第1話 街へ
「くっ、ここは森、か?まぁ、見たこともない変な色のキノコもあるし、ここがあの天使が言っていた異世界か。俺は今日から、この世界で生きていくんだよな。なんか、能力を授けてくれるって言ってたけど、あんまり変わった感じはしないぞ」
『あー、あー、聞こえますか?』
えっ、今頭の中に直接声が聞こえた気がする。
心なしかあの天使の声に聞こえたような気がしたが。
気のせいか?
『あっ、聞こえてますね』
気のせいじゃねぇわ。
ニャフニャフって天使の声聞こえてるわ。
『言い忘れていたことがあったので、伝えに来ました。魔王は倒してくださいね。じゃないと、面白くないんで。何もしないとか、つまんないので。神様が飽きるので。お願いしますよ。私を創造した神様は、少し飽きっぽいところがあるので、頑張ってください。あと、神様に見放されたら死にます。異世界で生き返らせるという莫大なエネルギーの暴走で死んでしまいます。この世界の人も特殊な能力もっている人が多いので、その人たちに殺されないようにも頑張ってください。では』
はっ
あの天使一方的に凄い速さで話していったんだけど。
しかも、重要なこと言ってなかったか?
神様飽きさせたら死ぬとか、この世界の人も特殊な能力持っているとか。
やっべ。この世界やっべ。気楽に行こうと思っていた自分がどっかにいたけど、この世界に来て一瞬にして消えたわ。
いや、気にしたら負けだ。
魔王を倒すために頑張ればいいことだ。
がんばろう。
と言っても、何をすればいいんだ?
こんな森の中じゃ、そうしようもないんだけど。
ゲームとかだったら、まず冒険者に登録とかだよな。
よしっ、最初は街探しをするか。
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驚くほど簡単に、森をぬけられたなぁ。
ちょっと歩いたら道があったから、それを辿って行ったら、森を抜けた。
最初に魔物に会ったらどうしようかと思ったよ。
自分の能力もわからないし。
この、道をこのままいったら街に着きそうだな。
よしっ、行くか。
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着いちゃったよ。
着いちゃったよ。
魔物に襲われてる行商人の馬車とかと遭遇するかと思ったら、普通に何事もなく街を囲んでる壁の前まで着いちゃったよ。
「はー、異世界に来て最初の方は、物事が順調に進む能力とかないよな?」
えっ、光ってる。
体から虹色の光が出てるよ。
まさか、本当にそんな能力だったりして。
本当だったら微妙な能力だぞ。
つかえねー。
いや、確かに使えるけど、神様が飽きるだろっ!
別に神様を楽しませたいってわけじゃないけどさ。
まぁ、いいや。
まずは、街に入ろう。
入るために、門の前にいる衛兵に話通さなきゃいけないのか。
お金とかかかるのかなぁ、お金持ってねぇぞ。
当たって砕けろだ。とりあえず並んでるし並ぼう。
あっ、次俺の番だ。
「身分を証明できるものは持っているか?」
「もってないです。ここに来る前の記憶が曖昧なんです。気付いたら森の中にいて」
異世界からきたなんて言わないほうがいいよな。
疑われそうだ。
記憶が曖昧なんて言い訳もちょっときつい気がするが。
「記憶が曖昧で森の中に気付いたらいただと?ちょっとそこで待ってろ」
やばい。
完全に疑われてるよな。
逃げるか。
いや、ここで逃げてもすぐ捕まりそうだ。
大人しく待つか。
あっ、来た。
「こいつです」
「この人ですか。分かりました。ちょっと君ついてきてください」
「は、はい」
はーい、終わった。
異世界生活1日目にしてシューリョー。
異世界牢獄生活です。
楽しんでいこう。
「そんなに、怖がらなくて良いですよ。別に取って食おうというわけではないので。最近、記憶が曖昧
な状態で森にいたっていう人が急増していましてね。遠い国からやってくる人もいて、困っているんですよ。現在調査中です。貴方はどこから来ましたか?」
「えっと、日本です」
「ニホンですかー。聞いたことありませんね」
「あのー、ここはどこなんですか?」
「言っていませんでしたね。ここは、ステミリア王国の辺境の街、ゴリランです」
ここで打ち切ります