#7 ミリアのギルド登録
「はぁ…痛い目にあった」
「それじゃあ今後一切そういう事はしないようにお願いしますね!」
「は…はい…」
思わず敬語になってしまう程に、ミリアの笑みは黒かった。
「イツキさん、今日はどうするんですか?」
「ん?ああ、今日はミリアをギルドに登録しに行こうかなって思ってるんだけど」
「そうですか!それじゃあ早く行きましょう!」
「その前に朝飯食わせてな」
「あ、はい…」
俺が苦笑いしながらそう言うとミリアは少し恥ずかしそうに顔を背けた。ちょっとはしゃぎすぎたと思っているのだろう。まあ、それも可愛いと思ったのだが。
「それじゃ、食堂に行こうか」
「ええ!」
そう言い、俺とミリアは宿の食堂部屋へと向かった。
***
「ふいー…食った食った」
「イツキさん、結構お食べになるんですね…」
朝食も食べ終え、一度部屋に戻った俺ら。ミリアは俺が今朝食べた朝食の量に驚いているようだった。そんなに食った憶えは無いのだが。それはさておき。
「よし、休憩終了っと。ギルドに向かうか」
「ええ!楽しみです!」
「ハイテンションだな、ミリア」
「ええ、それはもう!」
嬉しそうでなによりだった。さて、それじゃあまずはロビーに行って鍵を預けないとな。
「おーい、鍵を預けたいんだが」
「あ、おはようございますイツキさん!今朝はお楽しみでし…た…ね?」
「あ…ああ…その事なんだが…忘れてくれないか?」
「は、はい…わかりました…」
笑顔で対応してくれたマリアであったが、俺の隣にいるミリアのどす黒い笑みによって言葉の最後が尻すぼみとなっていった。恐らくミリアの“殺気”に当てられたのだろう。俺も結構やばい。
全くもってこの話と関係ないのだが、マリアとミリアって名前似てね?
閑話休題。
「ああ、そうだ。鍵を預けたいんだ。頼めるか?」
「はい!どうぞ!行ってらっしゃいませ!」
「ああ、行ってくる」
「行ってきますね」
そう言い、俺はマリアに部屋の鍵を預け、宿を出た。
***
そして、俺とミリアがギルドへ向かっている道中、ふと気になった事があったので訊いてみる事にした。
「ミリア、お前のステータスってどんな感じなんだ?」
「ステータス、ですか?」
「ああ」
「ちょっと待ってください…“ステータス”」
すると、俺とミリアの目の前にステータスが表示される。ステータスはパーティーの中でなら他人に見せる事ができるようだ。
NAME:ミリア・フィオン
TYPE:人間
LV:13
EXP:3825
NEXT:145
HP:560
MP:740
CRI:5%
STR:75
DEF:113
DEX:135
INT:152
AGL:115
能力:模写創造
属性:?
スキル:体力回復Lv.1,魔力回復Lv.1,異常回復Lv.1,
ルード:5,000,000
おお、魔法使い型だな。しかも魔力と器用値と知力値が俺より高い。治癒系のスキルを持っているから戦闘時には後衛となるだろう。俺は治癒系のスキルを持ってはいるが、そこまで回復量が高くないのでとても助かる。が、それはミリアが引き受けてくれればの話であるが。
後、ルードがおかしい事になってる。500万って…羨まし…ゲフンゲフン。
「ど、どうですか…?」
「ああ、中々に凄いな。魔力と器用値と知力値が俺よりも高い。俺のも見せないとな。“ステータス”」
今度は俺のステータスが表示される。
NAME:イツキ・ヤギュウ
TYPE:人間
LV:20
EXP:6585
NEXT:695
HP:980
MP:670
CRI:5%
STR:155
DEF:138
DEX:145
INT:118
AGL:165
能力:能力収奪
属性:火,水,風,光,闇,土 <全属性持ち>
スキル:能力鑑定Lv.1,連続斬Lv.1,急所突きLv.1
ルード:54.815
「す、凄いですね…HPなんかもう1,000を超えそうじゃないですか…。しかも全属性持ち…何よりも能力が…」
「ああ、能力伝え忘れてたな…すまん」
「いいえ、大丈夫ですよ。私も属性を知りたいです…」
「ああ、それも兼ねてギルドで見てもらおう」
「ええ!」
「よし。じゃあ、行こうか」
***
「と、ここだ」
「立派な建物ですね…」
「お前の家程じゃないだろ…」
そうして歩く事約五分、俺たちはギルドに到着した。そして、中に入ると…
「いらっしゃーい!と、おお!イツキじゃねーか!今日は何の用なんだよ?」
「ああ、ハウド。今日はミリアをギルドに登録するために来たんだ。空いてるか?」
「おう!って、ミリア…王女様じゃねぇか…むぐっ!」
「声がデカいわ。周りに人がいるだろ。…そうだよ。その通りだ。昨日偶々通りかかった時に襲われてたから助けたんだ。そしたら一緒に旅に出たいって言い出してな。あ、王様の了承は得てるぞ?」
「あー、なんかお前、すげぇ人になったんだな」
「まあ、そうなのかな?それはさておき、それじゃあ頼めるか?」
「おう。それじゃあ、この紙に必要事項を書いてくれ」
ハウドはそう言い、ミリアの前に俺の時と同じように一枚の書類を差し出してくる。その手つきは少し緊張しているようだった。それはそうだ。いきなり目の前に客が来てそれが王女様だったら誰だって緊張する。俺だってそうだ。だが、
「そんなに緊張されなくても大丈夫ですよ」
と、ミリアが笑顔でハウドに話したのでいくらかハウドも緊張が解れていたようだ。
そしてミリアが書類を書き終え、ハウドに提出すると、一枚のカードを出してくる。ギルドカードだ。
「そこに血を一滴垂らしてくれ」
「わかりました」
そしてカードに血を垂らすと文字が浮かび上がってくる。
NAME:ミリア・フィオン
AGE:16
TYPE:人間・女
RANK:F
属性:?
「よし、登録完了だ。ギルドについては説明した方がいいか?」
「ええ、お願いします」
「了解だ」
そうして、ギルドの説明を聞き終え、もう一つやりたい事を話す事にする。
「ハウド、もう一ついいか?」
「ああ、どうした?」
「ミリアの属性検査をして欲しいんだ」
「ああ、了解した。…またお前みたいに全属性持ちだったら怖いんだがな…」
「あー…」
思わず苦笑してしまった。あの時のハウドの驚き様は凄かったからな。まあ、ミリアは全属性持ちでは無いと思うのだが…。
「よし、じゃあついて来てくれ」
「ああ」
「わかりました」
ミリアの属性はどんなものなのだろうか、と少しわくわくしながらハウドについて行った。ミリアも楽しみなのか、うきうきした様子でついて行った。
お久しぶりです。水司です。今回から座談会(のようなもの)は出来ないかもしれません。
そして、今回はミリアのステータスを初披露したと思います!自分で書いておきながら魔力高ぇ…とかって思ってました。しかもいつの間にか樹月君のレベルが上がっているし…なんなのでしょうか(爆)
それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに!ノシ
~更新情報~
H27.9.20. 能力名を変更




