく。


 ゴブ太が大剣を振りかぶり、斬りかかる。

 けれど鳥のモンスターは広げた羽を大きく羽ばたかせ大空へと舞い上がった。


 一瞬で十メートル程飛び上がり、その場で再び大きな鳴き声を上げる。


 その状況を見て俺は俺達の弱点を目の当たりにした。


「やばいな……」


「ゴブ太くんの攻撃が届いていないのです」


「俺達には遠距離攻撃が出来る者がいない。そうなると空を飛ぶモンスターには弱いって事になってしまう」


 スラ男も果敢に空中へと飛び上がってはいるが、モンスターがいる所までは届いていない。

 モンスターが攻撃を仕掛けて来れば、対処もできるのだが現状のままでは先は無いだろう。


「これで決まりだな」


「何が決まりなのですか?」


 俺の言葉に反応したアナマリアはキョトンとした表情を浮かべている。


「いや、三体目の仲間の事だよ。ずっと考えていたんだ。どんなモンスターを仲間にしたら良いかってな。今回の戦闘で俺達には遠距離攻撃が足りないって判明しただろ? だから新しく仲間にするモンスターは遠距離攻撃ができるモンスターにしようと思う」


「なるほどなのです。流石は相馬くんなのです」


「その話は後だ。今はこのグリフォン(仮)をどう倒すかって事だ。丁度いい攻撃方法を閃いたから、一丁試してみるわ」


 俺は一度、スラ男達を呼び戻すとスラ男に命令を与える。


「スラ男、お前は変形を使って拳大の大きさの球体になってくれ」


 スラ男は俺の命令に素直に従い、球体へと身体を変化させた。

 俺はその球を拾い上げるとゴブ太に手渡す。


「ゴブ太はスラ男を空を飛ぶモンスターに向けて全力で投げろ!!」


「ギーーーッ!!」


 ゴブ太は大きく振りかぶり、スラ男をモンスターに向けて力いっぱい投げ放つ。

 ゴブ太の力は凄まじく、スラ男は高速でモンスターへと近づいていく。


「スラ男!! 今だ。変形を解いて、敵を倒せ!!!」


 モンスターは放たれた球を避けようとしていた。

 けれどその手前でスラ男が元の状態へと戻り喉元へと噛み付いた。


「やったぞ。急造の遠距離攻撃が上手くいった」


「ほぇぇぇ。 スラ男くんの身体は本当に便利なのです。これなら空を飛ぶモンスターも怖くないのです」


 モンスターはスラ男に噛み付かれたまま地面へと墜落していく。

 地面に落ちた後はゴブ太も攻撃に加勢し、難なく一体目を撃破に成功した。

 

 二体目も同様の攻撃方法で撃退し戦闘を終了させる。


 戦闘後、【ラーニング】で覚えたデーターを見てみると、モンスターは【ジャイアントバード】と言う名前でモンスターランクは8であった。


 すぐに【死者蘇生実験】のスキルを使いモンスターを蘇らせてみる。


【ジャイアントバードは蘇った】


「成功したぞ。それじゃコイツをゴブ太の素材にして強化だ」


 ゴブ太の職業は【ゴブリンジェネラル】ジェネラルに鳥を掛けたら一体何になるのだろうか?


【改造:オーガが産まれた】


「えっ? オーガだって!? 何でだ?」


 成功したのはいいのだが、生まれ変わったゴブ太を見て俺は驚いていた。


 今までの流れを考えると、ベースがゴブリンなのだから、何とかゴブリンとかに生まれ変わるとばかり思っていたのだが、全く別の種族に生まれ変わっていた。


「何か改造にも法則でもあるのだろうか?」


 生まれ変わったゴブ太の身体は一回り大きくなり筋肉量も増えている。

 顔はゴブリンの時よりも人間に近づいているが、口からは獣の様な牙が生えていた。




★★★




名前:ゴブ太

職業:オーガ

属性:土


モンスターランク:7


LV:1

HP:180

MP:0

力 :130

速度:80

知力:30

耐久:100


スペシャルスキル


【庇う】  :LV3 対象者を身を挺して守る。スキル使用時の耐久力補正【大】

【捨身】  :LV1 防御を捨てて全力で攻撃する。攻撃力補正【大】

【増力】  :LV1 力値補正【大】

【威嚇】  :LV5 モンスターランク下位のモンスターの行動を阻害させる


マルチスキル


【連携】  :LV7 連携攻撃時の攻撃力補正【中】

【忠誠】  ;LV8 主人の命令に伴う行動時の全能力補正【小】




★★★


 

「これがゴブ太のステータスか…… LV1だけど、力と耐久の数値がおかしい位に高いぞ」


 コブ太も新しい身体に慣れていない様で、腕を振り回したり、その場でジャンプしたりしている。


「兎に角、ゴブ太のLVが上がるまで、また安全な場所で狩りをしないとな」


 新しい力を手に入れた俺は安全の為に再び狩場を元に戻す事を決める。


 狩場が戻ると聞かされたアナマリアは帰りの間ずっと拗ねていた。

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