秒針さんはすごいなぁ
チックタックチックタック
僕は時計さんを眺めています。
チックタックチックタック
ぐーるぐーるぐーるぐーると秒針さんは回り続けます。
……秒針さんはすごいなぁ。あんなにぐるぐる回っているのにずっとおんなじところを進み続けることができるなんて。
僕だったら目を回して変な方向に進んじゃうなぁ。
うん、やっぱり秒針さんはすごい。僕は秒針さんに尊敬の眼差しを送りました。
夕飯の時に母さんに秒針さんのすごさを説明してどうしてあんなにすごいのかをきいてみました。
母さんは少し困った顔をしたあと僕にこう説明してくれました。
「秒針はね、長針父さんと短針母さん、それに暦おじいちゃんが見守っているからどんなにぐるぐる回っても迷わないのよ」
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チックタックチックタック
今日も時計を見れば秒針くんは回り続けています。
家族が母さんしかいない僕はそれを見ながら秒針くんのことを少し羨ましく思うのでした。