23話 クエスト報酬と新しい街
森での救出劇から3日が経過していた。
【漁師】の男を助けた後、俺達は再び森を捜索した俺たちは無事にレア木材をゲットし、何とかドアの修繕を完了させる。
これでやっとドレイクさんの手紙を渡し、クエストを完了させる事ができる筈だ。
ドアを修繕した俺達は再び老婆の家を訪れた。
★ ★ ★ ★
「ふん。ドアを直すのに何日掛かっているんだい!!」
「ぐぬぬぬ。私達がどれだけ苦労したと思っているのですか!?」
アナマリアが悔しがっている所を俺が間に入って宥める。
「アナマリアは黙っていろよ。また話がややこしくなる」
「だってこの鬼ババアが!?」
「さっきから鬼ババアって誰の事を言っているんだい? もしや私の事じゃないだろうね」
「ちっ、違います。そんな事より、ちゃんとドアも直したんですからドレイクさんの手紙を受け取って貰いますよ」
「ふぅ……仕方ないねぇ。約束は守るよ。ほらさっさと手紙をよこしな」
俺が手紙を渡すと老婆は手紙を開封し読み始める。
時折目をこすっている様子を見せていた。
一体何が書いてあるのだろう?
老婆は手紙を読み終えると、大きく息を吐く。
「アンタ達、ちょっと待ってな。報酬を渡さないといけないからね」
そう告げると部屋の奥へと消えて行った。
「さっき報酬と言っていたのです。一体何が貰えるのでしょうか? でもこんなボロい家に住んでいるのできっと大した物じゃないのです」
「お前って相変わらず容赦ないな。少しは年上を敬えよ」
「相馬君!! 何を言っているのですか? 私は何百年と生きている天使なのですよ。そこいらのおばあちゃんの数倍は生きているのです。なので私の方を敬って欲しいのです」
「お前は…… 自分で一番のババアだと言っている自覚はあるのか?」
「むぎぃぃぃ。相馬君はこんな可愛い彼女に向ってなんて事をいうのですか!!」
「駄目だこりゃ。会話が成立しない」
「まったく。アンタ達は静かにしている時がないのかい? 隣の部屋まで声が聞こえていたよ」
奥から戻ってきた老婆の手には一つのアイテムが握られていた。
「今回はご苦労様だったね。これが報酬だよ」
「あっどうも。これは一体……?」
受け取ったのは魔法陣が描かれている一枚の紙であった。
「私はこれでも昔は神殿に勤めていてね。その時に貰ったものさ。何でも自身の秘められた力の数を増やす効果があるって神官様は言っていた気がするけど、昔の事で忘れちまったさ」
「へぇ~、秘められた力の数をねぇ…… ありがとうございます」
「気にする事はないよ。私も久しぶりに気分がいいからね」
老婆は爽やかな笑みを浮かべている。
「後これも持っておいき、この街周辺の地図だよ。相当古い地図だから道は変わっているかも知れないけど、昔からある町の位置は変わっていない筈さ」
俺は古びれた地図も受け取った。
「真ん中に描かれている街がこの街で、一番近い街まで行くにの徒歩で3日位だろうさ」
「地図ですか! ずっと手探りで動いていたので助かります」
「精々頑張りな。何か困った事があればまたおいで」
老婆はそう伝えると再び部屋の奥へと姿をけした。
俺達の初クエストはこうして終了を迎える。
★ ★ ★ ★
宿屋に戻った俺たちはテーブルの上に老婆から貰った地図を広げる。
地図の中心にはこの街が描かれており、南には森が広がっていた。
「お婆さんの話だと中心が俺たちがいる【始まりの街】だろ? ほら南側には森も書かれているし、そうなると一番近い町は…… 北に在るこの街だな」
地図には【始まりの街】以外にも幾つかの街のような場所が記載されており、一番近い街は北側であった。
「ちくしょー。一番最初に南を選んだのが不味かったのかよ。本当に運がないな俺は…… 最初から北を選んで入れば今頃この街にもたどり着けていたかもしれない」
俺が悔しそうにしているとアナマリアが声を掛けてくる。
「そんな事はないのです。相馬君が南を選んだからスラ男くんやゴブ太くんとも出会えたのです。全ては大天使様のお導きなのです」
アナマリアは両手を胸の前で組み、祈るようにそう告げた。
「お前もちゃんとした事が言えるんだな…… マジ感動したわ」
大げさに涙を拭う真似をする。
「私は天使なのですよ。当然なのです」
俺はアナマリアをからかったつもりだったのだが、アナマリアには効いてはいなかった。
アナマリアのポジティブ思考は俺に崩せそうにはない。
「しかし、アナマリアの言う通りだな。スラ男達に出会えたんだ。プラス思考で行かないと…… クエストの報酬で新しい街の場所も分かった事だし一丁行ってみるか!?」
「私も新しい街に行きたいのです」
「よし。決まりだ!!」
俺が決定を下すと、アナマリアは飛び跳ねて喜びを表す。
俺達は次の目標として新しい街に向かう事を決めた。
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