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続・ホントバナシ

作者: 国見遥

高校生の時分。肝試しが流行っていた。


以前にも書いたように、廃屋に行ったり、夜の学校に行ったり。


怖い物見たさな年頃でした。


その日も、近所の神社に男三人で肝試しに行こう。なんて話になったのです。


とくに曰く付きの神社ではありませんでしたが、近場の肝試しスポットを制覇していた僕らは、仕方なくそこを選ぶことになった。


夜中の一時過ぎ。神社に到着。


懐中電灯も持たずに来たせいで、恐怖感は必要以上にある。


だが、当然、幽霊なんてでるはずもなく、真っ暗な神社を男三人が身を寄せ合い徘徊するという奇妙な図が続いただけだった。


「もう帰ろうぜ」


友人Aがそう言って帰ろうとしたとき、神社の裏の森から『カーン カーン』という音が聞こえてきた。


こんな時間になんだろう?


不思議に思い、そこへと向かうことにした。


定期的に聞こえてくる奇妙な音。


その音の正体を僕らは見つけたのだが・・・


白装束に身を包んだ髪の長い女が、木に向かって一心不乱に何かを打ち付けている。月夜に照らされる程度の灯りしかないので細かいところは見えないが、おそらく、釘を打ち付けているのだろう。


そう、丑の刻参りです。


リアルに怖かった。


気持ち悪いし帰ろう。そんなとき、突然、彼女が動きをやめ、こちらを凝視しています。


木の陰に隠れていたのでそんなに簡単に分かるはずもない。


それでもこちらを凝視しています。


「やばい。ばれた?」


そう思うのと同時に、彼女がこちらに向かって猛ダッシュ。


「逃げろ」


僕らも負けじと全力疾走です。


女性に、血気盛んな高校生の僕らが足で巻けるはずもなく、軽く巻いたのですが、その日はそのまま怖すぎて友人Bの家に泊まることにしました。


それから、あの日のことを忘れていたある日、僕が寝ていると、部屋へと続く階段を上る音が聞こえてきました。


兄貴が階段上って自分の部屋に向かっているんだろう。そう思っていると、しばらくたっても兄貴の部屋のドアが開く音が聞こえてこず、妙だなと思い、すりガラスのついた僕の部屋のドアに目を向けました。


そこにはすりガラス越しに兄が立っています。


「なにしてんだよ」


そう思ってベッドから出ようとしたとき、あることに気づいたのです。


肩を越すほどの長髪。


ちなみに兄は坊主だし、母親はショートカット。当然父親も短髪です。


つまり、僕の家に長髪の人間はいないんです。


「なに?だれ?」


そう思っていると、小さな声で、


「おまえか?」


と聞こえてきました。


何のことか分からず黙っていると、ドアが何度も叩かれる音が聞こえてきます。


どん、どん、どん


それはやがて、あの音を伴い始めます。


カーン カーン



気がつくと、朝が来ていました。


夢だったのでしょうか。


ドアをよく見てみると、一箇所、何かを指したような跡がありました。


本当に、ドアをどんどん叩かれたときは「あ、オレ、死んだな」って思いましたよ。


みなさん、丑の刻参りは見てはいけません。危ないですよ。というより、夜中の神社は、行かないほうがいいですよ。まれにいるらしいですから。彼女のような人が。

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